永遠の絆と変わる世界
レイル視点
扉の向こうには、だだっ広い部屋があって、
奥に大きな地球儀と、周りにはやはりたくさんの本棚があった。
メーティス「御覧、ここからの眺めが素晴らしいんだよ」
メーティスと名乗った男性は、そう言って大きな窓を開けると、私たちに風景を見せた。
壮観だった。
本当だったら、両目で見れたらもっとよかったのに____
そう思ってしまうぐらいには。
メーティス「…でもね。この世界も、いつかなくなる。」
神威「なくなる…ですか?」
メーティス「うん。それも案外遠くない未来の話だよ。」
アルト「…さっき、神様が言ってたな…
もうすぐ、精霊が狂ったせいで地球が崩壊するって」
メーティス「ああその通りさ、説明の分の行が省けたな。ありがとう。」
ソプラノ「…先ほどから、物語の筆者のような口ぶりだが…」
メーティス「…私の本をご覧になっただろう?」
神威「え?本…って、あの本棚にあったたくさんの?」
メーティス「そうだ。あれは全部、[太字]私が書いたんだよ[/太字]」
シエル「ええ!?」
メーティス「気になるなら借りても構わないさ。物語は読んでもらって初めて役割を果たすからね。」
そういわれると少し気になる。何冊か借りていこうか…
メーティス「…地球が滅ぶ。という話だがね」
メーティス「私は、[太字]滅びというのは素晴らしいと思う[/太字]」
黄夏「…それは、どういうことですか?」
メーティス「美しいじゃないか。すべてがなくなって、新しく始まる。
物語の起承転結の転。一番、面白いところだろう?」
神威「それって___」
メーティス「でも、私が滅んでしまってはいけないね。これからも、
沢山の物語を紡がなくてはいけないのだから。」
メーティス「…だからね。」
メーティス「…[太字]君たちには、キレイに死んでもらうよ[/太字]」
黄夏「____っ!?」
カーテンが揺れて、地球儀が回る。
メーティスの背後には、ひときわ強く輝く光の結晶があった。
シエル「…それ、何!?」
メーティス「[太字][漢字]精霊苗圃[/漢字][ふりがな]スピリット・ナーセリー
[/ふりがな][/太字]。精霊の力の結晶だ」
神威「力の結晶…!?」
メーティス「これがあることで、世界が成り立っているんだよ。
____でも、その力ももういらない。」
メーティス「[太字]今から地球は無くなるんだから!!![/太字]」