彼氏と親友が実は付き合っていることを知った日から、優美は学校にも行かなくなった。
　瀬里華と彼氏に顔を突き合わせるのが嫌だったからだ。
　ピロンッと、瀬里華からのラインが来て画面を出すと、いかにもわざとらしい「大丈夫？」という簡素な言葉が送られた。
　うんざりして、スマホをベッドに投げた。
　変わらなきゃ。
　そうしなければ、私は、いつまでも自分を持たずに瀬里華についてまわるような、利用されてからかわれる惨めな人生だ。
　あの日決めた決意を復唱しながら、女性にしては大きすぎる服と運動用の靴を履いた。

――半年後――
中学三年生の卒業式
「ねぇ誰あれ。あんな子いたっけ。」
「うわぁ、美人。モデル？」
「違うでしょ。うちの学校の制服着てるし。モデルがこんなところにいるわけないじゃん。」
　都心とは、離れた地方の私立学校で、スラリとした女性にしては少し高めの背丈の少女がチラホラ集まる視線をさして気にした様子もなく今日で卒業する三年生の教室に入った。
　三年五組
　改めて来てみると、随分と久しぶりだった。
　少し、緊張してきた心臓を落ち着かせながら、教室の扉を開けた。