二次創作
色々投稿するやつ!!
私は、「ノンバイナリー」という病?を持っている。日本では「Xジェンダー」と言うらしい。
ノンバイナリーとは、男性でも女性でもない、または女性でも男性でもあるという意味だ。
自分のことを「私」というが、将来のことを考えて私と言っているだけで、本当は「私」でも「僕or俺」でもない。
性別がない。それは、本人にとっては葛藤であり不幸でもある。
女子トイレか男子トイレ、どっちを行って良いか分からない。服を着替えるのは?お泊りは?これら以外にも、悩みや疑問はたっくさんある。
性別がない。それは、イジメの原因でもある。
女子の見た目なのに女子を好きになったら、嫌われる。男子の見た目なのに男子を好きになったら嫌われる。女子トイレに男子が入ったと勘違いされる。男子トイレに女子が入ったと勘違いされる。更衣室に女子or男子がいる。
勝手に都合よく勘違いされ、社会のゴミと言われる。
私を「性別がない」と生んだのは、誰でもない。母でも父でもない。私は、[太字]偶然[/太字]、「性別がない」と生まれた。偶然をどうしろと言うんだ?そう言っても、誰も聞いてくれやしない。誰も聞く耳を持たない。
そんな人だとは知らずに、あなたはイジメて、傷つけていませんか?
私の名前は[漢字]栗原 藍[/漢字][ふりがな]くりはら らん[/ふりがな]。普通の小学生・・・ではない。
私は、[漢字]Xジェンダー[/漢字][ふりがな]ノンバイナリー[/ふりがな]だ。性別がはっきりとしていない。女でも男でもない。
妹ははっきりとした女だ。妹、[漢字]鈴[/漢字][ふりがな]りん[/ふりがな]は私をよく気遣ってくれる。トラブルがあったらいつも対応してくれる。鈴は芯が強く、メンタルも強い。だから、いつも私を守ってくれる。
母も、父も私を気遣ってくれる。学校や塾には毎回、教師に伝える時にいつもついてきてくれている。
私は、女でも男でもない顔をしている。曖昧な顔、髪の一部だけ伸びた曖昧な髪型。痩せ型だけど、力も運動も強い曖昧な身体。芯は強くてもメンタルは弱い曖昧な心。
[太字][大文字][大文字][中央寄せ][明朝体]私ってなんだ?[/明朝体][/中央寄せ][/大文字][/大文字][/太字]
いつもその思いが溢れる。家で毎晩泣いていた時もあった。
ネネ :「ねぇ、藍ちゃん!一緒にトイレ行かない?」
ネネ。ネネは私をイジメている女子。外見はとても可愛いから、好きになる男子も多い。
トイレ。トイレは、私をイジメる定番の場所。
バシャッ
あぁ、またか。何回ホースで水をかけられたのだろうか。その冷たさに、もう慣れていた。ネネの冷たさにも。
ネネ :「あのさ、あたしをキモい目で見ないでくれる?キモいんだよ。いっつも曖昧な顔しやがって。ってゆーか、お前女なの?男なの?」
・・・いつも言われるこの質問。私は特に何も言わない。言わないが吉。言ったら負け。
藍 :「・・・。」
ネネ :「ちっ・・・いい加減言えよ!何回黙ったら気が済むの!?」
藍 :「・・・どうせ言ったって聞かないでしょ。自分が都合よく勘違いするんだから。自分が都合よく性別を決めるんだから。自分が都合よく・・・都合よく相手を苦しめるから!!」
自分でもビックリするような声を出した。初めてだ。こんなに大きい声を出したのは。声の大きさは、男子のような感じだった。
その声にビビって、ネネは固まった。
ネネ :「っ・・・!なっなによその目!あんたが言わないからこうなるんでしょ!?」
藍 :「私が言わないから?私が黙ってるから?質問したから答えただけなのに、前に答えた時のことを覚えやしない!その脳、本当に都合よくできてんね。もう・・・黙れよ。」
今度は低い低い声。
ネネ :「あっ・・・あぁ・・・。」
藍 :「こんなになるんだったら・・・・もっと早くこうするべきだった。」
そう言い、カッターを取り出し、自分の手首に近づけた。今度は本気だ。
ネネ :「だっダメ・・・。」
もうネネの声なんか耳に届かなかった。
すると、私の大声を聞いた先生が駆けつけてきた。
先生1 :「何事!?」
先生2 :「ネっネネさん?なんでホースを握っているの?あっ・・・藍さん、カッターから手を離して!死んじゃダメよ!」
先生1 :「なっなにがあったんですか?」
ネネはかすれた声で答えた。
ネネ :「らっらっ藍さんが・・・・急におっぉっ大声を出して・・・ホースを握らせてきて_」
藍 :「違います。」
ネネの言葉を遮るように、否定するように、無意識に声が出た。
藍 :「毎日、ネネさんにイジメられていました。理由付けてイジメてきました。ホースは、ネネさんが最初から持っていました。ホースで水をかけられました。それで、もう耐えられなくて・・・死のうとしました。」
全部言ってやった。簡潔に言ってやった。先生達は混乱していたけど、私がびしょ濡れなのを見て状況を少し理解し、タオルをくれて、保健室に連れてってくれた。
先生1 :「藍さんはネネさんに毎日イジメられていた。色んな理由付けてイジメた・・・そして、性別を聞かされた・・・それで・・・・カッターで死のうと。」
藍 :「はい・・・。」
返事をしたら、先生達が何やらコソコソ話し始めた。
先生2 :「[小文字]学期の最初に説明しましたよね?藍さんは性別がはっきりと分かれていないから、性別のことは聞くなって。[/小文字]」
先生1 :「[小文字]はい。・・・でも、まさかネネさんが・・・。自殺にまで追いやるなんて。[/小文字]」
ネネはああ見えて、学級委員なのだ。結構しっかりしているから、ネネがイジメをしているとはあまり思わなかっただろう。
先生1 :「校長先生と教育委員会と、ご家族に連絡するので、安静にしといてください。何かあったら伝えてね。」
藍 :「はい。」
すぐに母が迎えに来てくれて、しばらく先生が母に内容を話し、話が終わったら母と私は家に帰った。
数日間休んだ。授業はリモート授業を受けるから問題はなかった。授業に関して・・・は。
数日すると、母の携帯に電話がかかってきた。
藍の母 :「はい。はい。あっ・・・分か・・・りました。」
母が電話を切ると、心配そうに私を見てきた。
藍の母 :「一緒に話し合いするから、学校に来てだって。」
藍 :「え・・・。」
学校・・・がっ・・・・こう・・・。行きたくない・・・。
でも・・・・ちょっとぐらい先生と会わなきゃ。
先生1 :「藍さんに問題はありませんでした?」
藍の母 :「はい。大丈夫でした。」
先生2 :「重要な話があるので、藍さんもついてきてください。」
藍 :「あっはい。」
話し合いの結果、ネネは出席停止、先生は何週間かの自宅待機・・・だっけ?
