美醜逆転の世界でこの世界の不細工(つまりイケメン)に助けられました
アカリと狩りに来た。
着いていきたいとごねられたからや。
来てもおもろいもんなんか1つもないで。
まあ、楽しそうやからええけど。
帰り道、アカリにスライムが飛び付いた。
殺ろうと思って剣を抜いたけど、アカリに止められた。
よかったなぁ、自分。命拾いしたで。アカリに感謝しいや。
そして何故かスライムが俺たちに着いてくることになった。
せっかく二人きりの旅やったのに...
コイツ、タダモンやないで。
...で、そのスライムが人間になった。
しかもまあまあ不細工やないか。
何でわざわざそんな顔にしてんねん。
理由を聞いたら、「シャルにあわせた」やと?
同情なんかすんなや。余計惨めになるやろうが。
スライムとアカリが、勢いでキスをしていた。
あれは事故や。事故...や。
ていうか、アカリがキスしたとして、俺には何か言う権利なんかない。
そうや。俺はただの旅の同行者なんや...
しかも、それももう終わる。
なんや、寂しいな...
兵士が、スライム野郎とアカリは恋仲かと聞いてきた。
そうだと答える。
アカリが無事ならそれでええ。
買い物に出かける。
普段も平和に買い物ができるわけでもないが、今日は一段と酷かった。
諦めて、暴力を受け入れる。
そのときだった。
アカリが飛び出してきたのは。
アカリに情けない姿を見られて、その上、庇われている。
惨めで、惨めで、しょうがなかった。
アカリは少し言い合いをしたあと、意味がないと悟ったのか、俺の手をとって走り出した。
だが、アカリは走るのがあんまり得意やないらしく、段々減速している。
先に謝ってから、アカリを抱き上げた。
しばらく走っていたが、急にふくらはぎに痛みを感じた。
思わずバランスを崩してしまい、地面に叩きつけられる。
少し向こうで、アカリも体をぶつけていた。
ごめん。ごめん...
チンピラが追い付いてきた。
それから、アカリの素顔を見て、一気に顔を赤くする。
男がアカリに近づいて、腕を掴もうとしたとき、俺の何かが切れた。
ぷつん、と音がして、ああ、こんな感じか、と1人で納得している。
身体中熱くて、ハラワタが煮えくり返っているが、どこか冷静な自分もいた。
フードを下ろす。
男の顔は一気に真っ青になった。
そうやろうなぁ。俺の顔は、この世のモンとは思えへん化け物なんやから。
乾いた笑いが出る。
まさか、この顔がこんなところで役に立つとはな。
仮面を外し終える前に、男は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、必死に帰っていった。
手に力を入れすぎたのか、仮面がぱっきりと半分に割れた。
急激に全身が冷えていった。
今度は俺が真っ青になる番やった。
「シャルさん?」
「..っ、やめろ!触れるな、近づくな!」
名前を呼ばれて、つい怒鳴ってしまった。
仮面が手から滑り落ちて、からりという音をたてる。
ひゅっ、と、アカリが息を止める音が聞こえた。
嫌や。見られたくない、嫌われたくない。
俺は大股で歩いた。
「すまんけど、俺は先に行くから。後で一人で宿に戻ってくれ」
後ろから誰かに抱きつかれる。
そんなことする奴、1人しかおらんけど。
「お願いします!私、シャルさんのこと大好きです!信じてください!」
信じられへん。アカリが俺を嫌いじゃないってことは、百歩譲って認める。
でも、俺の顔を見たら皆離れていくんや。
期待したくない。
さっさと顔見せて、さっさと幻滅してもらって、さっさと離れてもらおう。
そうしよう。
やけくそで、ゆっくり、慎重に振り返る。
男でも俺の顔を見たら吐くことがあったりする。
アカリが見たらどうなってまうんやろ。
ぼんやりと考えながら、アカリの顔を見つめる。
......ん?
アカリの、顔を、見つめる?
アカリはにっこり笑った。
まさか。まさかまさかまさか。
そんなこと、あるはずない。
「無理してるんやろ」
「してませんよ」
「ホンマに?」
「ホンマです」
発音おかしいで。
真似すんのが、下手くそやな...。
涙が止まらない。
ゆっくりとさすられる背中。アカリの手は暖かかった。
物心ついたときから、いや、その前から、俺は醜いんやって理解ってた。
ずっと1人やった。
それが当たり前やった。
でも、そんな俺に天使が舞い降りたんや。
アカリ、好きやで。
手放したくない。
ずっと一緒におってや...
