双子。似ている二人。
　私達は似てる。表は。

　ガッッ
綾音母：「[漢字]綾音[/漢字][ふりがな]あやね[/ふりがな]が見て良い人なんかこの世にいねぇよ！！お前は生まれてはいけない存在なんだ！さっさと死ねよ！」
　また殴られる。これが毎日だ。
　助けて。
　・・・叫びようもない。

昔から好きな人がいた。幼馴染だ。
その人を見つめるたびに、母に殴られる。双子の妹の[漢字]愛音[/漢字][ふりがな]あゆね[/ふりがな]も幼馴染のことが好きだから。
なぜ殴られるのか？
母は愛音を溺愛してるからだ。愛音と私はどこが違うのかわからない。なのに殴られる。
母と愛音の代わりに家事を全部やっているのに、感謝の欠片もない。
ひどいよ。
ひどいよ・・・。
助けて・・・。

死んでやる
絶対に死んでやる。

その日の深夜、荷物をリュックにまとめて家を出た。
荷物は少ない。何も買ってもらえないから。でも、こういう時にだけ一応母には感謝する。したくないけど。

とりあえず、見回りの警察官から見つからないように路地裏に行って、身を隠した。
夏だからか、寒くない。
海に沈むように、眠りに入った。