「島田さん、逃げて!」

「っ…!」
「大丈夫ですか?真依。ずいぶんとうなされていたようですが?」
「…大丈夫です…少し夢にうなされてしまって」
「…またですか…本当に大丈夫ですか?お体の方とか…」
「ありがとうございます、大丈夫です。所詮夢ですし」
…私は前世の頃の記憶があるらしい。その記憶が毎日夢に出てくるのだ。それもほとんどが今日のような悪夢になっている。
正直、とてもつらい。
でも私にはユウマがいる。
私が死んで、転生して、この異世界に迷い込んだ頃からずっと私のことを理解し、大切にしてくれる、私にとってもとても大切な存在だ。
私は異世界の一国の姫らしく、ユウマの許嫁だ。
ユウマは天然で、優しくて、弟のような存在だ。
そして何故か懐かしいとも思える。
私は隣にいるユウマを見た。
かっこいいというよりも弟顔で、女である私でも守りたいと思ってしまう。
「そういえば今日は真依のお披露目会では無かったでしょうか?」
「あっ、そうそう!ありがとうね!」
そう、今日は私が、20歳になったお披露目会が開かれるのだ。忘れるところだった。私は急ぎ、部屋を後にした。

「…好きだよ、真依」