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ノーティー・ボーイ

#3

ピーカブー

翌日 朝の九時。ジムにてサンドバッグを殴っている九条。九条のパンチは60代とは思えないほどのパンチだった。ジムに入ってくる者がいた。それは二階堂だ。
「ジジイ!すごいパンチやな」
九条は嬉しそうにニヤリと笑い、椅子に座り、休憩をした。
「お前もサンドバッグを殴れ。いつも通りせえよ」
二階堂はサンドバッグを殴った。九条も何も言わずにただ、二階堂のパンチを見ていた。
パンチを終えた、二階堂は点数を聞いた。
「何点?」
「20点」
「少なっ!
少ないと思った、二階堂は理由を聞いた。
「お前の力と速さに驚いただけや、根本的な事はまだ出来てへん」
九条は二階堂にフォームを教えた。
「ほな、まず下半身やな、スタンスをとるときは左足を1歩だし、パンチをもろうても簡単に倒れへんように膝を軽く曲げる。膝を軽く曲げることで、パンチを受けたときのダメージを軽減するだけやなく、素早いフットワークを実現することができる」

「次は手の位置やな、左手はこめかみ、右手はアゴに置く。これが基本や。手と顔はくっついていてかまへん。疲れてくるとこの両手の位置が下がって、顔にパンチをもらいやすくなってまう。最初はずっと構えとってもしんどいけど、練習中も1ラウンド3分間両手を上げ続けるんを意識せえ。
実際のスパーや試合でも、相手のパンチが届く距離では常にこの位置で構えんとアカン」
 
「ボクシングのリズムの取り方や。
スタンスと手の位置を覚えたら、その場でリズムをとっていく。前に重心を乗せるときは右足のかかとを浮かす。後ろに重心を乗せるときは左足のかかとを浮かせる。
これを交互にする事でリズムをとる。
ボクシングはパンチせえへん時もこうやってリズムをとっておく。そうすることで相手のどんな動きにも素早く反応することができる」

二階堂は言われた通りに構えをした。すると九条は構えについて言った。
「お前はピーカブースタイルやな」
ピーカブースタイルとは、両腕を顔の前で揃える。顔面への防御が強くなる一方、ボディへの防御が手薄になる。 相手のパンチをさばきながら素早い動きで間合いをつめ、ダイナマイトパンチでKOをとる戦い方だ。マイク・タイソンのスタイルでもある。
九条は二階堂をピーカブースタイルの意味を教えた。九条と二階堂は午後の三時まで練習した。
「今日俺が教えた事を身につけろ。ほんで、ボクサーなるか?」
二階堂は即答で答えた。
「やる!他にやる事ないしな」
「やるんやったら、真剣にや!あまり遊ぶな、それと、頭の回転を早くする、勉強をせえ」
はいはい、と二つ返事で答え、二階堂は家に帰った。そして九条も家に帰った。それぞれの家でする事は大違いだ。九条は元スタッフの田中に電話をして、戻ってきて欲しい。と伝えた。
周りにも電話をして、三時のおやつを食べた。

二階堂はさっそく家に戻り、ビールを飲んだ。疲れた後のビールだ。家には前日に泊まったかれんもいて、かれんは、一緒に大麻を吸おうと言うが、二階堂は拒否した。その後、二階堂はシャドーボクシングをした。かれんはすねて、自分の家に帰り、その事を気にせず、二階堂はずっとシャドーボクシングをしていた。

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2024/01/29 19:54

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