いきなり前に引っ張り出された彼は緊張して固まってしまった。みんな、明らかに自分よりも年上だ。

「これから、仲間になる喜平太だ」

自己紹介は佐吉が全部やってくれた。すると、4人のうちの1人が怖い顔を彼なりに、にこにこさせながらーーとても怖かったのだがーー年齢を聞いてきた。やはり、年齢は気になるのだろうか。

「ねえ、君、何歳?」

「5歳!」

そう言うと4人は笑った。

「かわいいのう!」

そう言ったとき佐吉が、ぼそっと言った。

「お前らも自己紹介しろ」

年齢を聞いてきた男が反抗した。

「そういうお前は、したのかよ」

佐吉は、抑揚のない声で言い返した。

「誰がここに連れてきたと思っている」

喜平太は自己紹介されたかなあ、と思ったが言わないでおいた。なぜならその男はムッとした顔をして、佐吉につかみかかろうとしていたからだ。そこに、高身長の男が割って入った。

「まあまあ、2人とも落ち着け。子どもの前で、大の大人2人がしょうもない理由で殴り合いでもしたら、恥ずかしいだろ?」

男はもっとムッとした顔をしたが、気を取り直して、自己紹介を、始めることにしたらしい。最初は年齢を聞いてきた男だ。どうやらこの2人は仲が険悪らしい。

「私は、[漢字]福島　市松　正則[/漢字][ふりがな]ふくしま　いちまつ　まさのり[/ふりがな]だ。槍を振るのが得意だ!よろしく!」

とても子供っぽい人だ、と喜平太は思った。次は誰だろうと思った時、じゃあ、と言ってさっき間に入ってきた男が自己紹介を始めた。

「私の名前は[漢字]加藤　虎之介　清正[/漢字][ふりがな]かとう　とらのすけ　きよまさ[/ふりがな]だ。よろしく!」

さっぱりとしていそうで、つきやすそうな人だ。