二次創作
nmmn界隈短編
16葛葉 🎲 約1500文字
『来世は結ばれようね』
笑顔が似合う泣き虫な葛葉の話。
※久々低クオ注意報
・・・
心底憎らしく思えて
同時に馬鹿らしくも思えた。
魔界と人間界が統合され
平和に共存していきましょう、なんて
夢物語なおとぎ話。
深紅の瞳に魅せられて、
種族を越えた愛はあっけなく
あまりに儚く終わった。
・・・
最近になってようやく
異族との結婚が許可された。
ただ、それは異なる種族と
契約を結ぶことになるため
離婚は許されない。
つまり生涯を捧ぐということ。
俺と●●からすれば
どうってことない何でもない
話だったということもあって。
「....●●ちゃん、ねえ本気なの?」
張り詰めた空気が
異種族間の難しさを
物語っていた。
その制度をよく思わないのは
本来誰だって当たり前なはずで、
彼女の母を見て痛感した。
互いが互いの血を嫌い
混ざることを極度に嫌がった
この500年間の空白。
『本気。私が初めて好きになった人だよ』
その綺麗な横顔を見つめ
好きだ、と改めて思う。
●●は母親からの支配を
ひどく怖がっていた。
なのに、俺のことだからと
トラウマそのものと真剣に向き合って
一緒に生きることを決めた。
「ああ、どうして普通の恋愛をしてくれないの」
「アナタは...人間と結婚して普通の子を産めば良かったのよ...」
「一族の血が穢れるじゃない...!」
それがどうして、と
俯いていた彼女の母親の目が
鋭く俺に突き刺さる。
「俺たちは婚約制度ができる前から
ずっと結婚を前提に付き合ってきました」
『...葛葉くんじゃなきゃ嫌だと思ったの、』
誠意を感じてもらえるよう
その殺意さえ混じった瞳を
じっとひたすら見つめ返す。
●●からの言葉も
頭の端っこで覚えたまま。
”無理だと思ったら
2人で遠くに行こうね”
あの時の不安げに揺れた、
どこまでも透明な黒ガラスが
音を立てて崩れた気がした。
「そんなだから!アンタがいたからあの人は!」
「あんたが、魔族なんかに肩入れしたから!」
あーやべえやつだな、と
このヒステリック具合を見て
瞬時に無理を悟る。
だから、●●を連れて
すぐに帰ろうと思った。
「....●●、..?」
机に足をぶつけるのをものともせず
ふらふらと立ち上がった●●は
見たこともないほど怒っていた。
『っ、お母さんが思う魔族とは違う!やめて!』
『葛葉くんのことだけは否定しないで!』
ぽかん、と思わず呆然とすると
彼女の向かう先から刃物が見える。
「ああもう、そこの魔族が●●ちゃんを!」
「私の●●ちゃんをおかしくしたのね!?!?」
なんとなく嫌な予感はしてて
一刻も早くここを去りたくて
●●の手を取った瞬間。
多分、俺を庇おうとして
やわく肌を刺された最愛の人を
どこか遠くに感じていた。
・・・
●●の母親が死んでいる。
俺の手に知らない匂いの血。
何があった、どうなった?