私が殺人未遂にしたから、重大なことだと教育委員会は認め、保護者会&記者会見を開くんだそう。
先生や母は、私を気遣って、会見には出ないように言ってくれたけど、自分が体験したことを直接話したいから、自分から出ることを決めた。
でも、正直、ネネには申し訳ない。ネネの昔と今を知っているから。
_時は遡り・・・数年前(蓮の回想・思い出し)_
当時はネネと私は普通の関係だった。時には話し合い、時には遊び合う仲だった。
ネネは、親から常に完璧を求められていた・・・らしい。勉強とか日常生活で、常に満点を、と言われていた。
ネネ :「お母さんね、怖いんだー。何かあったらすぐに怒るし、たまに叩いてくるんだ。」
それは虐待では?と思った。当時、ちょうど難しい言葉を色々覚えたばかりだから、虐待の意味も知っていた。
虐待の証拠を撮ろう、と提案したが、ネネは勢いよく首を横に振った。
ネネ :「お母さん、警戒心強いし、細かいところまでお掃除するからすぐにカメラ見つかっちゃう。」
蓮 :「そっか・・・。」
私には何ができるか、ずっと悩んでいるうちに、半年が過ぎてしまった。
2学期の最初の方に、学級委員決めで、ネネが推薦でダントツで票が多かったから、ネネは断ることもできずに学級員になった。後期副委員長になり、「完璧」というプレッシャーで、自分を殺していた。私は相手の表情で今どんな気持ちか分かるから、その疲労をよく知っていた。
私から相談しようとしたが、学級や委員会、家のことで会う時間がだんだん減っていった。
そして、ネネはイジメを始めた。プレッシャーやプライドで力尽き、別の〝遊び〟に手を出してしまった。
私へのイジメの、最大の原因は当時の私でも検討がついた。
ネネが喜ぶなら、私は犠牲になってもいい。
ネネが・・・喜ぶなら・・・・。
_現実_
ピンポーン
会見が翌週に迫った日。私は、ネネの家に訪問した。
ガチャ
ネネの母:「はい。あっ・・・・藍・・・ちゃん?」
藍 :「はい。ネネに話があって。」
ネネの母:「・・・・・一旦、家に上がって。」
ネネの家に入るのは何年ぶりかだ。家具の位置はまぁまぁ変わっていたが、雰囲気は変わっていなかった。
ただ・・・ネネの母の機嫌は、なんとも言えぬ顔をしていた。
ネネの母:「座って。はぁ・・・。」
ネネの母が小さい声で、大きなため息をついた。
ネネの母:「まさか、ネネが藍ちゃんをイジメていたとは思わなかったわ。親として、恥ずかしいし、責任があるわ。親として、本当にごめんなさい。[小文字][小文字]あぁ・・・私の育て方が悪かったのかしら・・・でも、教育は完璧だったはず。個人で行ったのかしら?いや・・・どこで間違えたんだろう。[/小文字][/小文字]」
何やらブツブツ独り言を話し始めたが、何を言っているか分からない。とりあえず、気付かないふり。
蓮 :「ネネに会いたいんですが・・・今、話せる状態ですか?」
ネネの母:「・・えぇ。でも、藍ちゃんをイジメたことには変わりないから、ネネが何するか分からないの。私も一緒に_」
蓮 :「大丈夫です。ネネは・・・そんなことをしないので。」
ネネの母:「[小文字][小文字]え?[/小文字][/小文字]じゃあ・・・案内するわ。」
そう言って、案内してくれた。しかし・・・違和感があった。
部屋が変わっていなければ、ネネの部屋は2階のはず。でも、今いるのは3階だ。部屋、変わったのかな?
