聞こえなくなった声を辿って【our fantasy】
楽座視点
楽座「天楼!音無ーー!!」
あかん、探しても探しても、おらん…!
えりかが「あの怪物のほうへ」って言いよったから、みんなでそっちに行ってるんやけど…
もうそろそろ、音無に会えてもええと思うんやが!?
真人「…っ、!」
楽座「真人?どうし______
キラーン。
独特な結晶の音が聞こえた。
気づいた。今俺は、それに吹き飛ばされている!
楽座「ぐあぁっ!?」
えりか「楽座さん!!」
「これはこれは。勇敢な牡鹿と、はぐれ者が4匹。」
真人「[太字]マニキュアァッ!![/太字]」
真人がああやって取り乱すところを俺は初めて見た。
楽座「マニキュア…って?」
マニキュア「貴方に名前を教えたつもりはありませんよ。はぐれ者」
真人「冬美さんを返せ…!冬美さんはどこにいる!!」
マニキュア「貴方にはもう届かないところですよ。」
真人「絶対に助ける!俺に、届かないところなんてない!!」
マニキュア「…愚かな。」
えりか「どいてください。邪魔をするなら、私たち容赦しませんよ」
マニキュア「おやおや、ずいぶんと威勢のいい殿方だ。華奢な身体には似合わないな」
えりか「黙りなさい、私、これでも結構強いんですよ?」
マニキュア「それは面白い。一つ手合わせと行かないか?」
えりか「貴方がその気なら。こちらも好都合ですから!」
スラッと日本刀を抜く。えりかのメインウェポンだ。
えりか「楽座さん!ヒノさん!あなたたちは先へ行って!」
日ノ丸「…分かった。絶対死なないでね?」
えりか「ええ、貴方もね?」
楽座「行くぞ、日ノ丸!」
[水平線]
えりか視点
真人「…マニキュア、…」
マニキュア「まだ私の神聖なる名を呼ぶか。私は今貴方とは対峙していません。」
えりか「真人さん、少し下がっていてください。…必ず私が仕留めます」
マニキュアが抜いたのはサーベルですか。彼も華奢ですから、あまり膂力がないのかもしれない。
キンッ!!
刀と刀がぶつかり合う。お互い、相手を斬ることを考えて動く。
えりか「咲き乱れよ、[太字]八重桜[/太字]ッ!!!」
幾十に、見えないように連撃を打ち込む。何発かは当たっているでしょうか。
マニキュア「おお、これは素晴らしい。本当に桜の咲いたような、綺麗な斬撃。見事!」
えりか「ぐっ…!」
腕を斬られた…!大丈夫、まだ動きます。
刃と刃が当たる音。お互いの短い声。軽快に繋がる曲のような、そんな戦い。
私はこれを久方ぶりに味わう。
えりか「[太字]胡蝶蘭[/太字]!」
身体を捻り、読まれぬよう動く。
マニキュア「っ___素晴らしい!その動き、枝垂れ咲く胡蝶蘭そのままよ!」
マニキュア「[太字]カタルシス[/太字]っ!!」
しまった、空いてるところに____!
えりか「[太字]彼岸花[/太字]!!」
複雑な動きと、細くうねる斬撃。避けられますか?
マニキュア「面白い、面白い!貴方は素晴らしいっ、殺してしまうのがもったいないぐらいだ!」
なら殺さないでほしいですけどね、と思いながら、私も同類であったことを思いだす。
えりか「その気持ち、少しわかります。昔そうでしたから。」
切り込むなら今。大丈夫、すぐにカタをつけないと!
[水平線]
楽座視点
ガタガタッ
楽座「!?」
あそこの物置から音がした…?
音無「楽座さん!」
楽座「音無!あんさん急にいなくなるから心配したんやでぇー!」
日ノ丸「天楼は?」
音無「…天楼さん、あそこ!」
楽座「へ___」
音無「あそこで、一人で戦ってる…!お願い、助けに行ってあげて」
日ノ丸「…わかった。行こう、楽座さん」
楽座「おう。…あいつ、また無茶しやがって」
[水平線]
真人視点
えりか「ハァッ、ハァ…まだです、終わってない![太字]花水木[/太字]!!」
えりかさんが、俺を庇って戦ってくれてる。
俺の能力を、知ってるから。
俺が逃げることしかできないことを。
だから、えりかさんは戦ってる。
俺のために。
俺は、今そっちのけで、冬美さんのことや、マニキュアへの私怨で頭がいっぱいだっていうのに。
酷い人間だ。
大好きな人も守れない。
頼れる人に頼りっぱなし。
そうして生きてきたんだ、仕方ない。
けれど、…
変わりたい。
どうして、変われない?
俺はいつまでも、誰かの影。
凛と咲く花に落ちる影。
えりか「[太字]帝王貝細工[/太字]!!」
咲き乱れ、開く花にばかり、誰もが注目し見惚れる。
その陰にしか俺はなれない。
俺は____!
「兄ちゃん、兄ちゃん」
マニキュア「…なんだ、[太字]あかね[/太字]」
あかね「[太字]天楼に、面白いことが起こったよ。[/太字]」
楽座「天楼!音無ーー!!」
あかん、探しても探しても、おらん…!
