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聞こえなくなった声を辿って【our fantasy】

#12

透明な花

楽座視点






楽座「天楼!音無ーー!!」





あかん、探しても探しても、おらん…!





えりかが「あの怪物のほうへ」って言いよったから、みんなでそっちに行ってるんやけど…





もうそろそろ、音無に会えてもええと思うんやが!?





真人「…っ、!」




楽座「真人?どうし______








キラーン。






独特な結晶の音が聞こえた。






気づいた。今俺は、それに吹き飛ばされている!





楽座「ぐあぁっ!?」





えりか「楽座さん!!」




「これはこれは。勇敢な牡鹿と、はぐれ者が4匹。」






真人「[太字]マニキュアァッ!![/太字]」






真人がああやって取り乱すところを俺は初めて見た。




楽座「マニキュア…って?」





マニキュア「貴方に名前を教えたつもりはありませんよ。はぐれ者」






真人「冬美さんを返せ…!冬美さんはどこにいる!!」





マニキュア「貴方にはもう届かないところですよ。」




真人「絶対に助ける!俺に、届かないところなんてない!!」




マニキュア「…愚かな。」





えりか「どいてください。邪魔をするなら、私たち容赦しませんよ」





マニキュア「おやおや、ずいぶんと威勢のいい殿方だ。華奢な身体には似合わないな」





えりか「黙りなさい、私、これでも結構強いんですよ?」





マニキュア「それは面白い。一つ手合わせと行かないか?」




えりか「貴方がその気なら。こちらも好都合ですから!」





スラッと日本刀を抜く。えりかのメインウェポンだ。






えりか「楽座さん!ヒノさん!あなたたちは先へ行って!」





日ノ丸「…分かった。絶対死なないでね?」






えりか「ええ、貴方もね?」




楽座「行くぞ、日ノ丸!」


[水平線]





えりか視点





真人「…マニキュア、…」






マニキュア「まだ私の神聖なる名を呼ぶか。私は今貴方とは対峙していません。」






えりか「真人さん、少し下がっていてください。…必ず私が仕留めます」





マニキュアが抜いたのはサーベルですか。彼も華奢ですから、あまり膂力がないのかもしれない。




キンッ!!





刀と刀がぶつかり合う。お互い、相手を斬ることを考えて動く。






えりか「咲き乱れよ、[太字]八重桜[/太字]ッ!!!」






幾十に、見えないように連撃を打ち込む。何発かは当たっているでしょうか。






マニキュア「おお、これは素晴らしい。本当に桜の咲いたような、綺麗な斬撃。見事!」





えりか「ぐっ…!」





腕を斬られた…!大丈夫、まだ動きます。





刃と刃が当たる音。お互いの短い声。軽快に繋がる曲のような、そんな戦い。







私はこれを久方ぶりに味わう。






えりか「[太字]胡蝶蘭[/太字]!」





身体を捻り、読まれぬよう動く。





マニキュア「っ___素晴らしい!その動き、枝垂れ咲く胡蝶蘭そのままよ!」





マニキュア「[太字]カタルシス[/太字]っ!!」





しまった、空いてるところに____!





えりか「[太字]彼岸花[/太字]!!」




複雑な動きと、細くうねる斬撃。避けられますか?





マニキュア「面白い、面白い!貴方は素晴らしいっ、殺してしまうのがもったいないぐらいだ!」





なら殺さないでほしいですけどね、と思いながら、私も同類であったことを思いだす。





えりか「その気持ち、少しわかります。昔そうでしたから。」





切り込むなら今。大丈夫、すぐにカタをつけないと!





[水平線]





楽座視点






ガタガタッ




楽座「!?」




あそこの物置から音がした…?





音無「楽座さん!」





楽座「音無!あんさん急にいなくなるから心配したんやでぇー!」




日ノ丸「天楼は?」




音無「…天楼さん、あそこ!」





楽座「へ___」





音無「あそこで、一人で戦ってる…!お願い、助けに行ってあげて」






日ノ丸「…わかった。行こう、楽座さん」





楽座「おう。…あいつ、また無茶しやがって」





[水平線]




真人視点






えりか「ハァッ、ハァ…まだです、終わってない![太字]花水木[/太字]!!」






えりかさんが、俺を庇って戦ってくれてる。






俺の能力を、知ってるから。





俺が逃げることしかできないことを。





だから、えりかさんは戦ってる。





俺のために。






俺は、今そっちのけで、冬美さんのことや、マニキュアへの私怨で頭がいっぱいだっていうのに。






酷い人間だ。






大好きな人も守れない。




頼れる人に頼りっぱなし。





そうして生きてきたんだ、仕方ない。





けれど、…





変わりたい。





どうして、変われない?





俺はいつまでも、誰かの影。





凛と咲く花に落ちる影。






えりか「[太字]帝王貝細工[/太字]!!」






咲き乱れ、開く花にばかり、誰もが注目し見惚れる。





その陰にしか俺はなれない。






俺は____!







「兄ちゃん、兄ちゃん」





マニキュア「…なんだ、[太字]あかね[/太字]」





あかね「[太字]天楼に、面白いことが起こったよ。[/太字]」

作者メッセージ

__そういや今日日ノ丸さんお誕生日なんですよね、おめでとうございます。


日ノ丸「…あんまり誕生日ってうれしいもんじゃないかなあ…年取ってくだけだし。
……あ、でもえりさんにお菓子作ってもらえるかな?」


__読者の皆さんに、何か豆知識お願いできますか?



日ノ丸「そんな大正コソコソ噂話みたいな。…うーん。」



日ノ丸「えりさんの技の、花言葉に注目してみたら?」

2025/07/20 00:20

おとうふ ID:≫ 3e8L8XnSmESu.
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