聞こえなくなった声を辿って【our fantasy】
天楼視点
キーン、コーン、カーン、コーン。
いつまでも聞きなれないチャイムの音が鳴る。
「ねぇ、天楼。今日もまたアレやるの?」
前の席から私の机に突っ伏して喋ってくるのは[太字]天津崎カトレア[/太字]。一応、私の唯一の友達といっていい。
天楼「そうだよ。あぶねえからお前は帰ってろ」
カトレア「エー、また?ワタシも一緒に戦ってみたいのに」
天楼「サツに追われるのは私一人で充分だから。カトレアにまで危害加えたくないし」
カトレア「あらイケメン。惚れてもいいの?」
天楼「勝手にしな」
こうやって軽口を叩きあうのは楽しい。
おっと、そろそろ学校から出ないとセンセに文句言われるな。出よっと。
カトレア「ん、じゃーね。頑張れヒーロー」
天楼「おう」
ぶっきらぼうに返事をして教室から出て行った。
後ろで先生の声がした気がするけど気にしないでおく。
[水平線]
天楼「ふー…疲れたーー。帰ったら今日も大勢いんのか…まだ慣れねーな」
バールは服に隠して、両手はポケットにつっこんで。
ふらふらとオレンジ色の通りを歩く。
「よーおねーちゃん。疲れてそうだねー」
天楼「…んだよ」
目の前に現れた男はフードをかぶっていた。
「いいクスリ、あるんだぁ」
天楼「…はぁーーーーー。」
クズでした。こっそりバールに手かけといて正解だったかも。
まぁその言葉聞いて即ぶん殴りましたよと。よし。通報しとくか。
「わーお、君すごいね!」
ぎろっと声のしたほう…空を睨む。逆光で顔はよく見えないけど…
私より一回りは大きそうな少年ってところか。
天楼「あんたもグルなら容赦しねーぞ。あいにく、乳幼児か動物以外は殴れる乙女だからな」
「わぁお、怖い。」
「安心しなよ。僕はそんなクズとは違うから、さ」
そうして少年はひらりとこちらに降りてくる。倒れたヤク売りの上に容赦なく立つと、微笑んだ。
「僕は[漢字]朱塗[/漢字][ふりがな]しゅぬり[/ふりがな]あかね。まー気軽に「あかね」って呼んでよ」
天楼「私は…天宮天楼」
あかね「うん。天楼ちゃんだ」
天楼「ちゃん…付けはやめろ、恥ずかしい」
あかね「照れてるの?案外かわいいところもあるんだ」
天楼「うるさいな」
よくわからんやつだ。
けど、どこか楽にぃにも似てるし、カトレアにも似てる。
…なんだか、落ち着く奴でもあるかもしれない。
[水平線]
NO SIDE
「見つけてくれたかい?[太字]あかね[/太字]」
あかね「うーん、知らねーな。兄ちゃん。まぁ、かっこいい女の子には会ったよ。」
「へぇ。その子の能力はどうだったんだい?」
あかね「残念ながら見れてない。けど、とりあえず兄ちゃん好みの女じゃないかもね」
「そぉか~。まぁ、こっちはこっちで好みの女を見つけてきてるからな」
あかね「そっか。じゃ、今日の分ちょうだい」
「はいはい。ちゃっかりしてるねぇ」
ぽすっ、チャリン。
革の子袋にそこそこの小銭の音。
あかね「サンキュ、兄ちゃん。これさえくれれば俺は兄ちゃん側だから。じゃーね。」
「はいはい。さっさと行けよ」
「…ふう」
[小文字]「離して!!!嫌っ、ここは何処なの!?」[/小文字]
「静かにしたまえ。ボスに嫌われたら殺されてしまうぞ、マドモアゼル?」
冬美「…っ、私を、何のためにさらったの…[太字]マニキュア[/太字]!」
マニキュア「しーっ。貴女は少々頭が弱いようだ。静かにしていなさい」
冬美「…っ」
マニキュア「さぁ、貴女はこれから生まれ変わる。新しい名前に、まずはね?」
ぱらりと手に持っている資料を眺め、微笑んだ。
マニキュア「貴女はたった今から、[太字]フェンリル[/太字]ですよ」
