ピンポーン……
きよかず「…山中さーん？って、早く出えや！」
最近、同クラスの山中さんが高校を休んでばっかりだ。
モテモテな教師から、「山中さんの様子を見に行ってくれないか」って頼まれて、今は山中さんの家の前に居ます。
…嫌な予感しかしない……嫌な予感しかしねえよぉ……

【戦慄の純愛サイコホラー】彼の恋は、甘くて痛い。
第29話　コーヒーのように苦い恋③

母(あやかの)「は～い、…って、あら？あやかと同じ制服…同じ高校の子？」
きよかず「あ、はい。実は、山中さんがずっと高校を休んでるってことで、先生に家に言って見に行ってくれないかって言われて…お見舞いに…」
母「あら、そうなの。じゃ、上がってってくださいね。」


平凡で普通の家庭。…俺も、こういう普通の家に住みたかったなあ…
きよかず「山中さーん？居んのかー？」
二階に居んのかなあ……ちょっと行ってみるか。

ガチャ。
きよかず「…ここが、山中さんの部屋…？」
コンコン。
きよかず「山中さーん？俺俺、髙野きよかず。ちょっと入るねー。」
がちゃっ…
きよかず「……お邪魔しまーす……って…ぇ…？」
あやかの部屋は、部屋中に『捜しています』のビラが貼られている。
『若井 ひろと』
ゴテゴテとした字で、部屋中に貼り付けられているのだ。
きよかず「…なんや、これ……」

くしゃ。
気が付けば、足でビラを踏んでしまった。
あやか「きゃあっ！何してんですか！」
ビラを踏んだきよかずに向かって、あやかは駆け付けて怒鳴り付ける。
あやか「私の天使、ひろとくんを足蹴にするなんて！」
きよかず「…て、天使…？」
あやか「そうです！私の天使であるひろとくんを足蹴にするなんて…！」


良かった、山中さん、元気そう。
きよかず「山中さん、先生達が心配しとったで。高校行かんといけへんやろ？」
あやか「えっ…？そんな暇ないんです！私は、いつまでもひろとくんを眺めていたい…！」
……何言ってんやろ、この人は……
そんな小っちゃな子供に依存して……、……って、あれ…？

待って、この前、もときと出かけた時。
もとき、確か、[太字]ビラに写ってるこの子と出かけてた[/太字]………

…まさか…もときが……この子を……？

……いや、違う…！もときがそんなことする訳…！
あやか「それでですね！大森くんは、ひろとくんを誘拐してるんです！この前、その様子を目撃したんです！」
きよかず「もときがそんなことする訳無いやろ！」
あやか「違うんです！ホントに…！」

なんやこいつ、気持ち悪い…
もときがそんなことする訳無いって、言ってんのに…！
きよかず「はあ、もうええわ！好きにしろ！」

パタン……