・・・やっぱりおかしい。3階の奥の部屋を、我が娘の部屋にするはずがない。ネネの母は、常に完璧を求める人だ。環境が悪いと、勉強にも影響がある。こんな部屋にするわけがない。
コンコン
ネネの母:「入るわよ。」
思わずゾッとした。「入るわよ。」の声が、女性とは思えない声の低さだった。
ガチャ キイィ
古そうな扉を開けると、貧乏そうなベッドにネネがくるまっていた。
そういえば・・・なんで[太字]鍵をかけていた[/太字]んだろうか。
ネネ :「ぉっかぁ・・・・・さん・・・・・・。」
ネネの母:「[小文字][小文字]ちっ。[/小文字][/小文字]」
ネネ :「ひっ・・・・!」
ネネの母:「藍ちゃんが話があるんだって。・・・お母さんに恥をかかせんなよ。」
っ・・・。もう分かった。これで確証した。
ネネの母は、自分の肩書きのために、ネネを完璧にしているんだ。
「娘を超エリート校に行かせた母」という肩書きを狙っているのだろうか。我が子を完璧にしようとする親は、大体、我が子のためではなく自分の肩書きのために完璧にしているんだ。
ネネ :「な・・・に・・・・?」
藍 :「単刀直入に言うね。ネネの母の虐待を証明しよう。」
ネネ :「・・・え?」
藍 :「噂なんだけど、ネネがまだ、今も虐待を受けているって聞いて。昔のことでも虐待だ。私は、ネネが私をイジメているのは、ネネの母の虐待の疲れからだと思うんだ。そうでしょ?」
そう言うと、ネネはコクンと頷いた。
藍 :「実はさ・・・ず〜っとネネに、みんなに隠していたことがあるんだ。ネネの部屋の、電気の裏に盗聴器と超小型カメラ仕掛けたんだ。ネネと私が、喋らなくなる直前に遊びに行った時に。その時、ネネの部屋で殴られたり蹴られたりしてる〜って言ってたし。」
ネネ :「?????え??」
藍 :「取りに行こ。嘘ついて。」
ネネ :「でもっ・・・・嘘ついたら_」
藍 :「嘘をついているのは母の方だ。ネネじゃない。」
ネネ :「っ・・・うん。」
ネネの母:「『お気に入りのボールペンを取りに行きたい』?・・・はぁ。いいわよ。ただし、すぐに戻ってくることね!!」
強めの口調で言ってきたが、私はこんなことで屈しない。
ネネのためだ。
屈してたまるか。
藍 :「あった!」
ネネ :「ほっほんとにあった!」
藍 :「よし。これ、先生に見せ_」
ネネ :「ねぇ。」
藍 :「ん?」
ネネ :「なんで・・・私のために相談のってくれたりしてくれるの?」
藍 :「え・・・。」
たし・・・かに。なんで私ネネのためにこうしてるんだろ。
藍 :「さぁ・・・分かんないな。さ、早く学校行こ。」
無意識に微笑むと、ネネは顔を赤くした。
ネネ :「うぇ!?えっあえっうん・・・!!」
ん??
ネネの母:「ネネ!!早く出てきなさい!蓮ちゃんはどうなってんの!?ちっ・・・!」
ダンッ!!
ネネの母:「_え?ネネ・・・?ネネ!!!!!」
ネネの母の目に入ったのは、風がビュウビュウと通る窓だった。
ネネ :「はっはぁっはぁっ!藍っ早い!」
あっそっか・・・私の体力は女じゃない。私の体力は男並みだ。ネネがついてこれるのは難しいか。
?? :「あれぇ!藍じゃん!」
藍 :「あっ_[漢字][太字][大文字]優衣[/大文字][/太字][/漢字][ふりがな]ゆい[/ふりがな]!!」
優衣 :「げっ・・・ネネ・・・・お前、藍に何したんだ!!」
藍 :「優衣!お母さんかお父さん、いる?」(((無視!!
優衣 :「・・・いるよぉ〜。」
藍 :「車で学校に送ってってほしいんだけど!」
優衣 :「わっわかった!」
プルプルプルプル・・・
ん?誰か震えてる。
藍 :「_ネネ?」
ネネ :「みんな・・・私のこと嫌いなんだね。そうだよね・・・普通、イジメられっ子と一緒に走ってるイジメっ子なんていないよね・・・私、罪犯してるもんね。」
藍 :「責めんなよ。」
ネネ :「えっ?」
藍 :「[太字][下線]俺[/下線][/太字]は、自分を責める奴が1番嫌いなんだよ。」
いつの間にか、俺と言っていた。そのことは数秒後に分かったから、無意識に口に出していたんだと思う。
ネネ :「嫌・・・い。責めなかったら・・・[小文字][小文字]好[/小文字][/小文字]・・・・・んなわけ!」
なにを言ってんだ?
