- 閲覧前にご確認ください -

流血表現有り ダーク

文字サイズ変更

「堕」影武者

#2


一話「影武者」

目を開けるとそこは暗い部屋で、灯火が灯りとして機能しているらしい。
「(何をされるんだこれから……?)」
そんな事を考えていると、突然襖がピシャッと開き、二人の男が出てきた。
「(ん……? こいつらは確か……)」
一人は先まで追いかけていた子供__正確には少年。
顔は露骨に強張っており、怖じけているのが見え見えだ。
良く見ると性別は男、年は婢魔呂と同等に見える。
もう一人は右手に刀を掴んでおり、非力そうに見えるが、全てを見透かすような青い目、年齢に似合わない白髪からは、何処か禍々しい気配を醸かもし出していた。
重苦しい時間が流れる中、刀を掴んでいる男が口を開きだした。
「整えて無い、黒曜石のように黒い髪。溶岩のように赤く光る目。君……あの『無帝婢魔呂』だろ?」
と、優しい声で微笑みながら問うこの男。
「あ……まあ」
婢魔呂は図星ながら曖昧に答える。
「そっか……」
しかし男は確信したように目を閉じ、俯いて、しかしすぐに顔を婢魔呂に向けて言った。
「君……単刀直入に言うけど、"死刑"ね」
この言葉を聞いた時、婢魔呂は一瞬何を言われたのか解らなかった__訳では無く。
「(そりゃそうだ。『堕ち武者』なんて恐怖の対象でしかないもんな)」
堕ち武者……いつ生まれたのかは定かでは無い。「怪傑色(かいけつしょく)」という摩訶不思議な力を持つ色を使って、人々を殺し、魂を喰らうという化け物。
怪傑色は人間も使えると言うが、婢魔呂は今まで一度も見たことが無い。
堕ち武者は、見た目は大体が人形(ひとがた)、しかし、人ならざる存在だ。
魂を喰らえば死なないが、喰らわなければいずれ死ぬ。
そんな中、婢魔呂は珍しく自我を持つという特徴がある堕ち武者である。
故に感情があり、故に善悪の区別を見分けられる。
人の心を持たない人外から産まれた、人の心を持った人外。
果たして、それは喜ばしい事なのだろうか。
「君はこの子、『刃峰翠輝(じんのうあきてる)』君__この国の現天皇様を襲ったからね」
え、と婢魔呂は間抜けな声を漏らす。
こいつが、天皇? こんな弱虫が?
何故、この一言に尽きる。
「じゃ、早速死刑実行と行こうか」
只でさえ暗い部屋の中、灯火が全て消えた。
__だが、次の瞬間、一本の火柱が部屋中を赤く照らした。 「怪傑色__”赤"……!!」
火柱だと思っていたそれ(・・)は、炎を纏(まと)う刀だった。
「ちょ、僕離れてもいいですか?」
弱虫天皇、翠輝は、刀を胸の前で構える男に懇願するように尋ねる。
「どうぞ、下がっていて下さい」
男は、赤く照らされいる婢魔呂を見たまま言った。
「お、お前……何者だ……?」
「上級堕ち武者狩り人……『斬雨寛太(きりさめ かんた)。
君と(・・)同じ、怪傑色"赤"の人間だよ」
寛太は静かにそう言い、婢魔呂に一瞬で近付いた。
「……!?」
早い。早すぎる。
これから死ぬのか。でも何故だろう。
実感が湧かない__。
そして__
「……」
首を斬ると思われた瞬間、刀はすんでの所で止まり、炎は消え、しかし再び灯火が灯った。
「あのさ。ちょっといいかい?」
キン!! と勢い良く、鞘に刀を納めた寛太は、胡座をかいて婢魔呂に問いかける。
「ん……?」
死んだと思った婢魔呂は、ゆっくりと顔を寛太に向けた。
「死刑を免除する方法がさ。一つあるわけ。その内容なんだけど。
この翠輝君の『影武者』をやるっていう内容なんだよね~」
本当なのだろうか。
「やろう」、と言う前に、少し躊躇った。
翠輝(こいつ)の影武者をやるだって?
影武者は顔が似ている者を選ぶのでは?
と、婢魔呂が聞くと、寛太は笑いながら答えた。
「まあ、ほぼ護衛みたいなもんよ。
この子、何故か堕ち武者に狙われてるから」
理解__した。
要は、こいつ(翠輝)の護衛をすれば殺されないという訳なのだろう。
「分かった、のろう・・・」
翠輝は今にも泣き出しそうな顔だったが、婢魔呂は一言彼に言う。
「安信しろ。誰にも殺させない」
「フフフ、決まりだね」

一話「影武者」了

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

早速長文で失礼しますm(_ _)m
ちょっと訂正したんで見てねください。
ありがたーいコメントとか色々お待ちしてます!!

2023/04/29 12:00

星いくら ID:≫8pxgbOQsIvzHw
続きを執筆
小説を編集
/ 2

コメント
[0]

小説通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

※できるだけ具体的に記入してください。
特に盗作投稿については、どういった部分が元作品と類似しているかを具体的にお伝え下さい。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL