プロテストから二ヶ月後、二階堂啓介のデビュー日。相手は黒川裕樹という、2戦1勝の選手だ。試合前、九条は二階堂にエールを送った。
「ここで、お前の人生が決まる。観客を沸かせるボクシングをせえ」
「わかってるわ、ジジイ見とけ！ここからてっぺん獲ったる」
二階堂はリングへ向かった。二階堂の入場曲はアンパンマンのマーチだった。ふざけてんのか！とヤジが飛ぶ。九条は二階堂に言った。
「いつも通りやで！成果を見せえ！」
「これより、第一試合バンダム級四回戦を行います！赤コーナー西田ジム所属、黒川裕樹〜！青コーナー九条ジム所属、二階堂啓介〜！」
そしてゴングが鳴り、試合が始まった。二階堂は手を出さず、黒川選手を睨んだ。
「かかってこいよ、バイキンマン」
「お前がバイキンマンやろうが、あほ！」
はよせんかい！と九条の声で、二階堂は動き出した。二階堂はジャブを手当たり次第に出した。しかし当たらず、経験の差で黒川のボディブローが当たった。
「とりあえず打たんかい！」
九条の指示に従い、二階堂はジャブを打ちまくった。ガードする黒川に構わず打ちまくった。
すると隙ができた黒川に、二階堂はボディブローを打った。黒川は座り込んだ、威力が半端ないからだ。アーンパンチ！と叫ぶ二階堂。そして黒川はもう一度立ち上がった。ストレートパンチを打つが、二階堂には当たらない。仕留めにかかる二階堂は、黒川のストレートを避け、右アッパーを打った。脇を締めて、肘も折りたたんで完璧に右アッパーだった。
黒川はダウンした、立ち上がれない黒川を見てレフェリーは試合を終わらせた。デビュー戦は二階堂のKO勝ちだ。
「勝ったのは新人の二階堂選手だ〜！！」
「俺に勝てる奴は挑戦してこい！ぶっ飛ばしたる！」
「おめでと〜〜〜！！」と友達の歓声が聞こえた。
二階堂は白星でデビュー戦を飾った。その裏でスタッフの田中は不満を抱えていた。