優衣の父:「急いだ方がいい?」
藍 :「はい!」
急げ・・・急ぐんだ、
[太字][大文字][大文字][中央寄せ][明朝体]俺!![/明朝体][/中央寄せ][/大文字][/大文字][/太字]
先生2 :「あれ?藍さんと・・・ネネさん?」
藍 :「これ、見て下さい!」
ザザッ
ネネの母:『また満点じゃないってどういうこと!?なんで満点になんないの!?』
『ゴッ』
ネネ :『い゙っ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・。』
ネネの母:『ちっマジで使えねぇな!今度満点じゃなかったら2日間飯抜きだ!』
ネネ :『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・だから、ご飯抜きは・・・!』
先生5 :「え・・・これって・・・ネネさんのお母さん?もしかして、虐待?」
ネネ :「は・・・い・・・。」
先生4 :「え!?」
藍 :「ネネから私へのイジメが発覚したら、たぶんですけどネネは、ネネの母に汚い部屋に閉じ込められていました。」
先生1 :「きょっ教育委員会に連絡してきます!」
先生3 :「・・・・・ネネさん。記者会見に出ますか?」
ネネ :「えっ?」
先生3 :「藍さんと一緒に、この虐待の証拠の音声と映像を記者会見で晒してほしいんです。もちろん、最初から出るのは精神的にダメなので、晒す前に出て藍さんと一緒に晒す、と。」
藍 :「えっ、ネネは色々質問されたりバッシング受けるかもしれないですよ?」
先生3 :「そこは先生が責任を取る。質問やバッシングは無視してくれ。」
藍 :「ん・・・ネネ、大丈夫?」
ネネ :「・・・うん。記者会見、出ます。私の犯した罪を、少しでも償いたいんです。」
先生2 :「分かった!席1つ増やそ!」
先生1 :「テーブル、ギリギリじゃない?」
先生4 :「いや、大丈夫。予備用のマイクを置いている場所があるから、そこを椅子にすればたぶん大丈夫です。」
すごい・・・先生ってこんなにテキパキしてるんだ。
私にできることはあるかな?
蓮 :「先生、私にできることってありますか?」
先生5 :「うーん・・・一応、ネネさんは精神の専門家に相談した方が良いから藍さんも一緒についていったらいいかも。」
蓮 :「はいっ!!」
ネネの母:『また満点じゃないってどういうこと!?なんで満点になんないの!?』
『ゴッ』
ネネ :『い゙っ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・。』
ネネの母:『ちっマジで使えねぇな!今度満点じゃなかったら2日間飯抜きだ!』
ネネ :『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・だから、ご飯抜きは・・・!』
この声が会場内に響く。
私とネネがいるのは、学校の体育館。ステージ側に座っていて、目の前に記者とカメラマンがうじゃうじゃいる。
記者やカメラマンは、次第にざわめき始めた。
ネネは、ネネの母に何も言わずに記者会見に出ると決まったから、会見までの数日間は私の家に泊まらせた。
スゥ・・・と呼吸をし、意識を整え、マイクを持った。
藍 :「辻本 ネネさんは、母親の辻本 アカネから虐待を受けていました。満点じゃないと、常に完璧じゃないと母親から、殴られる、蹴られる、叩かれる、ひどい場合には数日間ご飯抜きにされたり家を追い出されたりしていました。」
またざわめきが大きくなる。
藍 :「そのことを知って、私はこう思いました。常に満点で完璧でないといけない。でも、それがプレッシャーやストレスになり、違う遊びに手を出してしまった・・・と、私は思います。完璧を強いられ、自分を殺してしまった人は、殺人やイジメに繋がってしまうのです。 今回のイジメの本当の原因は、母親からの虐待により自分を制御できなくなり、本当の自分を失ってしまったからだと私は思います。 このように、両親から、家族から何かを強いられてきたからイジメ、殺人を犯してしまったというのは世の中にたくさんあると思います。 こんな思いは、私を最後にしてほしい。それが、私の願いです。」
長い言葉だったが、記者達は分かってくれたようだ。
この思いは、私やネネを最後に終わってほしい。しないでほしい。これは、私とネネの本望だ。
会見は無事に終わり、片付けをした。
今頃、ネネの母はバッシングや質問が殺到しているだろう。その苦労や痛みがネネの体験の全てなのだ。やり返してやった。それは、私にとっても嬉しいことだ。[太字]友達[/太字]を守れた。それは、世界にとってほんの小さな一歩であり、大きな一歩なのだ。
その後、虐待の証拠を警察に提出し、数ヶ月後にネネの母は逮捕。
今もネネは定期的に精神科に通院し、今は数年前の関係とほぼ同じになっている。
でも、変わったことが3つある。それは_
ネネ :「藍〜!」
藍 :「なんだよ。」
ネネ :「こっちのリップとこっちのリップ、どっちが良い?」
藍 :「どっちも同じに見える。」
ネネ :「え〜・・・ほんと藍って冷たい狼だよね〜。」
藍 :「誰が冷たい狼だ。」
ネネ :「だって今日[太字][大文字][明朝体]デート[/明朝体][/大文字][/太字]なのに〜。」
藍 :「早く支度しろよ。」
ネネ :「けっ。」
今日はネネとデート。
デート・・・あぁそうそう。栗原 藍、[太字]俺[/太字]は事件が終わった後に、男になることを決意した。男性ホルモンを増やして男にする・・・だっけ??ま、男になる治療をすることを決意した。今も男だ。
2つ目は、俺とネネは付き合っている。付き合い始めて何年か経った。ネネいわく、元々俺に好意を寄せていたらしい。イジメていたのは我を忘れたからであって、[太字]ネネ本人がやったわけじゃない[/太字]・・・らしい。
3つ目は、ネネは栗原家の養子になった。ネネの母も許可した(←拒否権はあまり無いため)から、養子として迎えた。だから、同じ家に住んでいる。同棲だ。家庭内カップルってあんまり聞いたことないけど、血は繋がってないし、法律で結婚は認められなくても付き合うことは罪じゃないだろう。たぶん!
藍 :「行ってきまーす。」
ネネ :「行ってきま〜す!」
[大文字][中央寄せ][明朝体][大文字]天気は快晴。どんな〝今日〟が待っているかな。[/大文字][/明朝体][/中央寄せ][/大文字]
ノンバイナリーとは、男性でも女性でもない、または女性でも男性でもあるという意味だ。
自分のことを「私」というが、将来のことを考えて私と言っているだけで、本当は「私」でも「僕or俺」でもない。
性別がない。それは、本人にとっては葛藤であり不幸でもある。
女子トイレか男子トイレ、どっちを行って良いか分からない。服を着替えるのは?お泊りは?これら以外にも、悩みや疑問はたっくさんある。
性別がない。それは、イジメの原因でもある。
女子の見た目なのに女子を好きになったら、嫌われる。男子の見た目なのに男子を好きになったら嫌われる。女子トイレに男子が入ったと勘違いされる。男子トイレに女子が入ったと勘違いされる。更衣室に女子or男子がいる。
勝手に都合よく勘違いされ、社会のゴミと言われる。
私を「性別がない」と生んだのは、誰でもない。母でも父でもない。私は、[太字]偶然[/太字]、「性別がない」と生まれた。偶然をどうしろと言うんだ?そう言っても、誰も聞いてくれやしない。誰も聞く耳を持たない。
そんな人だとは知らずに、あなたはイジメて、傷つけていませんか?
私の名前は[漢字]栗原 藍[/漢字][ふりがな]くりはら らん[/ふりがな]。普通の小学生・・・ではない。
私は、[漢字]Xジェンダー[/漢字][ふりがな]ノンバイナリー[/ふりがな]だ。性別がはっきりとしていない。女でも男でもない。
妹ははっきりとした女だ。妹、[漢字]鈴[/漢字][ふりがな]りん[/ふりがな]は私をよく気遣ってくれる。トラブルがあったらいつも対応してくれる。鈴は芯が強く、メンタルも強い。だから、いつも私を守ってくれる。
母も、父も私を気遣ってくれる。学校や塾には毎回、教師に伝える時にいつもついてきてくれている。
私は、女でも男でもない顔をしている。曖昧な顔、髪の一部だけ伸びた曖昧な髪型。痩せ型だけど、力も運動も強い曖昧な身体。芯は強くてもメンタルは弱い曖昧な心。
[太字][大文字][大文字][中央寄せ][明朝体]私ってなんだ?[/明朝体][/中央寄せ][/大文字][/大文字][/太字]
いつもその思いが溢れる。家で毎晩泣いていた時もあった。
ネネ :「ねぇ、藍ちゃん!一緒にトイレ行かない?」
ネネ。ネネは私をイジメている女子。外見はとても可愛いから、好きになる男子も多い。
トイレ。トイレは、私をイジメる定番の場所。
バシャッ
あぁ、またか。何回ホースで水をかけられたのだろうか。その冷たさに、もう慣れていた。ネネの冷たさにも。
ネネ :「あのさ、あたしをキモい目で見ないでくれる?キモいんだよ。いっつも曖昧な顔しやがって。ってゆーか、お前女なの?男なの?」
・・・いつも言われるこの質問。私は特に何も言わない。言わないが吉。言ったら負け。
藍 :「・・・。」
ネネ :「ちっ・・・いい加減言えよ!何回黙ったら気が済むの!?」
藍 :「・・・どうせ言ったって聞かないでしょ。自分が都合よく勘違いするんだから。自分が都合よく性別を決めるんだから。自分が都合よく・・・都合よく相手を苦しめるから!!」
自分でもビックリするような声を出した。初めてだ。こんなに大きい声を出したのは。声の大きさは、男子のような感じだった。
その声にビビって、ネネは固まった。
ネネ :「っ・・・!なっなによその目!あんたが言わないからこうなるんでしょ!?」
藍 :「私が言わないから?私が黙ってるから?質問したから答えただけなのに、前に答えた時のことを覚えやしない!その脳、本当に都合よくできてんね。もう・・・黙れよ。」
今度は低い低い声。
ネネ :「あっ・・・あぁ・・・。」
藍 :「こんなになるんだったら・・・・もっと早くこうするべきだった。」
そう言い、カッターを取り出し、自分の手首に近づけた。今度は本気だ。
ネネ :「だっダメ・・・。」
もうネネの声なんか耳に届かなかった。
すると、私の大声を聞いた先生が駆けつけてきた。
先生1 :「何事!?」
先生2 :「ネっネネさん?なんでホースを握っているの?あっ・・・藍さん、カッターから手を離して!死んじゃダメよ!」
先生1 :「なっなにがあったんですか?」
ネネはかすれた声で答えた。
ネネ :「らっらっ藍さんが・・・・急におっぉっ大声を出して・・・ホースを握らせてきて_」
藍 :「違います。」
ネネの言葉を遮るように、否定するように、無意識に声が出た。
藍 :「毎日、ネネさんにイジメられていました。理由付けてイジメてきました。ホースは、ネネさんが最初から持っていました。ホースで水をかけられました。それで、もう耐えられなくて・・・死のうとしました。」
全部言ってやった。簡潔に言ってやった。先生達は混乱していたけど、私がびしょ濡れなのを見て状況を少し理解し、タオルをくれて、保健室に連れてってくれた。
先生1 :「藍さんはネネさんに毎日イジメられていた。色んな理由付けてイジメた・・・そして、性別を聞かされた・・・それで・・・・カッターで死のうと。」
藍 :「はい・・・。」
返事をしたら、先生達が何やらコソコソ話し始めた。
先生2 :「[小文字]学期の最初に説明しましたよね?藍さんは性別がはっきりと分かれていないから、性別のことは聞くなって。[/小文字]」
先生1 :「[小文字]はい。・・・でも、まさかネネさんが・・・。自殺にまで追いやるなんて。[/小文字]」
ネネはああ見えて、学級委員なのだ。結構しっかりしているから、ネネがイジメをしているとはあまり思わなかっただろう。
先生1 :「校長先生と教育委員会と、ご家族に連絡するので、安静にしといてください。何かあったら伝えてね。」
藍 :「はい。」
すぐに母が迎えに来てくれて、しばらく先生が母に内容を話し、話が終わったら母と私は家に帰った。
数日間休んだ。授業はリモート授業を受けるから問題はなかった。授業に関して・・・は。
数日すると、母の携帯に電話がかかってきた。
藍の母 :「はい。はい。あっ・・・分か・・・りました。」
母が電話を切ると、心配そうに私を見てきた。
藍の母 :「一緒に話し合いするから、学校に来てだって。」
藍 :「え・・・。」
学校・・・がっ・・・・こう・・・。行きたくない・・・。
でも・・・・ちょっとぐらい先生と会わなきゃ。
先生1 :「藍さんに問題はありませんでした?」
藍の母 :「はい。大丈夫でした。」
先生2 :「重要な話があるので、藍さんもついてきてください。」
藍 :「あっはい。」
話し合いの結果、ネネは出席停止、先生は何週間かの自宅待機・・・だっけ?
