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天使のパン屋さん。

#3

メロンパン


門松翔一郎。24歳の所謂ニートってやつである。

さっき丁度、両親に実家を追い出されたところである。

だからといって、働く気はサラサラない。

どうせ誰かに迷惑かけるだけだ。

あぁだりぃ...。友達もほとんど上京して近所には知り合いは全くいない。

どこで道を踏み外したんだろ。

思えばあの高校生時代が俺の人生のピークだったんだろうな。

部活で活躍して、モテモテで彼女も出来て、楽しかったな。

そうだ。大学受験に落ちたあのときだ。

俺の人生の最大の分かれ道。もっと頑張ればよかった。



ブツブツ言いながら歩いていくと、そこは知らない道だった。

翔一郎「こんな道あったっけ?」

少し歩いていくとそこには、パン屋があった。

あぁこういう店やってるやつって大体人生成功者だよなぁ。

まぁ金ならあるし、入ってみるか。

カランコロン

ガルエル「げっ...いらっしゃいませ。お客様。ガルエルっていいます。」

高身長で黒髪のTheイケメンみたいなやつ来たな。

てか「げっ」って言ってなかった?え、客にだよ?

まぁいいか。どうでもいいや。

店内を見渡すと数々のパンがあった。

一つ一つ輝いて見える。その中にひときわ輝きを放つパンがあった。

これが食べたい。財布を取り出し、店員さんに言った。

翔一郎「これください。」

ガルエル「うちの店のシステムで金は受け取れないんですよ。」

は?金を受け取れない店って何だよ。

ガルエル「まぁお代として一応、幸せを少し分けてもらうらしいですけど。」

翔一郎「どういうことですか?」

ガルエル「まぁ細かいことは、気にしないでください。では、パンを持ってきてもらって。」

困惑しながらも一応、そのパンを持っていった。

ガルエル「メロンパンですね。これうまいよなぁ。」

完全に自分を制御できてなくて、本音が出てる。

メロンパンを袋に入れるその仕草は、イケメンというのもあってなかなか様になっている。

ガルエル「よかったらぜひ外のテーブルで食べてください。」



メロンパンを食べようと袋から取り出したのだが、

翔一郎「えっ食べにくくないですか?」

隣で呑気にコーヒーを飲みながらこちらを見つめてくる店員がいた。

ガルエル「あ゙?なんか文句あんの?」

翔一郎「あ、いや、なんでもないです。」

すると店員も袋を取り出した。

その袋から出てきたのは俺のと同じメロンパン。

美味しそうにかぶりつく。

すると、不思議そうにこっちを向いて

ガルエル「食べないんですか?」

翔一郎「いや、食べます。」

焦ってメロンパンにかぶりつく。

翔一郎「...うまっ。」

食べた瞬間、クッキー生地のサクッとした食感と中のもちっとした食感が合わさり、

それをバターの芳醇な香りが包み込む。

しかも、重すぎないし、甘すぎないし、しつこくない。

本当にうまい。

すると、向かいからオレンジ髪の中性的な顔立ちの子が歩いてくる。

手には大量の紙袋。軽く中も見ると、本や紙などがどっさりと入っている。

????「ガルエル!お前、勤務中になんでメロンパン食ってんだよ。」

ガルエル「少しぐらいいいだろ。メテリスこそ戻って来るの遅いんだよ。客が来ちまったじゃねえか。」

メテリスと呼ばれたやつは、こっちを向いて、頭を下げ、

メテリス「こいつが飛んだご無礼をお掛けしたと思います。本当にすみません。」

ガルエル「別に迷惑かけてねぇよ。馬鹿が。」

いやめっちゃ失礼だったよ?職場によってはクビだからね?

ガルエル「てかお前は、真面目すぎんだよ。阿呆。」

メテリス「...黙れ。」

見た目からは想像できないほど低くドスの利いた声でそう言うとあの店員は黙った。


食べ終わると、メテリスという店員は小さな水晶玉のようなものを取り出した。

すると、俺から不思議な光が光り出し、水晶玉に吸い込まれていく。

メテリス「本日は本当にすみませんでした。」

翔一郎「いやいや、大丈夫ですよ。こちらこそ何だか元気をもらった気がします。」

メテリス「馬鹿め。ガルエルお前も言うんだよ。」

ガルエル「はぁ、分かったよ。」

メテリス・ガルエル「「ご来店ありがとうございました。」」



店を出ると知っている道だった。

翔一郎「はぁもう少し頑張ってみるか。」

何だか元気をもらった気がする。人生まだまだやり直せる。



ガルエル「あのなぁ、急にいなくなるんじゃねえよ。」

メテリス「多少はしょうがないだろ。色々資料を探しに行ってたんだ。」

割といい情報が見つかった。計画は、上手くいきそうだ。

ガルエル「お前が上手くやってくれないと俺は帰れねぇんだよ。しっかりやれよ。」

メテリス「偶然、堕ちてしまったなんて誰も信じねぇからな。まぁ大丈夫だろ。」

ガルエル「この店見つけんのも苦労したんだからな。半天使しか来れない通り道なんてそうそうないよ。」

メテリス「その代わり、俺がこの計画を成功させれば、お前は元通りだ。」

そう。こいつも、天界も前のような全て元通りにするんだ...。

作者メッセージ

これから学校生活が本格的に忙しくなるので
多分投稿頻度落ちると思います。楽しみに待っててね。

2025/04/09 16:39

銀華 ID:≫ 08KJ7SHFeBNjs
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