[中央寄せ]第一章「存在証明」開幕。[/中央寄せ]
キーン、コーン、カーン、コーン。
いつまでも聞きなれないチャイムの音が鳴る。
「ねぇ、天楼。今日もまたアレやるの?」
前の席から私の机に突っ伏して喋ってくるのは[太字]天津崎カトレア[/太字]。一応、私の唯一の友達といっていい。
天楼「そうだよ。あぶねえからお前は帰ってろ」
カトレア「エー、また?ワタシも一緒に戦ってみたいのに」
天楼「サツに追われるのは私一人で充分だから。カトレアにまで危害加えたくないし」
カトレア「あらイケメン。惚れてもいいの?」
天楼「勝手にしな」
こうやって軽口を叩きあうのは楽しい。
おっと、そろそろ学校から出ないとセンセに文句言われるな。出よっと。
カトレア「ん、じゃーね。頑張れヒーロー」
天楼「おう」
ぶっきらぼうに返事をして教室から出て行った。
後ろで先生の声がした気がするけど気にしないでおく。
[水平線]
天楼「ふー…疲れたーー。帰ったら今日も大勢いんのか…まだ慣れねーな」
バールは服に隠して、両手はポケットにつっこんで。
ふらふらとオレンジ色の通りを歩く。
「よーおねーちゃん。疲れてそうだねー」
天楼「…んだよ」
目の前に現れた男はフードをかぶっていた。
「いいクスリ、あるんだぁ」
天楼「…はぁーーーーー。」
クズでした。こっそりバールに手かけといて正解だったかも。
まぁその言葉聞いて即ぶん殴りましたよと。よし。通報しとくか。
「わーお、君すごいね!」
ぎろっと声のしたほう…空を睨む。逆光で顔はよく見えないけど…
私より一回りは大きそうな少年ってところか。
天楼「あんたもグルなら容赦しねーぞ。あいにく、乳幼児か動物以外は殴れる乙女だからな」
「わぁお、怖い。」
「安心しなよ。僕はそんなクズとは違うから、さ」
そうして少年はひらりとこちらに降りてくる。倒れたヤク売りの上に容赦なく立つと、微笑んだ。
「僕は[漢字]朱塗[/漢字][ふりがな]しゅぬり[/ふりがな]あかね。まー気軽に「あかね」って呼んでよ」
天楼「私は…天宮天楼」
あかね「うん。天楼ちゃんだ」
天楼「ちゃん…付けはやめろ、恥ずかしい」
あかね「照れてるの?案外かわいいところもあるんだ」
天楼「うるさいな」
よくわからんやつだ。
けど、どこか楽にぃにも似てるし、カトレアにも似てる。
…なんだか、落ち着く奴でもあるかもしれない。
[水平線]
NO SIDE
「見つけてくれたかい?[太字]あかね[/太字]」
あかね「うーん、知らねーな。兄ちゃん。まぁ、かっこいい女の子には会ったよ。」
「へぇ。その子の能力はどうだったんだい?」
あかね「残念ながら見れてない。けど、とりあえず兄ちゃん好みの女じゃないかもね」
「そぉか~。まぁ、こっちはこっちで好みの女を見つけてきてるからな」
あかね「そっか。じゃ、今日の分ちょうだい」
「はいはい。ちゃっかりしてるねぇ」
ぽすっ、チャリン。
革の子袋にそこそこの小銭の音。
あかね「サンキュ、兄ちゃん。これさえくれれば俺は兄ちゃん側だから。じゃーね。」
「はいはい。さっさと行けよ」
「…ふう」
[小文字]「離して!!!嫌っ、ここは何処なの!?」[/小文字]
「静かにしたまえ。ボスに嫌われたら殺されてしまうぞ、マドモアゼル?」
冬美「…っ、私を、何のためにさらったの…[太字]マニキュア[/太字]!」
マニキュア「しーっ。貴女は少々頭が弱いようだ。静かにしていなさい」
冬美「…っ」
マニキュア「さぁ、貴女はこれから生まれ変わる。新しい名前に、まずはね?」
ぱらりと手に持っている資料を眺め、微笑んだ。
マニキュア「貴女はたった今から、[太字]フェンリル[/太字]ですよ」
[中央寄せ]第一章「存在証明」開幕。[/中央寄せ]