私が殺人未遂にしたから、重大なことだと教育委員会は認め、保護者会&記者会見を開くんだそう。
先生や母は、私を気遣って、会見には出ないように言ってくれたけど、自分が体験したことを直接話したいから、自分から出ることを決めた。
でも、正直、ネネには申し訳ない。ネネの昔と今を知っているから。
_時は遡り・・・数年前(蓮の回想・思い出し)_
当時はネネと私は普通の関係だった。時には話し合い、時には遊び合う仲だった。
ネネは、親から常に完璧を求められていた・・・らしい。勉強とか日常生活で、常に満点を、と言われていた。
ネネ :「お母さんね、怖いんだー。何かあったらすぐに怒るし、たまに叩いてくるんだ。」
それは虐待では?と思った。当時、ちょうど難しい言葉を色々覚えたばかりだから、虐待の意味も知っていた。
虐待の証拠を撮ろう、と提案したが、ネネは勢いよく首を横に振った。
ネネ :「お母さん、警戒心強いし、細かいところまでお掃除するからすぐにカメラ見つかっちゃう。」
蓮 :「そっか・・・。」
私には何ができるか、ずっと悩んでいるうちに、半年が過ぎてしまった。
2学期の最初の方に、学級委員決めで、ネネが推薦でダントツで票が多かったから、ネネは断ることもできずに学級員になった。後期副委員長になり、「完璧」というプレッシャーで、自分を殺していた。私は相手の表情で今どんな気持ちか分かるから、その疲労をよく知っていた。
私から相談しようとしたが、学級や委員会、家のことで会う時間がだんだん減っていった。
そして、ネネはイジメを始めた。プレッシャーやプライドで力尽き、別の〝遊び〟に手を出してしまった。
私へのイジメの、最大の原因は当時の私でも検討がついた。
ネネが喜ぶなら、私は犠牲になってもいい。
ネネが・・・喜ぶなら・・・・。
_現実_
ピンポーン
会見が翌週に迫った日。私は、ネネの家に訪問した。
ガチャ
ネネの母:「はい。あっ・・・・藍・・・ちゃん?」
藍 :「はい。ネネに話があって。」
ネネの母:「・・・・・一旦、家に上がって。」
ネネの家に入るのは何年ぶりかだ。家具の位置はまぁまぁ変わっていたが、雰囲気は変わっていなかった。
ただ・・・ネネの母の機嫌は、なんとも言えぬ顔をしていた。
ネネの母:「座って。はぁ・・・。」
ネネの母が小さい声で、大きなため息をついた。
ネネの母:「まさか、ネネが藍ちゃんをイジメていたとは思わなかったわ。親として、恥ずかしいし、責任があるわ。親として、本当にごめんなさい。[小文字][小文字]あぁ・・・私の育て方が悪かったのかしら・・・でも、教育は完璧だったはず。個人で行ったのかしら?いや・・・どこで間違えたんだろう。[/小文字][/小文字]」
何やらブツブツ独り言を話し始めたが、何を言っているか分からない。とりあえず、気付かないふり。
蓮 :「ネネに会いたいんですが・・・今、話せる状態ですか?」
ネネの母:「・・えぇ。でも、藍ちゃんをイジメたことには変わりないから、ネネが何するか分からないの。私も一緒に_」
蓮 :「大丈夫です。ネネは・・・そんなことをしないので。」
ネネの母:「[小文字][小文字]え?[/小文字][/小文字]じゃあ・・・案内するわ。」
そう言って、案内してくれた。しかし・・・違和感があった。
部屋が変わっていなければ、ネネの部屋は2階のはず。でも、今いるのは3階だ。部屋、変わったのかな?
