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First Movement

#2


 その数ヶ月後、私はいろんなものを失っていた。
明るかった性格も、あの平凡だった日常も、そして友達も。

 積もり積もったストレスは突然、私を押し潰した。
気がつけば、もうあの頃のように笑えなくなっていた。
 部屋の天井をぼーっと見つめるだけの夜が続いてく日々。
「もう、◯にたい……」
その言葉は、涙と共にこぼれた。
普段なら、絶対に口にしない言葉。
でも、もう限界だった。苦しみも、孤独も、全部、もう十分すぎるほど感じていた。
 このまま消えてしまえば、誰かが悲しむだろうか。
クラスメイトは、たぶんこう思うだろう。「あっそ」「で?」
泣いてくれる人なんて、きっといない。いるとしたら、家族や親戚くらいか。

 そしてある日、そんなマイナスな考えの中に、ぽつりと、ひとつの提案が浮かんだ。
──自分の気持ちを、吐き出してみたら?
言葉にして、誰かに伝えてみたら、少しは楽になれるかもしれない。掲示板なら、誰かが反応してくれるかもしれない。……そう思った。
 けれど、すぐに不安が押し寄せた。
──もし、冷たい言葉を投げつけられたら?
優しい人ばかりじゃない。否定的な考えを持つ人だっている。
──じゃあ、どこに吐き出せばいいの?
 そんなとき、ふと浮かんだ言葉があった。
──小説。
「小説なら……書けるかも」
 自分の気持ちを、そのまま物語にすればいい。そうすれば、誰かが読むかもしれない。
たとえ反応がなくても、気持ちを外に出せるだけで、少しは違うかもしれない。
 私はすぐにネットを開いた。
「えっと……『小説投稿サイト 登録不要』」
 検索すると、たくさんのサイトがヒットした。どれも同じに見えて、どれも選べなかった。
選ぶのが苦手だった私は、とりあえず一番上にあった『NOVEL CAKE』というサイトを開いた。
 表示されたページには、『NOVEL CAKE』と『ライト版』の二つの選択肢があった。
私は、登録不要だった『ライト版』を選んだ。
そして、何も考えていないのに自然と『小説を投稿』のボタンを押していた。
 即興でユーザー名を打ち込み、タイトルも即興。
「うーん、主人公は私にして……。推しに恋しながら、孤独に生きる物語にしよう」
 それでいい。細かいことは考えず、ただ思うままに言葉を打ち込んでいく。
「投稿っ」
初めての小説投稿だった。
驚くほど簡単で、少しだけ楽しかった。
 数日後、私はそっと自分の作品ページを開いた。
「……意外と、見てる」
閲覧数がゼロではなかった。それだけで、私は嬉しかった。
学校では誰も私を見てくれないのに、どこかの誰かが、私の言葉を見てくれた。
 それが嬉しくて、毎日投稿した。

 そして、数ヶ月後。
私は久しぶりに、自分の小説一覧を見ることにした。閲覧数は少しずつ増えていた。
 順番に読み返すうちに、あることに気づいた。
「……短っ」
思わず声が出た。一話百文字もなかった。
これは小説じゃない。ただの作文だ。こんなもの、誰が面白いと思うのだろう。
 気がつけば、私はまた、自分を責めていた。
「向いてないのかな……」
私は諦めかけていた。

作者メッセージ

こんな時もあったな

2025/06/01 22:05

貴志柚夏 ID:≫ 18abaWoVps7NE
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