「じゃあまずはいつもの走り方を見せて貰う。まずは篠原からだ。」
「…問題なし、じゃあ次、篠崎。あっ、違う違う。そこはこうじゃなくて、こう。」
あー暇だ。俺は体育の成績が特別悪いわけではないから尚更暇だ。
その時、篠崎と目が合った。その目は怯えているように見えた。
よくよく見ると、足を触っている体育教師の手がいやらしく動いていたのだ。俺はどうしたら良いのか分からず、ただ見ることしかできなかった。

帰り道、篠崎が話しかけてきた。。
「今日はごめんね。私のせいで」
俺はその言葉を聞いた途端、何とも言えない衝撃をくらった。助けてくれない俺へのいましめではなく謝罪の言葉を言っていたからだ。
衝撃と同時に、自分の無力さに憤りを感じた。