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聞こえなくなった声を辿って【our fantasy】

#9

オムライス

天楼「ただいまー」





えっ、めっちゃいい匂い。楽にぃ珍しく料理してんの?





天楼「…て、あぁ、そういやお前らいたっけ。慣れねーな」





えりか「お帰りなさい、天楼さん」





日ノ丸「ん。お帰り」





「おー」と軽く返事しながら、自分の部屋に向かう。





ベッドに乱暴に荷物を投げて、着替え始める。






天楼「はぁ………」





天楼「この服着て戦い始めて、もう何年経つかなあ」




かっこよく改造したうちの制服。




さすがにそれで学校行くわけにはいかないから、学校用は別で新しいのを買ってもらった。




楽にぃには迷惑かけたけど、私の美学のために仕方ない。






天楼「私は絶対、父さんの意志を継いでやるんだ」





天楼「法とか、ルールとか、どうでもいい」





天楼「[太字]私が憧れたのは、己の正義を護るあのヒーローなんだから[/太字]」





ちょうど部屋着になったところで下から私を呼ぶ声がしたので、返事して降りていくことにした。






[水平線]






えりか視点





楽座「おー帰ってきたら飯があるー!やっぱりえりかいると便利だなぁ~~」





真人「えりかさんはあんたの道具か」




えりか「私ができるのはこのぐらいですよ。冷めちゃう前に食べましょう」





[中央寄せ]「「「「「「いただきまーす!」」」」」」[/中央寄せ]







今日のご飯はオムライスです。





ケチャップもきっと音無さんにとっては初めてでしょうから、すっぱすぎないか心配ですけれど…




音無「…おいしい!」




…あぁ、大丈夫そうですね。よかった。





楽座「…なぁ音無、聞いてもええ?」





音無「…なぁに?」





楽座「あんさんを狙ってるやつ、「貴重」とか言うてたけど…
なんか心当たりっつーか、「これっぽいなー」みたいなことってないん?」





天楼「あぁ、そういや私、あんたのことほとんどなんも知らねーや。
えりかとか日ノ丸とか私以上に知らんやつもいるし、話せるだけでいいから話してくれない?」






音無「……うーん」





楽座「無理はせんくってええからな。ほんと、言えないんだったら素直に言ってくれ。」




その言葉のちょっと後に、スプーンを静かに置いて、音無さんは話し始めた。




音無「…私、なんでここにいるのか…」






音無「どうして、この世界にいるのか…」






音無「あまりよく、わかってなくて」







音無「気が付いたら、光に飲み込まれて…」






音無「あいつらのいる、組織に来てたことしかわからない」






えりか「光に…?」





音無「でも、なんであいつらが私を狙うのか、もしかしたらっていうのがちょっとわかるよ」







音無「…私、私ね」





音無「[太字]精霊さんとお話ができるの[/太字]」







日ノ丸「精霊と話ができる…?そもそも、精霊って何だ?」






音無「水とか炎とか、いろんなものの力のみなもとだよ。私、みんなが見えるし、話せるの」






真人「…それは随分稀有な能力だな、もしかしなくてもそれは関与していそうだ」






音無「みんな、精霊さんたちを道具としか見てなかったから、…私、あいつらのこと、嫌いだった」





楽座「戦ってみたけど性格終わってたしなあ」





音無「…ごめんなさい、私、ここまでが限界なの。…ほんとに、全然何もわからなくて…」




楽座「大丈夫!よぉ話してくれたな、偉いぞ」




ぽんぽんと頭をなでられて、ほっとしたようにまたご飯を食べ始める。





えりか「じゃあ…フレアさんたちはその能力を狙っているのでしょうか」





真人「だろうな」





楽座「いろいろ規模がでかそうな話やったし、相手が強敵なんは間違いなさそやな」





私たちはしばらく話しながら、夕飯を食べ終えた。





[水平線]






楽座視点







音無「~♪」






楽座「何しよるん?」






机に向かってなにか描いている。珍しいなぁ。






音無「今日のおむらいす?がおいしかったから。絵に描いておこうとおもって」







楽座「おー!絵日記やな!ええやんええやん、な、お兄さんも描いてええ?」






音無「うん!」






クレヨンなんて何時ぶりに持っただろう。







黄色の線がスケッチブックを滑っていく。






____ああ、俺はそういえば、だれかとこんな風に絵を描くこともなかった。






……音無には、






俺のできなかったこと、たくさんやらせてやりたい。






俺が欲しかった言葉、たくさんかけてやりたい。






描かれるオムライスの絵と、楽しそうな音無の顔を見て、俺はそんなことを考えていた。

作者メッセージ

日常回ですが伏線はたくさん☆

2025/07/11 21:24

おとうふ ID:≫ 3e8L8XnSmESu.
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