マーガレットの花言葉
あの時から心を閉ざして引きこもるようになった僕──レンの居場所は家と、あの場所だけ。
あの場所。
四季折々の花が咲き誇り、花が僕を包んでくれる。
花畑。
森の奥にある開けた空間。穴場らしく、人影はこの九年間全く見受けられない。
「菜の花が……綺麗……」
今日は菜の花やたんぽぽ、春の花が芽を出し始めていた。
(ここにいると本当に落ち着く……)
誰も来なければいいのに、そう思った矢先。
「あれっ、人!?」
自分と同じくらいの年に見える少年が草むらから顔を覗かせた。
顔からサーッと血の気が引いていった。
思えば十年間家族以外と話したことがない。
自覚なしの重度なコミュ症。
動揺のあまり口をぱくぱくとさせる。
「──ふふっ、ははっ! 鯉みたい!」
一瞬、時が止まったように硬直した。
そしてあの時自分のことを嘲笑った人の声と重ねてしまい鼓動が速くなる。
「……? どうしたの?」
不思議とばかりに首を傾げる彼にハッとする。
(大丈夫……僕のことを話さなければ気持ち悪がられることは……ない、はず)
あの場所。
四季折々の花が咲き誇り、花が僕を包んでくれる。
花畑。
森の奥にある開けた空間。穴場らしく、人影はこの九年間全く見受けられない。
「菜の花が……綺麗……」
今日は菜の花やたんぽぽ、春の花が芽を出し始めていた。
(ここにいると本当に落ち着く……)
誰も来なければいいのに、そう思った矢先。
「あれっ、人!?」
自分と同じくらいの年に見える少年が草むらから顔を覗かせた。
顔からサーッと血の気が引いていった。
思えば十年間家族以外と話したことがない。
自覚なしの重度なコミュ症。
動揺のあまり口をぱくぱくとさせる。
「──ふふっ、ははっ! 鯉みたい!」
一瞬、時が止まったように硬直した。
そしてあの時自分のことを嘲笑った人の声と重ねてしまい鼓動が速くなる。
「……? どうしたの?」
不思議とばかりに首を傾げる彼にハッとする。
(大丈夫……僕のことを話さなければ気持ち悪がられることは……ない、はず)