えりかが「あの怪物のほうへ」って言いよったから、みんなでそっちに行ってるんやけど…
もうそろそろ、音無に会えてもええと思うんやが!?
真人「…っ、!」
楽座「真人?どうし______
キラーン。
独特な結晶の音が聞こえた。
気づいた。今俺は、それに吹き飛ばされている!
楽座「ぐあぁっ!?」
えりか「楽座さん!!」
「これはこれは。勇敢な牡鹿と、はぐれ者が4匹。」
真人「[太字]マニキュアァッ!![/太字]」
真人がああやって取り乱すところを俺は初めて見た。
楽座「マニキュア…って?」
マニキュア「貴方に名前を教えたつもりはありませんよ。はぐれ者」
真人「冬美さんを返せ…!冬美さんはどこにいる!!」
マニキュア「貴方にはもう届かないところですよ。」
真人「絶対に助ける!俺に、届かないところなんてない!!」
マニキュア「…愚かな。」
えりか「どいてください。邪魔をするなら、私たち容赦しませんよ」
マニキュア「おやおや、ずいぶんと威勢のいい殿方だ。華奢な身体には似合わないな」
えりか「黙りなさい、私、これでも結構強いんですよ?」
マニキュア「それは面白い。一つ手合わせと行かないか?」
えりか「貴方がその気なら。こちらも好都合ですから!」
スラッと日本刀を抜く。えりかのメインウェポンだ。
えりか「楽座さん!ヒノさん!あなたたちは先へ行って!」
日ノ丸「…分かった。絶対死なないでね?」
えりか「ええ、貴方もね?」
楽座「行くぞ、日ノ丸!」
[水平線]
えりか視点
真人「…マニキュア、…」
マニキュア「まだ私の神聖なる名を呼ぶか。私は今貴方とは対峙していません。」
えりか「真人さん、少し下がっていてください。…必ず私が仕留めます」
マニキュアが抜いたのはサーベルですか。彼も華奢ですから、あまり膂力がないのかもしれない。
キンッ!!
刀と刀がぶつかり合う。お互い、相手を斬ることを考えて動く。
えりか「咲き乱れよ、[太字]八重桜[/太字]ッ!!!」
幾十に、見えないように連撃を打ち込む。何発かは当たっているでしょうか。
マニキュア「おお、これは素晴らしい。本当に桜の咲いたような、綺麗な斬撃。見事!」
えりか「ぐっ…!」
腕を斬られた…!大丈夫、まだ動きます。
刃と刃が当たる音。お互いの短い声。軽快に繋がる曲のような、そんな戦い。
私はこれを久方ぶりに味わう。
えりか「[太字]胡蝶蘭[/太字]!」
身体を捻り、読まれぬよう動く。
マニキュア「っ___素晴らしい!その動き、枝垂れ咲く胡蝶蘭そのままよ!」
マニキュア「[太字]カタルシス[/太字]っ!!」
しまった、空いてるところに____!
えりか「[太字]彼岸花[/太字]!!」
複雑な動きと、細くうねる斬撃。避けられますか?
マニキュア「面白い、面白い!貴方は素晴らしいっ、殺してしまうのがもったいないぐらいだ!」
なら殺さないでほしいですけどね、と思いながら、私も同類であったことを思いだす。
えりか「その気持ち、少しわかります。昔そうでしたから。」
切り込むなら今。大丈夫、すぐにカタをつけないと!
[水平線]
楽座視点
ガタガタッ
楽座「!?」
あそこの物置から音がした…?
音無「楽座さん!」
楽座「音無!あんさん急にいなくなるから心配したんやでぇー!」
日ノ丸「天楼は?」
音無「…天楼さん、あそこ!」
楽座「へ___」
音無「あそこで、一人で戦ってる…!お願い、助けに行ってあげて」
日ノ丸「…わかった。行こう、楽座さん」
楽座「おう。…あいつ、また無茶しやがって」
[水平線]
真人視点
えりか「ハァッ、ハァ…まだです、終わってない![太字]花水木[/太字]!!」
えりかさんが、俺を庇って戦ってくれてる。
俺の能力を、知ってるから。
俺が逃げることしかできないことを。
だから、えりかさんは戦ってる。
俺のために。
俺は、今そっちのけで、冬美さんのことや、マニキュアへの私怨で頭がいっぱいだっていうのに。
酷い人間だ。
大好きな人も守れない。
頼れる人に頼りっぱなし。
そうして生きてきたんだ、仕方ない。
けれど、…
変わりたい。
どうして、変われない?
俺はいつまでも、誰かの影。
凛と咲く花に落ちる影。
えりか「[太字]帝王貝細工[/太字]!!」
咲き乱れ、開く花にばかり、誰もが注目し見惚れる。
その陰にしか俺はなれない。
俺は____!
「兄ちゃん、兄ちゃん」
マニキュア「…なんだ、[太字]あかね[/太字]」
あかね「[太字]天楼に、面白いことが起こったよ。[/太字]」