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今作は第1部「能力者たちの詩編歌」、第2部「希望に満てる知識欲」、第3部「誠と偽りの狂情曲」、第4部「真実、誠実の優等生」、第5部「想い出は友情、時々希望。」、第6部「仁愛に今、決別の歌を。」
の続編です。
まだそれらを見ていない人は、先にそちらをご覧いただけると話がわかりやすいと思います。
第1部→https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=1969&no=1
第2部→https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=2089&no=1
第3部→novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=2280#JumpTitle
第4部→novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=2733&no=1
第5部→novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=2975&no=1
第6部→novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=3440&no=1

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永遠の絆と変わる世界

#7

特別な存在


少し前、



黄夏視点





シエル「…ねぇ、…一緒に、神殿に行こう」




手を差し伸べて、シエルさんはそう言った。




レイル「アルト君とソプラノさんが待ってるわ」





アルトさん…ソプラノさん…




黄夏「……どうして?」





待ってくれていてありがとうと思いつつ、どうして待っているのかわからない。





神威「なんでって……あなたの望みをかなえるために…」





黄夏「…わたし、何を望んでたんだっけ?」





シエル「…え」






思い出せそうで思い出せない、この感じが狂おしく気持ち悪い。






黄夏「…わからない」




[水平線]






神威視点





絞り出すように出したその声には、絶望と困惑が入り混じっていた。






レイル「…黄夏ちゃ







「あれ?もう来ちゃったの?」






シエル「!」






ドアを蹴り開けてこちらを見ているのは、王巳だった。







王巳「駆けつけがびみょいヒーローだこと」






神威「…は?」





王巳「[太字]あんたの知る黄夏はもういない[/太字]」






王巳「[太字]黄夏の大事に大事にしてたもの……「神への探求心」は、多分もうないよ![/太字]」



シエル「…それって、どういうことなの」




王巳「私は至極真っ当よ?これから世界は私によって救われる!」





レイル「何言ってんの?黄夏ちゃんをいたずらに操って、よくそんなことが言えるわね!」





王巳「…あんた、まだ知らないんだ?お気楽なこと」





王巳「[太字]もうすぐ滅ぶのよ、この世界。[/太字]」





シエル「…え」




そんな言葉を、今さっき聞いた気がする。






神威「アステミと同じことを…」





王巳「精霊が狂ってるとかなんとか。あと10年ですべてのエネルギーの源が消滅して地球は崩壊するのよ」



シエル「でも…あたしたちには影響全然なかったし…そんなに危機なら…」


王巳「私たちだって例外じゃない!ちゃんと影響を受けてる!!…今もね?」





レイル「それってどういうこと?」





王巳「私たちも、空気の精霊のせいで無気力になってる」




王巳「…[太字]そこの黄夏を除いて![/太字]」





指さされた当の本人である黄夏さんは、何が起こっているかわからずきょとんとしていた。




黄夏「わたしが…?」





王巳「あんただけ、特別なの」




王巳「[太字]あんたの周りの人は、不思議と狂った精霊の影響を受けない[/太字]」





レイル「………それで、私たちは…ずっと今まで黄夏ちゃんと動けてたってこと…?」





王巳「知らんけどそうね、きっと。だから私は、黄夏のすべてを使って、ワクチンを作った」





王巳「心、細胞。それから作られたこれがあれば、少なくとも私は生きられる。
そうしたら、地位の高い人にこれを売って、世界に行きわたらせる。
それで世界が救われたら万々歳、だめでも私だけはずっと生きられる!」




神威「…そんなことのために黄夏さんを監禁したのか!?」




王巳「そんなこととは心外ね、私は世界のヒーロー予備軍よ?」




シエル「私には、それは世界を救うためじゃなくて、自分の利己的理由に聞こえたけどね?!」




王巳「世界のヒーローに動機は関係ないでしょ、
例え世界が滅んだって私がなんとかできるかもしれない!望み薄だけどね!」





そう言い放ってからしばらくして、黄夏さんがぽつりと言った。





黄夏「…[太字]そんなに生きて、何がしたいの…?[/太字]」






王巳「……」





黄夏「[太字]どうして、死にたくないの?[/太字]」






黄夏「[太字]…わたしには、わからない[/太字]」







レイル「……」





王巳「それ…は」





王巳「死ぬのが怖いだけで____________









グサッ




[太字]俺がまともに見たとき、王巳さんの心臓は、見たことのない武器で貫かれていた。[/太字]

2025/04/05 11:08

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