「堕」影武者
時は明治初期の日本。
その時日本は、滅亡の危機に見回れていた。
「怪傑色(かいけっしょく)」という特別な色で、妖しき術を使って人間を殺す「堕ち武者(おちむしゃ)」が現れたためである。
これは、堕ち武者の少年と、弱虫の天皇の冒険譚だ。
***
少年は走る。化け物から逃げるために。
「うわぁぁぁ!! 助けてぇぇぇ!!」
静かな森の中、しかし甲高い声が静寂を破る。
ふと後ろを覗くと、木々の隙間から、追いかけてくる人影が見えて、殊更に絶叫し、足を動かす早さを上げる。
「死ぬ!! 死ぬ死ぬ死ぬ!!」
子供の叫び声に気づいたのか、子供の前から複数の、羽織を羽織った男達が出てきた。
「大丈夫ですか!? 殿!!」
男達が子供の後ろを見ると、追いかけてくる者__少年の姿が露になった。
「うらぁ!!」
その瞬間その少年が、腰から鈍く光る刀を引き出した__が。
「フッ!!」
「ガッ……!!」
男達の中の一人が手刀で少年の首の直撃させた。
そして、少年の意識は遠退いてゆくのだった。
***
「う、うぅん……あ?」
目を開けると、まず灯火が目に入った。
辺りを見渡すと、そこは部屋で、自分を囲むように、多くの灯火が灯されていた。
「……あ、そうだ、俺は、捕まって……」
この少年の名前は「無帝婢魔呂(むてい ひまろ)」。
自我を持つという特徴がある数少ない「 堕ち武者(おちむしゃ)」の一人だ。
序章 了
その時日本は、滅亡の危機に見回れていた。
「怪傑色(かいけっしょく)」という特別な色で、妖しき術を使って人間を殺す「堕ち武者(おちむしゃ)」が現れたためである。
これは、堕ち武者の少年と、弱虫の天皇の冒険譚だ。
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少年は走る。化け物から逃げるために。
「うわぁぁぁ!! 助けてぇぇぇ!!」
静かな森の中、しかし甲高い声が静寂を破る。
ふと後ろを覗くと、木々の隙間から、追いかけてくる人影が見えて、殊更に絶叫し、足を動かす早さを上げる。
「死ぬ!! 死ぬ死ぬ死ぬ!!」
子供の叫び声に気づいたのか、子供の前から複数の、羽織を羽織った男達が出てきた。
「大丈夫ですか!? 殿!!」
男達が子供の後ろを見ると、追いかけてくる者__少年の姿が露になった。
「うらぁ!!」
その瞬間その少年が、腰から鈍く光る刀を引き出した__が。
「フッ!!」
「ガッ……!!」
男達の中の一人が手刀で少年の首の直撃させた。
そして、少年の意識は遠退いてゆくのだった。
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「う、うぅん……あ?」
目を開けると、まず灯火が目に入った。
辺りを見渡すと、そこは部屋で、自分を囲むように、多くの灯火が灯されていた。
「……あ、そうだ、俺は、捕まって……」
この少年の名前は「無帝婢魔呂(むてい ひまろ)」。
自我を持つという特徴がある数少ない「 堕ち武者(おちむしゃ)」の一人だ。
序章 了
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