2023年　9月27日　大阪府・新世界
ファミレスで大音量の音楽を流している男がいる。彼の名前は二階堂啓介。仲間と共にご飯を食べていた。お客さんは迷惑や！と思っているが、二階堂には言えない。なぜなら二階堂は強いからだ。警察でも大人数でないと、太刀打ちできない。そんな二階堂に勝負を挑もうとする者がいた。
「おい！コラ！お前、よう俺の弟しばいてくれたな！殺すぞ！」
彼は澤田健次郎。現役のプロボクサーだ。弟を殴られた、報復に澤田は来たのだ。
「喧嘩を売ったんは、あいつやないか。俺は仕返ししただけや」
表でんかい。と澤田に連れられ二階堂は外に出る。するといきなり、澤田のパンチが飛び出た。普通の人なら早くて見えないレベルだ。しかし二階堂は避けた。二階堂は澤田にストレートをお見舞いした。よろける澤田に二階堂は、ラッシュのパンチを喰らわした。澤田は倒れ、うずくまった。
「ざまあみろ！プロだか、なんや知らんけど俺には関係ないんじゃ、ボケ！」
澤田は、プライドをズタズタにされ、翌日ショックでうつ病になり引退した。

同じく、大阪・新世界にて。
かつて、2000年代に勢いがあったボクシングジムがあった。しかし徐々にジムを辞める者が続出。理由は、コーチのパワハラだった。
現在は廃れたジムなっていて、ジムに所属しているのも、三人しかいなかった。
そのジムの名前は、九条ジム。元プロボクサーの九条明のジムだ。九条はジムを折りたたむ事を決めていた。娘の美波には引き留められるが、父の決断は固かった。
九条はジムの選手やスタッフに伝えた。
「スタッフや選手には悪いが、俺はこのジムを折りたたむ」
しかし選手は何も言わずに、家にそそくさと帰ったのだ。それほど、九条は愛されていないという事だろう。スタッフの田中はショックを受けていた。
美波は家に帰り父と話した。
「ほんまに辞めんの？」
「辞める辞める笑！男に二言はないんや」
九条と美波はこの後、一杯やった。

一方、二階堂はボクサーを倒した、一部始終を見ていた暴力団のスカウトマンにスカウトされていた。だが、二階堂は暴力団は嫌いだ。
「悪いけど、暴力団嫌いやねん、他のもんスカウトしてもろて」
二階堂はバイクに乗り、家に帰った。
家と言っても、母親は仕事でいなく、父親は離婚してどこかへ行った。ほぼ一人暮らしだ。
家に帰っても特にすることが無く、高校生の時からビールやタバコを吸ったり、飲んだりしていた。あまりにも暇だ。毎日二階堂が思う事だ。
今日は、友達にバイクでドライブしよう。と連絡するが、返ってきたのは、俺、今日面接あるんやわ、俺はバイトがあって、俺も面接〜。
友達は皆、就職活動を始めていた。暇でテレビをつけるも、テレビでも働かない若者が話がテーマだ。誰か知らない胡散臭いコメンテーターが言った。
「いつまで経っても、遊んで暮らせるわけじゃないんです。働かないそこのあなた！あなたに向く仕事が必ずあります」」
「あるか！ほな、俺はなんの仕事が向いてるっちゅうねん！」
二階堂は、暴力団のスカウトを断った事を、少し後悔した。この後、恋人のかれんを家に連れて、二階堂とかれんは大麻を使用した。