・・・やっぱりおかしい。3階の奥の部屋を、我が娘の部屋にするはずがない。ネネの母は、常に完璧を求める人だ。環境が悪いと、勉強にも影響がある。こんな部屋にするわけがない。
コンコン
ネネの母:「入るわよ。」
思わずゾッとした。「入るわよ。」の声が、女性とは思えない声の低さだった。
ガチャ キイィ
古そうな扉を開けると、貧乏そうなベッドにネネがくるまっていた。
そういえば・・・なんで[太字]鍵をかけていた[/太字]んだろうか。
ネネ :「ぉっかぁ・・・・・さん・・・・・・。」
ネネの母:「[小文字][小文字]ちっ。[/小文字][/小文字]」
ネネ :「ひっ・・・・!」
ネネの母:「藍ちゃんが話があるんだって。・・・お母さんに恥をかかせんなよ。」
っ・・・。もう分かった。これで確証した。
ネネの母は、自分の肩書きのために、ネネを完璧にしているんだ。
「娘を超エリート校に行かせた母」という肩書きを狙っているのだろうか。我が子を完璧にしようとする親は、大体、我が子のためではなく自分の肩書きのために完璧にしているんだ。
ネネ :「な・・・に・・・・?」
藍 :「単刀直入に言うね。ネネの母の虐待を証明しよう。」
ネネ :「・・・え?」
藍 :「噂なんだけど、ネネがまだ、今も虐待を受けているって聞いて。昔のことでも虐待だ。私は、ネネが私をイジメているのは、ネネの母の虐待の疲れからだと思うんだ。そうでしょ?」
そう言うと、ネネはコクンと頷いた。
藍 :「実はさ・・・ず〜っとネネに、みんなに隠していたことがあるんだ。ネネの部屋の、電気の裏に盗聴器と超小型カメラ仕掛けたんだ。ネネと私が、喋らなくなる直前に遊びに行った時に。その時、ネネの部屋で殴られたり蹴られたりしてる〜って言ってたし。」
ネネ :「?????え??」
藍 :「取りに行こ。嘘ついて。」
ネネ :「でもっ・・・・嘘ついたら_」
藍 :「嘘をついているのは母の方だ。ネネじゃない。」
ネネ :「っ・・・うん。」
ネネの母:「『お気に入りのボールペンを取りに行きたい』?・・・はぁ。いいわよ。ただし、すぐに戻ってくることね!!」
強めの口調で言ってきたが、私はこんなことで屈しない。
ネネのためだ。
屈してたまるか。
藍 :「あった!」
ネネ :「ほっほんとにあった!」
藍 :「よし。これ、先生に見せ_」
ネネ :「ねぇ。」
藍 :「ん?」
ネネ :「なんで・・・私のために相談のってくれたりしてくれるの?」
藍 :「え・・・。」
たし・・・かに。なんで私ネネのためにこうしてるんだろ。
藍 :「さぁ・・・分かんないな。さ、早く学校行こ。」
無意識に微笑むと、ネネは顔を赤くした。
ネネ :「うぇ!?えっあえっうん・・・!!」
ん??
ネネの母:「ネネ!!早く出てきなさい!蓮ちゃんはどうなってんの!?ちっ・・・!」
ダンッ!!
ネネの母:「_え?ネネ・・・?ネネ!!!!!」
ネネの母の目に入ったのは、風がビュウビュウと通る窓だった。
ネネ :「はっはぁっはぁっ!藍っ早い!」
あっそっか・・・私の体力は女じゃない。私の体力は男並みだ。ネネがついてこれるのは難しいか。
?? :「あれぇ!藍じゃん!」
藍 :「あっ_[漢字][太字][大文字]優衣[/大文字][/太字][/漢字][ふりがな]ゆい[/ふりがな]!!」
優衣 :「げっ・・・ネネ・・・・お前、藍に何したんだ!!」
藍 :「優衣!お母さんかお父さん、いる?」(((無視!!
優衣 :「・・・いるよぉ〜。」
藍 :「車で学校に送ってってほしいんだけど!」
優衣 :「わっわかった!」
プルプルプルプル・・・
ん?誰か震えてる。
藍 :「_ネネ?」
ネネ :「みんな・・・私のこと嫌いなんだね。そうだよね・・・普通、イジメられっ子と一緒に走ってるイジメっ子なんていないよね・・・私、罪犯してるもんね。」
藍 :「責めんなよ。」
ネネ :「えっ?」
藍 :「[太字][下線]俺[/下線][/太字]は、自分を責める奴が1番嫌いなんだよ。」
いつの間にか、俺と言っていた。そのことは数秒後に分かったから、無意識に口に出していたんだと思う。
ネネ :「嫌・・・い。責めなかったら・・・[小文字][小文字]好[/小文字][/小文字]・・・・・んなわけ!」
なにを言ってんだ?
