永遠の絆と変わる世界
シエル視点
シエル「…え?」
感動もできない、悲しむこともできない唐突な死。
一人の命を破り捨てた本人であろうものは、倒れこむ王巳を無機質な目で見ていた。
レイル「え_______
「動くな」
神威「!?」
「私に逆らえば、お前らも例外なくこうなる」
目の前の女性は王巳の胸を貫いた武器を容赦なく引き抜くと、
こちらに向け、そう言った。
黄夏「…あなたは誰?」
「名乗る名などない。ただ、この存在は邪魔であった。」
「任務完了」
そういって目の前からふっと消えていくその存在を、あたしは見るしかできなかった。
黄夏「……」
すべてが急に終わって、沈黙だけが場を支配する。
神威「…帰ろう、神殿に。」
神威「アルトさんたちに危険が迫ってる」
シエル「…うん。黄夏さん___」
黄夏「…」
レイル「!」
お姉ちゃんの呼んだ鳥が、あたしの肩にとまる。
黄夏「…とりさん」
レイル「…ねえ、黄夏ちゃん。…[太字]憶えてる?このブローチ[/太字]」
あたしが黄夏さんのもとへ近づく。
その[漢字]ブローチ[/漢字][ふりがな]絆[/ふりがな]をもっとよく見せるために。
黄夏「それは…」
レイル「…黄夏ちゃん。一緒に帰ろう」
レイル「[太字]今度は、私たちがあなたを繋ぐ番[/太字]」
[水平線]
黄夏視点
黄夏「その、ブローチは…」
_____[明朝体]そうだ!これ、レイル先輩に[/明朝体]
_____[明朝体]もちろんです。使ってくれたらうれしいな[/明朝体]
懐かしい…あのブローチ、よく付けてくれてたな。
あの時も…そういえば…
____[明朝体][太字]お疲れ様ー、乾杯[/太字][/明朝体]
黄夏「…あっ…」
____[明朝体]わたしが神に興味を持ったのは、ほんの数か月前の事。[/明朝体]
____[明朝体]なんとなく気が向いて、昔住んでた廃屋に行ってみたんだ。[/明朝体]
____[明朝体]わたしは、神がどこにいるか、知りたい。[/明朝体]
黄夏「…あの時、あの時…」
____[明朝体]いるわよ、『神のことが知りたい!一緒に調べて!!!』って言われて信じるどころか興味もってあなたに協力してくれそうな子。[/明朝体]
____[明朝体]はい!いつになるかはちょっと断言できないですけど…なるべく早く調べて伝えます!![/明朝体]
____[明朝体]…そうだね。私も興味がないと言えばウソになる[/明朝体]
____[明朝体]…オレも行くよ[/明朝体]
____[明朝体]はい…お役に立てるよう、精一杯頑張ります![/明朝体]
黄夏「[太字]…わたしが、神を調べるために動く決意をした日…[/太字]」
欠けていたピースが埋まる気がした。
[太字][漢字]私たちの物語[/漢字][ふりがな]our fantasy[/ふりがな]の始まりというピースが。[/太字]
レイル「…黄夏ちゃん、思い出してくれた?」
黄夏「……はい。」
_____[明朝体]みんながこの旅路で成長できるように、わたしはその旅路を途絶えさせないようにする。[/明朝体]
きっと、あの選択は間違いじゃなかったと思う。
そして、今はそれを果たすため、わたしはみんなについて行く。
レイル先輩たちに、繋いでもらいながら。
黄夏「[太字]皆さん…行きましょう、神殿へ。[/太字]」