聞こえなくなった声を辿って【our fantasy】
楽座視点
天楼の動きが止まった…?
日ノ丸「…両手…」
楽座「…!」
両手をこちらに向けている。
[太字]それは見る人によっては、殺してと投げやるようにも見える。[/太字]
楽座「……天楼、……今からお前を助けるからな」
天楼の差し出す片手だけを握った、その時だった。
楽座「っ!?」
俺と天楼は、どこか知らない空間に飛ばされていた。
天楼「…楽にぃ……」
…いや、俺が飛ばされたんだろう。
ここはきっと[太字]天楼の世界[/太字]だろうから。
天楼「…どうして、ここに……?」
楽座「…助けに来た。」
天楼「………そっか。………」
何をしたらいいかわかる。
この白黒混ざったような、何もない世界で。
[太字]俺の目の先に確かに輝く光があったから。[/太字]
楽座「ほら、行くぞ!音無もえりかも日ノ丸も、真人もお前を待ってるんや」
つないだ手はそのまま、その先へ走っていく。
天楼の顔は、あえて見ないで。
[水平線]
日ノ丸視点
楽座さんが天楼の右手を握ったまま動かない。
でもきっと、俺にわからないだけで、すごいことやってのけてると思う。
あの人、そういうところあるから。
天楼「っっ…ううう!!」
楽座さんに引っ張られて、天楼の身体から靄が抜けていく。
楽座「……おかえり、天楼」
つないだ手を全然離さずにそう言ってた。
天楼「………あ…………」
天楼は景色を見ている。…きっと今、自分がさっきまでしてた結果を初めて見たんだろう。
しばしうなだれるようにうつむいてから、顔を上げて彼女は言った。
天楼「…………うん、[太字]ただいま。[/太字]」
[水平線]
楽座「この際言わせてもらう。…天楼このバカ野郎が!!」
真人「同意見すぎる。」
天楼「う……悪かったよ。」
楽座「今までが幸運だっただけで、
ほんとはもっと前に今回みたいなことなっててもおかしくないからな!?」
天楼「すいまっせんしたー!!」
真人「…音無も、お前なんで勝手に外出た。」
音無「…ごめんなさい……」
真人「責めてるわけじゃないが、集団で動くならルールには従おうな。」
楽座「お前に言われたくないオブザイヤーやな」
真人「黙ってろクソが」
音無「………。」
[水平線]
音無視点
音無「…ねぇ「お兄ちゃん」。わたし、やっぱり行かなくてよかったんじゃない?」
音無「すっごく怒られたし、わたし、見てただけだったし…。」
だれもいないよるの、暗い景色に話しかける。
影の精霊も光の精霊も、今はおやすみ。
蛇口の周りにいる水の精霊たちが、わたしを心配そうに見てくれていた。
[明朝体]お前がいたから天楼は助かったんだよ[/明朝体]
音無「…ほんとう?」
[明朝体]お前が動かなかったら、あの大人たちも動かなかった。そうだろ?[/明朝体]
音無「わかんないけど……」
[明朝体]大丈夫。俺はしっかり見てるからな。[/明朝体]
よく頭に話しかけてくれるようになった「お兄ちゃん」は、ちょっと無責任な気もする。
でも……さみしくなくてちょっとだけうれしい。
夜は寂しいばかりだから。
……あれ?なんで、そう思うんだっけ……
[水平線]
「これをお前が読んでるころには、きっと俺はいないんだろうな。
でも最初に読まれるのがお前であることを、俺は心から願うぜ。
もし俺の弟に会ったらさ、伝えてくれよ。
「ごめんな」って。
「お前の兄ちゃんは、人に言えねえ仕事で死んじまった。」
「ふがいない兄で、本当に……ごめんな。」って。
追伸 前隊長へ 円山えりかを隊長に推薦します。
chord:スイートピー」
「…………」
悲しくなると、私はこれに戻ってくる。
花の香りでも癒えないこの傷と、消えかかっていきそうな原点を、
思い出させて、癒して、深くしてくれるから。
「……探していますよ。スイートピー。…あなたの弟さんを…今でも。」
無数の命の上に、私は生かされている。
私のベッドで寝息を立てる彼だって、いついなくなることか。
どうかそれが長く生きた所以であってほしいと思う。
えりか「…間違っても…私を庇ったりしないで?」
[中央寄せ]第一章「存在証明」閉幕。[/中央寄せ]
天楼の動きが止まった…?
