美醜逆転の世界でこの世界の不細工(つまりイケメン)に助けられました
「...落ち着きました?」
「うん、もう大丈夫。ごめんね、取り乱して」
「いやそんな...」
取り乱すというほど取り乱していたわけでもないし、涙を流す姿もやっぱりイケメンだった...だなんて言えるはずもなく。
しばらく沈黙が続いた後、それを破ったのは向こうだった。
「私は、次男なんだけどね」
男の人は少しうつむいて話し始めた。
話の邪魔をしないように、私はじっとして耳を傾ける。
「父も母も美しくて、勿論と言うべきか、私の兄もとても美しいんだ」
言っては悪いけれど、つまりお父さんとお兄さんは不細工ってことでしょ。うんうん。
「それなのに何故か私だけが醜いんだ。そんな私のことを誰も受け入れてはくれなかった」
「そんな...」
そんなの酷い。家族なのに、顔の造りだけで扱いを変えるなんて。
しかも、それってこの男の人がお母さん似で、お兄さんがお父さん似だっただけの話でしょ?多分。
この人が女の人だったら凄い美人になったはずだ。
女の人の美しさの価値観は一緒なのに、何故男の人についてはそうじゃないのかが本当に不思議でならない。
「死ぬわけにはいかなかったから、家に置いてもらうために必死で何でもしたよ。雑用も、勉強も、運動も」
そこで一息、ほう、とついて、彼はまた口を開く。
「...それで、努力が報われた、...の、かな。私は兄よりも優秀になった。なってしまった」
嫌な予感しかしない。
私はごくりと唾を飲んだ。
「そんな私のことを良く思う者がいるだろうか。答えはNOだ」
「..................」
「努力したって、何をしたって、結局は顔なんだ。.........ごめん、仕事といえこんな話を聞かせて、こんな顔を見せてしまって」
彼はへらりと笑って言った。
「でも人前で仮面を外したのは初めてだ。すごく嬉しい。看板の言葉を信じて、ここに来てよかった」
本当に嬉しく思ってくれているのが伝わってきて、何だか誇らしくなった。
しばらくして気まずくなったのか、恥ずかしそうにふいと視線をそらす彼を、私はじっと見つめる。
何か考えるでもなく、勝手に口が動いた。
「すごく格好いいです。貴方は、格好いい」
「え?」
驚いた男の人が顔を上げる。ぱちりと目が合った。
予想しなかった言葉に戸惑っている彼に語りかけるように、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「周りの環境に屈することなく、真っ直ぐ努力を続けた貴方は格好いいです」
「.........」
ぱちぱちと、男の人は瞬きを繰り返して、私の告げた言葉の意味を理解しようとしているようだ。
そのままの意味なんだけどな。
男の人は、私の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、ゆっくりと言った。
「この店に出会えたことは、私にとって凄く幸運なことでした」
私はくすりと笑う。
大げさな気がしないこともないが、そう言ってもらえるのは嬉しい。
「お兄さんが一生懸命に頑張ってきたからですね。神様は、ちゃんと見ているんですよ」
言い聞かせるように、そう伝える。
だからこれからも頑張ってね。私も頑張るから。
「いつでも、ここに来てくださいね」
にっこりと微笑む。
彼は、泣きそうになったようだったが、流石に二度も泣くわけにはいかないと思ったのか、ぐっと涙を堪えたようだった。
前に座っている彼が身を乗り出して、差し出された両手が私の頬に添えられる。
それからゆっくりと、彼の顔が近付いてきて.....................。
えっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
「うん、もう大丈夫。ごめんね、取り乱して」
「いやそんな...」
取り乱すというほど取り乱していたわけでもないし、涙を流す姿もやっぱりイケメンだった...だなんて言えるはずもなく。
しばらく沈黙が続いた後、それを破ったのは向こうだった。
「私は、次男なんだけどね」
男の人は少しうつむいて話し始めた。
話の邪魔をしないように、私はじっとして耳を傾ける。
「父も母も美しくて、勿論と言うべきか、私の兄もとても美しいんだ」
言っては悪いけれど、つまりお父さんとお兄さんは不細工ってことでしょ。うんうん。
「それなのに何故か私だけが醜いんだ。そんな私のことを誰も受け入れてはくれなかった」
「そんな...」
そんなの酷い。家族なのに、顔の造りだけで扱いを変えるなんて。
しかも、それってこの男の人がお母さん似で、お兄さんがお父さん似だっただけの話でしょ?多分。
この人が女の人だったら凄い美人になったはずだ。
女の人の美しさの価値観は一緒なのに、何故男の人についてはそうじゃないのかが本当に不思議でならない。
「死ぬわけにはいかなかったから、家に置いてもらうために必死で何でもしたよ。雑用も、勉強も、運動も」
そこで一息、ほう、とついて、彼はまた口を開く。
「...それで、努力が報われた、...の、かな。私は兄よりも優秀になった。なってしまった」
嫌な予感しかしない。
私はごくりと唾を飲んだ。
「そんな私のことを良く思う者がいるだろうか。答えはNOだ」
「..................」
「努力したって、何をしたって、結局は顔なんだ。.........ごめん、仕事といえこんな話を聞かせて、こんな顔を見せてしまって」
彼はへらりと笑って言った。
「でも人前で仮面を外したのは初めてだ。すごく嬉しい。看板の言葉を信じて、ここに来てよかった」
本当に嬉しく思ってくれているのが伝わってきて、何だか誇らしくなった。
しばらくして気まずくなったのか、恥ずかしそうにふいと視線をそらす彼を、私はじっと見つめる。
何か考えるでもなく、勝手に口が動いた。
「すごく格好いいです。貴方は、格好いい」
「え?」
驚いた男の人が顔を上げる。ぱちりと目が合った。
予想しなかった言葉に戸惑っている彼に語りかけるように、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「周りの環境に屈することなく、真っ直ぐ努力を続けた貴方は格好いいです」
「.........」
ぱちぱちと、男の人は瞬きを繰り返して、私の告げた言葉の意味を理解しようとしているようだ。
そのままの意味なんだけどな。
男の人は、私の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、ゆっくりと言った。
「この店に出会えたことは、私にとって凄く幸運なことでした」
私はくすりと笑う。
大げさな気がしないこともないが、そう言ってもらえるのは嬉しい。
「お兄さんが一生懸命に頑張ってきたからですね。神様は、ちゃんと見ているんですよ」
言い聞かせるように、そう伝える。
だからこれからも頑張ってね。私も頑張るから。
「いつでも、ここに来てくださいね」
にっこりと微笑む。
彼は、泣きそうになったようだったが、流石に二度も泣くわけにはいかないと思ったのか、ぐっと涙を堪えたようだった。
前に座っている彼が身を乗り出して、差し出された両手が私の頬に添えられる。
それからゆっくりと、彼の顔が近付いてきて.....................。
えっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。