朝の海老名家。キッチンでは、海老名菜々がエプロンを着けてお弁当を作っていた。
「う～ん、今日はお兄さんに褒めてもらえるようなお弁当を作りたいなぁ…」と呟きながら、彼女は丁寧に卵焼きを巻いていく。秋田の実家から送られてきた新鮮な野菜を使って、色とりどりのおかずを詰めるのが最近の楽しみだった。
学校に着くと、教室でいつものメンバーが集まっていた。うまるは「海老名ちゃんのお弁当だー！ 今日も美味しそう！」と目を輝かせて近づいてくる。「うまるちゃん！ありがとう」と海老名ちゃんは少し慌てながら笑った。
「でも、海老名さんのお弁当って凄いですね。毎日こんな豪華なの作れるなんて、私には無理です」と本場切絵が感心したように言うと、海老名ちゃんは照れくさそうに「そ、そんなことないよ…ただ、みんなに喜んでほしいなって思って…」と頬を赤らめた。
お昼休みになると、うまる、切絵、シルフィン、そして海老名ちゃんの4人はいつものように机をくっつけてお弁当を広げた。
海老名ちゃんが蓋を開けると、色鮮やかなおかずとふわっと香るご飯に、みんなが「おお～！」と歓声を上げた。
「海老名さん、今日のは特にすごいですわ！ 何ですの？ このハート形のニンジン！」シルフィンが目を丸くして言う。
「えっと…実は、お兄さんに『お弁当にもうちょっと遊び心を入れてもいいよ』って言われてて…それでちょっと頑張ってみたの」と海老名ちゃんは恥ずかしそうに説明した。すると、うまるが「ええっ！ お兄ちゃんのためにハート！？ 海老名ちゃん大胆すぎるー！」と大げさに騒ぎ始め、教室に笑い声が響いた。
「ち、違うよぉ！ ただ可愛くしたかっただけで…！」海老名ちゃんは真っ赤になって手を振るが、友達たちのからかいにタジタジだった。でも、みんなが「美味しい！」と笑顔で食べてくれるのを見て、彼女の心は温かくなった。
放課後、海老名ちゃんは家に帰る途中でタイヘイと偶然会った。「あ、お兄さん！ あの、今日のお弁当…どうでしたか？」と少し緊張しながら聞くと、タイヘイは優しく笑って答えた。「うん、すごい美味しかったよ。ハートのニンジン、びっくりしたけど可愛かった。海老名ちゃんらしいね」
その言葉に、海老名ちゃんは「ほ、ほんとですか！？」と目を輝かせた。「じゃあ、また明日も頑張っちゃおうかな…！」と心の中で決意する彼女。夕陽に照らされた帰り道、海老名ちゃんの小さな幸せは、お弁当箱いっぱいに詰まっていた。