莉子は最後にこう思った。
「夢を諦めたくなかった」と。
やっぱり諦めきれなかった。諦めたくなかったって。そんなとき、黒猫が出てきた。
黒猫：覚えてるか？あの時話しかけた黒猫だ。ほら、救急車きたよ。生きてまた会おうな。
救急車のサイレン音が聞こえてきた。莉子は少しだけ意識がはっきりしていた。
目が覚めた場所は、白い壁…病院だ。
近くには母と医者。
莉子：っは！はぁ、はぁ、な、なに？！
母：莉子！あなた、何があったか知らないの？お医者様が来るから待ってなさい。
莉子：人が沢山、紗季ちゃん…。
母：紗季ちゃん？がいたのね。クラスの子？
莉子：ｺｸ
医者：莉子さんは交通事故にあったと通報してくれた神崎（かんざき）さんという近所の方が教えてくれました。
医者によると、莉子が帰っている途中、小学生の女の子が莉子の背中を押し、体制を崩した莉子が車に跳ねられたということだった。
母：なんだか、奇跡のようね。誰かが庇ってくれたみたい。
莉子：え、なんで？周りには、誰もいなかったはず、
医者：神崎さんが、ぶつかる直前に黒い何かが八乙女さんに突進したみたいなんです。なにか心当たりありませんか？
莉子：（うーん、確かに何かにぶつかった？）いえ、何も、
その時だった。ガラガラガラガラと、扉が開いた。紗季だ。
紗季：莉子大丈夫？！交通事故にあったって聞いたけど、誰かに押されたんでしょ？大丈夫？
莉子：！（え…紗季ちゃん。）