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聞こえなくなった声を辿って【our fantasy】

#14

天宮天楼





天楼「父ちゃんすごい!こんなにいっぱいいたのに、みんな一人で倒しちまった!」








私の父さん…天宮雄一郎は、「カナリア」という自警団グループのリーダーだった。








そこにいる父さんは、いつも喧嘩も生傷も絶えない仕事をしてた。






「けが、ないか?ひでぇやつだな。しかし、
父さんの娘に手を出すとは、ちょっと頭もわりぃみてぇだな!がっはっは!」






私がいじめっこに襲われてた時も、目の前で助けてくれた。








「やっべ、警察だ。行くぞ、天楼」







いつも明るくて、危険でだめな仕事をしてると思わせない父さんが…大好きだった。







[水平線]







天楼「はっ!とりゃあ!うー…やーー!!」





雄一郎「そうそう、その調子だ、天楼!お前なら父さんみたく、立派なヒーローになれるぞ!」






雄一郎「天楼、お前は自慢の娘だ!」





「まぁ、父さんまだそんなこと言っているの?天楼がそんな道に進むなんて…危なくて母さん怖いわよ…」





私の母さん、天宮優子は、父さんとは反対に臆病な人だった。






でも、心の底から私や父さんを愛してくれてた。






ヒーローになるって夢は、応援してくれなかったけど、それも心配してのことだってわかってる。







そんな母さんが、やっぱり私は大好きだった。







[水平線]





誰が見たってうらやましがるような、平和な私たちの日常がぶっ壊れたのは、







私が中学3年生の頃だった。






天楼「…父さん、大丈夫?」





父さんの様子がちょっとおかしかった。






雄一郎「いやー、最近敵によく狙われててな。父さん強いから、その才能を羨ましがられてんだ、きっと」






父さんはそう言ってたけど、私はずっと心配だった。






雄一郎「そうだ、天楼。明日、遊園地に行くことになったぞ!」






天楼「えっ、ほんと!?やった!」






私にとって、初めての遊園地だった。






一度、家族で行こうとしたとき、私が高熱を出したんだよな。





ともかく、それが楽しみすぎて、先の悲劇が見えてなかった。






[水平線]







「っぐ…っ!?!?!」




遊園地のアトラクションに並んでいる途中、父さんが急に苦しみ始めた。





優子「父さんっ…!?」





雄一郎「あい、つら…胡蝶組!!」




それで、私にわかった異変の原因はこれしかなかった。




父さんが「腕の立つ仲間からもらった」と言っていたスープを飲んでいたこと。





胡蝶組。それはカナリアとずっと喧嘩してた反社会勢力。






____そいつらに、スープになんか入れられてたんだ!





父さんはひどく苦しんで、トイレからずっと出てこなかった。






数時間して、ふらふらと出てきたけれど_____







その後三日も経たずして、[太字]肝臓や腎臓をやられて、父さんは亡くなった。[/太字]






[水平線]







母さんは半狂乱になってた。







あの日遊園地で父さんが苦しんだ時も、何度も警察や病院に連絡してた。







そして、病院に搬送されて…三日で死んじゃった父さんのことだけど。





死因は毒キノコらしい。スープに入れられてたドクツルタケが原因。






…そして、そのあとは、父さんを見てないんだよ。





なぜって?葬式は?そう思うだろう。






…葬式、行けなかったんだ。







父さんはほぼ死体のまま、連[太字]続暴行及び殺人未遂の犯人として警察に連れていかれたから[/太字]。







家族で葬式もできなかった。




優子「ねぇ、天楼……もう、母さんどうしたらいいの?」






母さんはもう、とんでもないぐらい精神がおかしくなってた。






私に包丁を突き付けたと思ったら、急に号泣しだしたり。





もう、あの時の母さんも、父さんも、帰ってこないんだって思って。






辛かった。






[水平線]







天楼「母さん。ただいま。」







高校入試に行ってきて、帰ってきた日のことだった。








天楼「…母さん?」







母さんの部屋に、紙が一枚置いてあった。








「母さんはもう無理です。探さないで、天楼。



あなたは高校にぜったい受かっただろうから、そこで幸せに生きて。




ごめんね、最後まで一緒にいられなくて。





でも母さんね、生きるのつらくなっちゃった。





だって生きてると、あなたに包丁を突き付けたりするんだもん。





だからね、母さんのことは忘れて。






優子」





涙があふれてきた。母さんは、[太字]私のいないところで自殺した[/太字]んだ。



天楼「…母さん?母さん、嘘だよね?…いるんだよね?そこに」







言葉は部屋で響いた。母さんは出てこない。






天楼「っ、っ…っは、」






過呼吸になる。母さんはどこ?どこに行った?なんとしても止めなきゃ。







止めなきゃ。止め______








天楼「うわあああああああ!!!!!!!!」






[水平線]






結局、私は母さんを探しに行けなかった。







気を失った。






母さんが「天宮」の苗字を捨ててまで。






私のために、私の母をやめてしまったなんて。






私、包丁突き付けられても平気だったよ…






もっとひどいこといっぱいされてきた父さんの娘だもん。






母さん、どうしていなくなっちゃったの?






天楼「そうだ」







私は、決心して走り出した。







お母さんのところに、行かなきゃ。






[水平線]






ここかもしれないと思ってたんだよな。






母さんが自殺するなら、この川だって。






天楼「母さん、父さん。待ってて。今そっちに行く」






私一人じゃ、生きていけない。





母さんと父さんは、きっと私が怖くないように、先に天国で待っててくれてるんだよね?






天国で、一緒に暮らそう。







何にも怯えずに、全部忘れて、家族として。







一緒に______







「ん?おーい、そこのあんさん」








天楼「……」






誰だろう。知らない声だなあ。






でも、関係ないや。






そこのおにいさーん。私今から死ぬから、通報お願い。






流れる川に飛び込もうとした、その時だった。






「うおおお!?ちょっと待て待て!あんさん!!」







がしっと手をつかまれた。







「あんさん、まだ16かそこらやろ?あきらめちゃダメやんか!!」






明るい関西弁だった。






天楼「…う るさい…」






天楼「[大文字]うるさいんだよ!!!!!![/大文字]」






天楼「[大文字]死なせてよ!!!!もう、生きてる意味なんてないんだよ!!!![/大文字]」






天楼「[大文字]幸せになるには、死ぬしかないんだよ!!![/大文字]」







目の前の男性は、その言葉を驚きながら____けれど、しっかり聞いた。





それで。







「やっぱりだめや。…あんた、名前は?」







天楼「……うううう…!!!」






緑色の目が優しかった。どうして、名前もしらない私にそんなに寄り添ってくれるの?






天楼「……………」





私、ダメだ。飛び込め。振り払え。





そんぐらい、できるだろ_____







天楼「…………」







できなかった。






そうだ、私怖かったんだ。






死ぬの。







諦めるの。






怖かったんだ。





母さんを守れなかった自分が。








天楼「…天宮、天楼」







「ほぉ。いい名前してるやないか。」





天楼「…あんたは。」




そうだったわ、と軽く笑って、目の前の奴は言った。





「あぁ、俺は玲陵寺楽座。まぁ好きに呼んでや」


作者メッセージ

昨日聞いてた曲↓

プリキュアOPメドレー
プリパラの「チクタク・Magicaる・アイドルタイム!」

これ聞きながら書いてました。正気か?俺。

2025/07/22 23:29

おとうふ ID:≫ 3e8L8XnSmESu.
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