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美醜逆転の世界でこの世界の不細工(つまりイケメン)に助けられました

#7

大丈夫

「はぁっ、はぁっ...」

広場のようなところに来た。もう息があがっているが、気にしていられない。
広場には屋台?がたくさん出ていて、ここにならシャルさんがいるかもしれない。
周りを見渡すと、人が集まっているのが見えた。

「いいぞ!もっとやっちまえ!」
「お前みたいなやつに売るもんはねえんだよ!」
「わはははは!」

...もしかして。
人をかき分けて、中心まで進む。
そんなことしなくても、フードの私が通ろうとすると皆が避けて道ができるが。

その先にいたのは、やはりシャルさんだった。
大きい人に殴られている。
思わずシャルさんの前に出る。

「や...やめてください!」
「!!」
「あん?何だよ...いいところだったのに」

ぎろりと睨まれて、体が縮こまる。
背後から、シャルさんが戸惑っているのが感じられる。
それにしても、シャルさんならこんな人すぐ倒せちゃうと思うんだけどな...

「この人は悪いことは何もしていません。殴るのは...よくないと思います」
「知らないみたいだから教えてやるけど、こいつはものすごく醜いんだ。俺らを不快にさせるんだよ。それって十分悪いことだろ?」
「フードを被っているし、仮面だってしています!顔は見えません」
「......今すぐここを退かないなら、お前も一緒に殴ってやるよ。女は女でもフードだしな」
「そんな!フードだからって...」
「じゃあ顔を見せられるのか?無理だろ?」

もうここを離れよう。そう思ってシャルさんの方を向く。
私はシャルさんの手をとって、駆け出した。
人々がざわめく。悲鳴まで聞こえる。
遠くから見るのはよくても、近づかれるのは嫌らしい。

大きい人が追いかけてくる。
やばい。さっき走ったばかりで、すぐ疲れてきた。
シャルさんがちらっとこっちを見て、小さく「ごめん」と囁いた。

え?と思った次の瞬間には、体が浮いていた。
抱っこされている。シャルさんに。
しかもお姫様抱っこ!!
きゃーーー!!恥ずかしい!!重くないかな?重いよね!

でもシャルさんは足が速かった。
落とされないようにぎゅっとしがみついて、後ろを伺う。
ちょっと待って、大きい人が持っているのは...
ナイフだ!!

背筋が凍った。
どうしよう。もし頭に刺さったら?
体が震える。伝えなきゃいけないのに。
大きい人がナイフを投げたのが見えた。

「ぐっ...」

ナイフはシャルさんの足に刺さった。最低だ。
私はシャルさんの腕から投げ出され、勢いよく地面に落ちた。
痛い体を引きずって、シャルさんのところに向かう。

「シャルさん...しっかりしてください。大丈夫ですか?」
「う...」

大きい人がゆっくりと近づいてくる。
怖い。
大きい人と目があった瞬間、一気に駆け寄ってこられた。

「な...誰だ、この美しい人は」
「え...」

しまった。フードがとれたんだ。
慌てて被り直すが、もう遅い。

「いや...来ないで」
「可哀想に、こいつに脅されていたんだな」

助けて、シャルさん!

「...ひっ」

声が聞こえた。
この声は、確かに大きい人の声。
でもさっきまでとは明らかに違う、怯えきった声だ。

振り向くと、シャルさんが立っていた。
でも泥と血でべとべとだ。
よく見ると、シャルさんのフードが下ろされている。

「お前...何してくれてんねん」
「やめろ...来るな、悪かった」

シャルさんはおもむろに仮面に手をかけた。
大きい人は真っ青になる。

「許してくれ、それだけは」

いい大人が、涙でべしょべしょだ。ざまあみろと思ってしまった。
大きい人は必死で立ち上がって、よろよろと走っていった。
その場に二人残される。
いつのまにか裏路地のようなところまで来てしまった。

「シャルさん?」
「..っ、やめろ!触れるな、近づくな!」

びくっと、体が揺れた。
急にどうしたの?
からり、と音がして、ふとシャルさんの足元を見る。
仮面が真っ二つになって、落ちていた。

「あ...」
「すまんけど、俺は先に行くから。後で一人で宿に戻ってくれ」

俯いて足早に去っていこうとするシャルさん。
行かせちゃ駄目だ。
私はぎゅっとシャルさんに抱きついた。

「何するんや、離せ!」

はっきり拒絶されて、心が痛む。
でも諦めない。

「離しません。私、シャルさんの顔を見たいんです」
「...やめとけ」
「怖がったりしませんから」
「そんなん無理や。意思とか関係なく、拒否反応が出るんや」
「出ません」
「だから...!」
「お願いします!私、シャルさんのこと大好きです!信じてください!」

「........................後悔すんで」
「しません」

ゆっくり、本当にゆっくり、シャルさんが振り向いた。
シャルさんと向き合う。
私は何も言わず、じっとシャルさんを見つめた。
目が合う。
一秒、二秒、三秒...

私はにっこり笑った。

「ほらね、大丈夫だったでしょう?」
「無理してるんやろ」
「してませんよ」
「ホンマに?」
「ホンマです」

つう、と、シャルさんの瞳から涙がこぼれ落ちた。
ゆっくり背中をさすってあげる。
シャルさんは静かに泣いた。
私も黙って隣にいた。
泣き疲れたのか、シャルさんは眠ってしまった。

ああ、私も眠いかも......

............。

作者メッセージ

私も関西人なんです。
ギャグは下手くそですけど。笑

2025/04/19 15:07

まっちゃん ID:≫ 7tcdpCk/fMi.Q
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