優衣の父:「急いだ方がいい?」
藍 :「はい!」
急げ・・・急ぐんだ、
[太字][大文字][大文字][中央寄せ][明朝体]俺!![/明朝体][/中央寄せ][/大文字][/大文字][/太字]
先生2 :「あれ?藍さんと・・・ネネさん?」
藍 :「これ、見て下さい!」
ザザッ
ネネの母:『また満点じゃないってどういうこと!?なんで満点になんないの!?』
『ゴッ』
ネネ :『い゙っ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・。』
ネネの母:『ちっマジで使えねぇな!今度満点じゃなかったら2日間飯抜きだ!』
ネネ :『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・だから、ご飯抜きは・・・!』
先生5 :「え・・・これって・・・ネネさんのお母さん?もしかして、虐待?」
ネネ :「は・・・い・・・。」
先生4 :「え!?」
藍 :「ネネから私へのイジメが発覚したら、たぶんですけどネネは、ネネの母に汚い部屋に閉じ込められていました。」
先生1 :「きょっ教育委員会に連絡してきます!」
先生3 :「・・・・・ネネさん。記者会見に出ますか?」
ネネ :「えっ?」
先生3 :「藍さんと一緒に、この虐待の証拠の音声と映像を記者会見で晒してほしいんです。もちろん、最初から出るのは精神的にダメなので、晒す前に出て藍さんと一緒に晒す、と。」
藍 :「えっ、ネネは色々質問されたりバッシング受けるかもしれないですよ?」
先生3 :「そこは先生が責任を取る。質問やバッシングは無視してくれ。」
藍 :「ん・・・ネネ、大丈夫?」
ネネ :「・・・うん。記者会見、出ます。私の犯した罪を、少しでも償いたいんです。」
先生2 :「分かった!席1つ増やそ!」
先生1 :「テーブル、ギリギリじゃない?」
先生4 :「いや、大丈夫。予備用のマイクを置いている場所があるから、そこを椅子にすればたぶん大丈夫です。」
すごい・・・先生ってこんなにテキパキしてるんだ。
私にできることはあるかな?
蓮 :「先生、私にできることってありますか?」
先生5 :「うーん・・・一応、ネネさんは精神の専門家に相談した方が良いから藍さんも一緒についていったらいいかも。」
蓮 :「はいっ!!」
ネネの母:『また満点じゃないってどういうこと!?なんで満点になんないの!?』
『ゴッ』
ネネ :『い゙っ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・。』
ネネの母:『ちっマジで使えねぇな!今度満点じゃなかったら2日間飯抜きだ!』
ネネ :『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・だから、ご飯抜きは・・・!』
この声が会場内に響く。
私とネネがいるのは、学校の体育館。ステージ側に座っていて、目の前に記者とカメラマンがうじゃうじゃいる。
記者やカメラマンは、次第にざわめき始めた。
ネネは、ネネの母に何も言わずに記者会見に出ると決まったから、会見までの数日間は私の家に泊まらせた。
スゥ・・・と呼吸をし、意識を整え、マイクを持った。
藍 :「辻本 ネネさんは、母親の辻本 アカネから虐待を受けていました。満点じゃないと、常に完璧じゃないと母親から、殴られる、蹴られる、叩かれる、ひどい場合には数日間ご飯抜きにされたり家を追い出されたりしていました。」
またざわめきが大きくなる。
藍 :「そのことを知って、私はこう思いました。常に満点で完璧でないといけない。でも、それがプレッシャーやストレスになり、違う遊びに手を出してしまった・・・と、私は思います。完璧を強いられ、自分を殺してしまった人は、殺人やイジメに繋がってしまうのです。 今回のイジメの本当の原因は、母親からの虐待により自分を制御できなくなり、本当の自分を失ってしまったからだと私は思います。 このように、両親から、家族から何かを強いられてきたからイジメ、殺人を犯してしまったというのは世の中にたくさんあると思います。 こんな思いは、私を最後にしてほしい。それが、私の願いです。」
長い言葉だったが、記者達は分かってくれたようだ。
この思いは、私やネネを最後に終わってほしい。しないでほしい。これは、私とネネの本望だ。
会見は無事に終わり、片付けをした。
今頃、ネネの母はバッシングや質問が殺到しているだろう。その苦労や痛みがネネの体験の全てなのだ。やり返してやった。それは、私にとっても嬉しいことだ。[太字]友達[/太字]を守れた。それは、世界にとってほんの小さな一歩であり、大きな一歩なのだ。
その後、虐待の証拠を警察に提出し、数ヶ月後にネネの母は逮捕。
今もネネは定期的に精神科に通院し、今は数年前の関係とほぼ同じになっている。
でも、変わったことが3つある。それは_
ネネ :「藍〜!」
藍 :「なんだよ。」
ネネ :「こっちのリップとこっちのリップ、どっちが良い?」
藍 :「どっちも同じに見える。」
ネネ :「え〜・・・ほんと藍って冷たい狼だよね〜。」
藍 :「誰が冷たい狼だ。」
ネネ :「だって今日[太字][大文字][明朝体]デート[/明朝体][/大文字][/太字]なのに〜。」
藍 :「早く支度しろよ。」
ネネ :「けっ。」
今日はネネとデート。
デート・・・あぁそうそう。栗原 藍、[太字]俺[/太字]は事件が終わった後に、男になることを決意した。男性ホルモンを増やして男にする・・・だっけ??ま、男になる治療をすることを決意した。今も男だ。
2つ目は、俺とネネは付き合っている。付き合い始めて何年か経った。ネネいわく、元々俺に好意を寄せていたらしい。イジメていたのは我を忘れたからであって、[太字]ネネ本人がやったわけじゃない[/太字]・・・らしい。
3つ目は、ネネは栗原家の養子になった。ネネの母も許可した(←拒否権はあまり無いため)から、養子として迎えた。だから、同じ家に住んでいる。同棲だ。家庭内カップルってあんまり聞いたことないけど、血は繋がってないし、法律で結婚は認められなくても付き合うことは罪じゃないだろう。たぶん!
藍 :「行ってきまーす。」
ネネ :「行ってきま〜す!」
[大文字][中央寄せ][明朝体][大文字]天気は快晴。どんな〝今日〟が待っているかな。[/大文字][/明朝体][/中央寄せ][/大文字]