First Movement
「……向いてないのかな」
そう小さく呟いて、私はサイトを閉じた。
いくら誰かが見てくれたとしても、こんな短い文章で、一体誰の心を動かせるというのだろう。いや、動かす必要なんてない。ただの自己満足だ。また、一話約百字で、話数は沢山。もしかすると一部の人は閲覧数稼ぎだろ、と思うだろう。
その夜、私は久しぶりに、あのアニメを観た。
もう全話見終わったが、リピートしたくなったのだ。
「また観てるんだ」
母は、冗談混じりで言った。その声に、私はなぜか、泣きそうになった。
「うん。面白いから」
ふと、初めてあのアニメを観た時のことを思い出していた。
最初は興味がなかった。母の言葉に従っただけなのに、いつの間にか夢中になっていた。
──そうか。好きに、理由なんていらないんだ。
ふと、そう思った。
あの時、私は「面白いかも」という、たったそれだけの気持ちで、六シーズンもの物語を観切った。誰に何を言われようと私はあのアニメが好きだった。
(私の小説も、それでいいんじゃないかな)
誰かにどう思われるか、面白いかどうか、そんなことはどうでもよかった。ただ、私が書きたいから書く。それだけで、十分なのではないだろうか。
私はすぐに、タブレットを手に取った。
サイトには、まだコメントが届いていない。
私は少しショックだったが、前よりも閲覧数が増えていることが分かった。
私は、修正しようと、そして続編を書こうと決めた。
今度は、誰かに認めてもらうためじゃない。ただ、書きたいから。
その日から、私は少しずつでもいいから長めに書き、小説を積極的に読み、語彙力向上を目指した。
ただの作文だったものが、少しずつ、本当の物語になっていくように感じた。
そして、私はもう一つ、チャレンジしようとした。
それは、自分の「好き」を言葉ではなく、別の方法で表現すること。
主題歌も、挿入歌もいい曲だったが、「もし、私がこの曲を弾けたら……」と思い始めるときもあった。
私は、ピアノを独学で始めることを決めた。
まず、私は動画サイトで動画を探した。ピアノは初心者だったので、初心者向けの動画を選んで弾くことにした。
最初はそこからだった。私はドレミの位置すら分からなかったのだ。
「どうしよう……」そう思って目に入ったのは、小学校で使っていた鍵盤ハーモニカだった。
「懐かしいなぁ」と思い、開けてみると、鍵盤の上に「ド」や「レ」と書かれたシールが貼ってあった。
「これだ!」
私はすぐに閃いた。マスキングテープに文字を書いて、電子ピアノの鍵盤の上に貼った。
それから、動画を何度も何度も再生しながら練習した。
学校から帰ると、私はすぐに電子ピアノに向かった。
ピアノは触ったことはあるが、適当に鍵盤を押しているだけだった。こんなに必死になって弾くことは生まれて初めてだった。
自分の部屋で鍵盤を叩き続けた。
何度も、何度も間違えた。
何度も、何度も電子ピアノに向かって怒鳴った。
それでも、私は鍵盤から手を離さなかった。
指が痛くなっても、ただひたすらに、鍵盤を触っていた。
──弾けるようになりたい。
その気持ちが、私の原動力となっていた。
言葉では伝えられない、私の推しへの想い。
言葉では表現できない、私の孤独や苦しみ。
その全てを、このメロディーにのせて届けたかった。
そう小さく呟いて、私はサイトを閉じた。
いくら誰かが見てくれたとしても、こんな短い文章で、一体誰の心を動かせるというのだろう。いや、動かす必要なんてない。ただの自己満足だ。また、一話約百字で、話数は沢山。もしかすると一部の人は閲覧数稼ぎだろ、と思うだろう。
その夜、私は久しぶりに、あのアニメを観た。
もう全話見終わったが、リピートしたくなったのだ。
「また観てるんだ」
母は、冗談混じりで言った。その声に、私はなぜか、泣きそうになった。
「うん。面白いから」
ふと、初めてあのアニメを観た時のことを思い出していた。
最初は興味がなかった。母の言葉に従っただけなのに、いつの間にか夢中になっていた。
──そうか。好きに、理由なんていらないんだ。
ふと、そう思った。
あの時、私は「面白いかも」という、たったそれだけの気持ちで、六シーズンもの物語を観切った。誰に何を言われようと私はあのアニメが好きだった。
(私の小説も、それでいいんじゃないかな)
誰かにどう思われるか、面白いかどうか、そんなことはどうでもよかった。ただ、私が書きたいから書く。それだけで、十分なのではないだろうか。
私はすぐに、タブレットを手に取った。
サイトには、まだコメントが届いていない。
私は少しショックだったが、前よりも閲覧数が増えていることが分かった。
私は、修正しようと、そして続編を書こうと決めた。
今度は、誰かに認めてもらうためじゃない。ただ、書きたいから。
その日から、私は少しずつでもいいから長めに書き、小説を積極的に読み、語彙力向上を目指した。
ただの作文だったものが、少しずつ、本当の物語になっていくように感じた。
そして、私はもう一つ、チャレンジしようとした。
それは、自分の「好き」を言葉ではなく、別の方法で表現すること。
主題歌も、挿入歌もいい曲だったが、「もし、私がこの曲を弾けたら……」と思い始めるときもあった。
私は、ピアノを独学で始めることを決めた。
まず、私は動画サイトで動画を探した。ピアノは初心者だったので、初心者向けの動画を選んで弾くことにした。
最初はそこからだった。私はドレミの位置すら分からなかったのだ。
「どうしよう……」そう思って目に入ったのは、小学校で使っていた鍵盤ハーモニカだった。
「懐かしいなぁ」と思い、開けてみると、鍵盤の上に「ド」や「レ」と書かれたシールが貼ってあった。
「これだ!」
私はすぐに閃いた。マスキングテープに文字を書いて、電子ピアノの鍵盤の上に貼った。
それから、動画を何度も何度も再生しながら練習した。
学校から帰ると、私はすぐに電子ピアノに向かった。
ピアノは触ったことはあるが、適当に鍵盤を押しているだけだった。こんなに必死になって弾くことは生まれて初めてだった。
自分の部屋で鍵盤を叩き続けた。
何度も、何度も間違えた。
何度も、何度も電子ピアノに向かって怒鳴った。
それでも、私は鍵盤から手を離さなかった。
指が痛くなっても、ただひたすらに、鍵盤を触っていた。
──弾けるようになりたい。
その気持ちが、私の原動力となっていた。
言葉では伝えられない、私の推しへの想い。
言葉では表現できない、私の孤独や苦しみ。
その全てを、このメロディーにのせて届けたかった。