着いていきたいとごねられたからや。
来てもおもろいもんなんか1つもないで。
まあ、楽しそうやからええけど。
帰り道、アカリにスライムが飛び付いた。
殺ろうと思って剣を抜いたけど、アカリに止められた。
よかったなぁ、自分。命拾いしたで。アカリに感謝しいや。
そして何故かスライムが俺たちに着いてくることになった。
せっかく二人きりの旅やったのに...
コイツ、タダモンやないで。
...で、そのスライムが人間になった。
しかもまあまあ不細工やないか。
何でわざわざそんな顔にしてんねん。
理由を聞いたら、「シャルにあわせた」やと?
同情なんかすんなや。余計惨めになるやろうが。
スライムとアカリが、勢いでキスをしていた。
あれは事故や。事故...や。
ていうか、アカリがキスしたとして、俺には何か言う権利なんかない。
そうや。俺はただの旅の同行者なんや...
しかも、それももう終わる。
なんや、寂しいな...
兵士が、スライム野郎とアカリは恋仲かと聞いてきた。
そうだと答える。
アカリが無事ならそれでええ。
買い物に出かける。
普段も平和に買い物ができるわけでもないが、今日は一段と酷かった。
諦めて、暴力を受け入れる。
そのときだった。
アカリが飛び出してきたのは。
アカリに情けない姿を見られて、その上、庇われている。
惨めで、惨めで、しょうがなかった。
アカリは少し言い合いをしたあと、意味がないと悟ったのか、俺の手をとって走り出した。
だが、アカリは走るのがあんまり得意やないらしく、段々減速している。
先に謝ってから、アカリを抱き上げた。
しばらく走っていたが、急にふくらはぎに痛みを感じた。
思わずバランスを崩してしまい、地面に叩きつけられる。
少し向こうで、アカリも体をぶつけていた。
ごめん。ごめん...
チンピラが追い付いてきた。
それから、アカリの素顔を見て、一気に顔を赤くする。
男がアカリに近づいて、腕を掴もうとしたとき、俺の何かが切れた。
ぷつん、と音がして、ああ、こんな感じか、と1人で納得している。
身体中熱くて、ハラワタが煮えくり返っているが、どこか冷静な自分もいた。
フードを下ろす。
男の顔は一気に真っ青になった。
そうやろうなぁ。俺の顔は、この世のモンとは思えへん化け物なんやから。
乾いた笑いが出る。
まさか、この顔がこんなところで役に立つとはな。
仮面を外し終える前に、男は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、必死に帰っていった。
手に力を入れすぎたのか、仮面がぱっきりと半分に割れた。
急激に全身が冷えていった。
今度は俺が真っ青になる番やった。
「シャルさん?」
「..っ、やめろ!触れるな、近づくな!」
名前を呼ばれて、つい怒鳴ってしまった。
仮面が手から滑り落ちて、からりという音をたてる。
ひゅっ、と、アカリが息を止める音が聞こえた。
嫌や。見られたくない、嫌われたくない。
俺は大股で歩いた。
「すまんけど、俺は先に行くから。後で一人で宿に戻ってくれ」
後ろから誰かに抱きつかれる。
そんなことする奴、1人しかおらんけど。
「お願いします!私、シャルさんのこと大好きです!信じてください!」
信じられへん。アカリが俺を嫌いじゃないってことは、百歩譲って認める。
でも、俺の顔を見たら皆離れていくんや。
期待したくない。
さっさと顔見せて、さっさと幻滅してもらって、さっさと離れてもらおう。
そうしよう。
やけくそで、ゆっくり、慎重に振り返る。
男でも俺の顔を見たら吐くことがあったりする。
アカリが見たらどうなってまうんやろ。
ぼんやりと考えながら、アカリの顔を見つめる。
......ん?
アカリの、顔を、見つめる?
アカリはにっこり笑った。
まさか。まさかまさかまさか。
そんなこと、あるはずない。
「無理してるんやろ」
「してませんよ」
「ホンマに?」
「ホンマです」
発音おかしいで。
真似すんのが、下手くそやな...。
涙が止まらない。
ゆっくりとさすられる背中。アカリの手は暖かかった。
物心ついたときから、いや、その前から、俺は醜いんやって理解ってた。
ずっと1人やった。
それが当たり前やった。
でも、そんな俺に天使が舞い降りたんや。
アカリ、好きやで。
手放したくない。
ずっと一緒におってや...