とりあえず覚えてるのは
必死で●●を生かそうと
俺の血を飲ませ続けたこと。
『葛葉くん、ないてるの?』
みるみる冷たくなる体が
膨張する不安を煽り
涙の膜が視界を遮ってくる。
「俺たちが出会ったばっかの時」
「怖いものあるか聞いてきたよな」
『...うん』
今更になって悪いんだけど、と
震える息をどうにか声にして
小さく息をする君を抱きしめた。
「●●がいなくなんのが怖い、死んじまうのが怖い」
「俺のそばを、っ離れていかないでほしい...」
『葛葉くんと結婚、したかったあ』
わっと泣き出した彼女も人間。
怒鳴り散らしたあれも人間。
人間は脆くて、弱くて醜くて。
それでいて綺麗な面もある。
葛葉くんの笑った顔がすき、なんて
そんなん言われたって
どうやって笑えばいいんだよ。
きっとぐちゃぐちゃな顔だけど
精一杯はにかんでみせれば
『最期にみる顔が葛葉くんの泣き笑いでよかったよ』
泣き虫だね、なんて
幸せそうに息を引き取った。
『来世は結ばれようね』
笑顔が似合う泣き虫な葛葉の話。
※久々低クオ注意報
・・・
心底憎らしく思えて
同時に馬鹿らしくも思えた。
魔界と人間界が統合され
平和に共存していきましょう、なんて
夢物語なおとぎ話。
深紅の瞳に魅せられて、
種族を越えた愛はあっけなく
あまりに儚く終わった。
・・・
最近になってようやく
異族との結婚が許可された。
ただ、それは異なる種族と
契約を結ぶことになるため
離婚は許されない。
つまり生涯を捧ぐということ。
俺と●●からすれば
どうってことない何でもない
話だったということもあって。
「....●●ちゃん、ねえ本気なの?」
張り詰めた空気が
異種族間の難しさを
物語っていた。
その制度をよく思わないのは
本来誰だって当たり前なはずで、
彼女の母を見て痛感した。
互いが互いの血を嫌い
混ざることを極度に嫌がった
この500年間の空白。
『本気。私が初めて好きになった人だよ』
その綺麗な横顔を見つめ
好きだ、と改めて思う。
●●は母親からの支配を
ひどく怖がっていた。
なのに、俺のことだからと
トラウマそのものと真剣に向き合って
一緒に生きることを決めた。
「ああ、どうして普通の恋愛をしてくれないの」
「アナタは...人間と結婚して普通の子を産めば良かったのよ...」
「一族の血が穢れるじゃない...!」
それがどうして、と
俯いていた彼女の母親の目が
鋭く俺に突き刺さる。
「俺たちは婚約制度ができる前から
ずっと結婚を前提に付き合ってきました」
『...葛葉くんじゃなきゃ嫌だと思ったの、』
誠意を感じてもらえるよう
その殺意さえ混じった瞳を
じっとひたすら見つめ返す。
●●からの言葉も
頭の端っこで覚えたまま。
”無理だと思ったら
2人で遠くに行こうね”
あの時の不安げに揺れた、
どこまでも透明な黒ガラスが
音を立てて崩れた気がした。
「そんなだから!アンタがいたからあの人は!」
「あんたが、魔族なんかに肩入れしたから!」
あーやべえやつだな、と
このヒステリック具合を見て
瞬時に無理を悟る。
だから、●●を連れて
すぐに帰ろうと思った。
「....●●、..?」
机に足をぶつけるのをものともせず
ふらふらと立ち上がった●●は
見たこともないほど怒っていた。
『っ、お母さんが思う魔族とは違う!やめて!』
『葛葉くんのことだけは否定しないで!』
ぽかん、と思わず呆然とすると
彼女の向かう先から刃物が見える。
「ああもう、そこの魔族が●●ちゃんを!」
「私の●●ちゃんをおかしくしたのね!?!?」
なんとなく嫌な予感はしてて
一刻も早くここを去りたくて
●●の手を取った瞬間。
多分、俺を庇おうとして
やわく肌を刺された最愛の人を
どこか遠くに感じていた。
・・・
●●の母親が死んでいる。
俺の手に知らない匂いの血。
何があった、どうなった?
とりあえず覚えてるのは
必死で●●を生かそうと
俺の血を飲ませ続けたこと。
『葛葉くん、ないてるの?』
みるみる冷たくなる体が
膨張する不安を煽り
涙の膜が視界を遮ってくる。
「俺たちが出会ったばっかの時」
「怖いものあるか聞いてきたよな」
『...うん』
今更になって悪いんだけど、と
震える息をどうにか声にして
小さく息をする君を抱きしめた。
「●●がいなくなんのが怖い、死んじまうのが怖い」
「俺のそばを、っ離れていかないでほしい...」
『葛葉くんと結婚、したかったあ』
わっと泣き出した彼女も人間。
怒鳴り散らしたあれも人間。
人間は脆くて、弱くて醜くて。
それでいて綺麗な面もある。
葛葉くんの笑った顔がすき、なんて
そんなん言われたって
どうやって笑えばいいんだよ。
きっとぐちゃぐちゃな顔だけど
精一杯はにかんでみせれば
『最期にみる顔が葛葉くんの泣き笑いでよかったよ』
泣き虫だね、なんて
幸せそうに息を引き取った。