日ノ丸「…両手…」
楽座「…!」
両手をこちらに向けている。
[太字]それは見る人によっては、殺してと投げやるようにも見える。[/太字]
楽座「……天楼、……今からお前を助けるからな」
天楼の差し出す片手だけを握った、その時だった。
楽座「っ!?」
俺と天楼は、どこか知らない空間に飛ばされていた。
天楼「…楽にぃ……」
…いや、俺が飛ばされたんだろう。
ここはきっと[太字]天楼の世界[/太字]だろうから。
天楼「…どうして、ここに……?」
楽座「…助けに来た。」
天楼「………そっか。………」
何をしたらいいかわかる。
この白黒混ざったような、何もない世界で。
[太字]俺の目の先に確かに輝く光があったから。[/太字]
楽座「ほら、行くぞ!音無もえりかも日ノ丸も、真人もお前を待ってるんや」
つないだ手はそのまま、その先へ走っていく。
天楼の顔は、あえて見ないで。
[水平線]
日ノ丸視点
楽座さんが天楼の右手を握ったまま動かない。
でもきっと、俺にわからないだけで、すごいことやってのけてると思う。
あの人、そういうところあるから。
天楼「っっ…ううう!!」
楽座さんに引っ張られて、天楼の身体から靄が抜けていく。
楽座「……おかえり、天楼」
つないだ手を全然離さずにそう言ってた。
天楼「………あ…………」
天楼は景色を見ている。…きっと今、自分がさっきまでしてた結果を初めて見たんだろう。
しばしうなだれるようにうつむいてから、顔を上げて彼女は言った。
天楼「…………うん、[太字]ただいま。[/太字]」
[水平線]
楽座「この際言わせてもらう。…天楼このバカ野郎が!!」
真人「同意見すぎる。」
天楼「う……悪かったよ。」
楽座「今までが幸運だっただけで、
ほんとはもっと前に今回みたいなことなっててもおかしくないからな!?」
天楼「すいまっせんしたー!!」
真人「…音無も、お前なんで勝手に外出た。」
音無「…ごめんなさい……」
真人「責めてるわけじゃないが、集団で動くならルールには従おうな。」
楽座「お前に言われたくないオブザイヤーやな」
真人「黙ってろクソが」
音無「………。」
[水平線]
音無視点
音無「…ねぇ「お兄ちゃん」。わたし、やっぱり行かなくてよかったんじゃない?」
音無「すっごく怒られたし、わたし、見てただけだったし…。」
だれもいないよるの、暗い景色に話しかける。
影の精霊も光の精霊も、今はおやすみ。
蛇口の周りにいる水の精霊たちが、わたしを心配そうに見てくれていた。
[明朝体]お前がいたから天楼は助かったんだよ[/明朝体]
音無「…ほんとう?」
[明朝体]お前が動かなかったら、あの大人たちも動かなかった。そうだろ?[/明朝体]
音無「わかんないけど……」
[明朝体]大丈夫。俺はしっかり見てるからな。[/明朝体]
よく頭に話しかけてくれるようになった「お兄ちゃん」は、ちょっと無責任な気もする。
でも……さみしくなくてちょっとだけうれしい。
夜は寂しいばかりだから。
……あれ?なんで、そう思うんだっけ……
[水平線]
「これをお前が読んでるころには、きっと俺はいないんだろうな。
でも最初に読まれるのがお前であることを、俺は心から願うぜ。
もし俺の弟に会ったらさ、伝えてくれよ。
「ごめんな」って。
「お前の兄ちゃんは、人に言えねえ仕事で死んじまった。」
「ふがいない兄で、本当に……ごめんな。」って。
追伸 前隊長へ 円山えりかを隊長に推薦します。
chord:スイートピー」
「…………」
悲しくなると、私はこれに戻ってくる。
花の香りでも癒えないこの傷と、消えかかっていきそうな原点を、
思い出させて、癒して、深くしてくれるから。
「……探していますよ。スイートピー。…あなたの弟さんを…今でも。」
無数の命の上に、私は生かされている。
私のベッドで寝息を立てる彼だって、いついなくなることか。
どうかそれが長く生きた所以であってほしいと思う。
えりか「…間違っても…私を庇ったりしないで?」
[中央寄せ]第一章「存在証明」閉幕。[/中央寄せ]