お披露目会の翌日、私はお父様の部屋に呼ばれた。
そしてお父様は開口一番、
「…アーロイス.ロイと婚約して欲しい」
とおっしゃった。もちろん私は、
「なぜですお父様!わたくしにはもう婚約者が…」
と言ったが、
「…すまない、マイ。アーロイス家は知ってのとおり発言一つでこの国ごと潰してしまえる、、、恐ろしい家系なんだ。その国に婚約を申し込まれては…」
「…」
分かってはいた。どれだけ私たちが否と訴え続けてもアーロイス家の権力は凄まじい。どのような手を使ってでも…
私は背筋が凍る思いがした。でもそれでは…
「それではユウキ様は一体…」
「…それは私から伝えておく。」
「つまり…」
「あぁ」
「っ、、、そんな…ユウキ様とはもう会えないって」
「…すまない。こうするしかもうっ…」
私は無言でその場を去った。
別にロイ様のことが嫌いというわけではない。ただユウキのことが…
ユウキが私の部屋に来ることはなくなった。

私は1週間後、再びお父様の部屋に呼ばれた。そして、ある一通の手紙を渡された。その手紙は、「拝啓」から始まる、とても丁寧なものだった。
驚く事にその丁寧な手紙は、ロイ様が書かれたものらしく、一ヶ月間ロイ様と同棲し、それでも今の婚約者の方が良いと感じたら婚約は取り消しても良いとのことだった。
私は全く意味が分からなかった。このまま無理やりでも婚約の話を進めれば、必ず成立させることができたのに…
とはいえ、これは二度とない絶好のチャンスだ。
私が手紙を読み終えたと察したお父様は、同棲は1週間後からだ。とおっしゃった。

1週間後、私はロイ様をお出迎えするべく、玄関に立っていた。