悪人の正義〜井手畑物語〜
他のみんなも次々と槍を持って陣小屋から飛び出していった。そして残ったのは佐吉だけだった。
「佐吉さんは行かないの?」
喜平太は気になって聞いてみた。すると佐吉は恥ずかしがることもなく言った。
「私には、武芸は向いていないからな。お前はどうする。槍を扱うことはできるのか」
それを聞いて喜平太は迷った。そして、覚悟を決めると今、初めて触った槍を持って簡素な鎧を身に着け、駆け出していった。怖い気持ちがあったが、どうしても行かなければいけない気がした。
最前線では、もう[漢字]戦[/漢字][ふりがな]殺し合い[/ふりがな]が始まっていた。本当は行きたくなかったが、体が勝手に反応していつの間にか、1人を刺し殺していた。
「うわあ!!」
とても驚いたが、さっきまでの怖さはなぜかなくなっていた。背後から斬りかかられたが、さっと避けて槍でついた。相手は血を吹きながら、倒れていく。なにも考えなくても、体が反応して斬り伏せている。避けて、ついて、斬り伏せて、おもしろいくらい、自分の体が動いた。
そうこうしているうちに、敵は城に戻っていった。喜平太の初陣はこうして終わった。そういえば、他のみんなは無事だろうか。
陣小屋に戻ると、まだ佐吉しかいなかった。佐吉は、せっせと書物を読んでいる。
「他のみんなは?」
佐吉は、書物から目を離さずに答えた。
「まだ戻ってきていない」
だが、そう答えた直後、外がガヤガヤと騒がしくなり、みんなが帰ってきた。
「喜平太、お前すごいな」
「あれが初陣だとはね、びっくりしたよ」
虎之介たちは口々に喜平太を褒める。彼は照れて言った。
「ありがとう」
年齢の差は離れているが、とても居心地が良い気がした。
「佐吉さんは行かないの?」
喜平太は気になって聞いてみた。すると佐吉は恥ずかしがることもなく言った。
「私には、武芸は向いていないからな。お前はどうする。槍を扱うことはできるのか」
それを聞いて喜平太は迷った。そして、覚悟を決めると今、初めて触った槍を持って簡素な鎧を身に着け、駆け出していった。怖い気持ちがあったが、どうしても行かなければいけない気がした。
最前線では、もう[漢字]戦[/漢字][ふりがな]殺し合い[/ふりがな]が始まっていた。本当は行きたくなかったが、体が勝手に反応していつの間にか、1人を刺し殺していた。
「うわあ!!」
とても驚いたが、さっきまでの怖さはなぜかなくなっていた。背後から斬りかかられたが、さっと避けて槍でついた。相手は血を吹きながら、倒れていく。なにも考えなくても、体が反応して斬り伏せている。避けて、ついて、斬り伏せて、おもしろいくらい、自分の体が動いた。
そうこうしているうちに、敵は城に戻っていった。喜平太の初陣はこうして終わった。そういえば、他のみんなは無事だろうか。
陣小屋に戻ると、まだ佐吉しかいなかった。佐吉は、せっせと書物を読んでいる。
「他のみんなは?」
佐吉は、書物から目を離さずに答えた。
「まだ戻ってきていない」
だが、そう答えた直後、外がガヤガヤと騒がしくなり、みんなが帰ってきた。
「喜平太、お前すごいな」
「あれが初陣だとはね、びっくりしたよ」
虎之介たちは口々に喜平太を褒める。彼は照れて言った。
「ありがとう」
年齢の差は離れているが、とても居心地が良い気がした。