二次創作
njsj 短編 【リク受付開始】
9ローレン・イロアス 🗝💸 約1400文字
「やり直しができたなら」
脈なしのローレン・イロアスの話。
・・・
どうするんだろうな、俺。
今更どうもできないって言うのが
正しいのかもしれないけど。
『...ぁ』
「あ」
ふいに目が合ったとき
すぐ目をそらされて。
同じクラスで元恋人。
ついでに一応幼馴染。
気まずいに決まってる。
「...んなこと、分かってんだよ」
そう頭では理解していて、
気持ち悪いと思われてるのも知っていて。
でも、気持ちを取っ払うのは
そんなに簡単じゃなくて、
現に俺は未練を引きずってるわけで。
いっそ嫌いになれたら。
こんなの何回も考えた。
決して振り向くことのない、
日だまりで縁取られた綺麗な瞳が
一瞬、俺を映すのが見えた。
・・・
「別れてほしい」
「....っは、ぁ、」
汗が気持ち悪い。
別れてからずっと、同じような夢を見る。
別れ話のときの顔が、声が。
脳裏に焼き付いて離れないのに
よく思い出せない。
嘘、覚えていたくなくて、それで。
「...頭いた」
うじうじと考えるようになった、
別れてからの嫌なクセが
俺自身の息苦しさを増やす。
切り替えるため立ち上がり
学校の準備を始めた。
・・・
早く家を出過ぎたらしい。
電車にほとんど誰もいなくて
ちらほらいるのは
社会人やスーツ姿の大人たち。
その中にまじる
俺の高校の制服を着た
誰よりかわいい女子。
「..っ、なあ、隣座っていい?」
勇気を振り絞って声をかけると
その子は信じられない、と言わんばかりに
ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
『え、...どう、ぞ』
動揺しているらしく
しまわなくていい本すら
学生カバンに押し込んでは
俺をちらちら見ている。
遠慮なく隣に腰を下ろせば
びく、とその肩が揺れた。
「...その、ちょっと弁解させてくんない?」
震えた声がようやく音になる。
早朝の電車は空気が澄んで
ひどく静かで気まずい。
そんな空間で俺の声だけが
響くかと思えば
返事は存外すぐに返ってきた。
『だめ』
しかも、想像とは
かけはなれた形で。
「あの、エット...」
どうすればいいか分からず
目をひたすら泳がせている内に
●●がカバンから
何かを取り出そうとしているのが
見えて、ぐっと口をつぐんだ。
『これ、ずっと渡そうと思ってた』
そう言う●●の手には
かわいらしい封筒がある。
恐る恐る受け取ってみると
読んで、と急かすように言われた。
それっきり●●は
本に目線を落として
俺を見ようとしなかった。
「...?」
しばし悩んだ末封筒を開くと
中身を確認する間もなく
脳が見ることを拒絶した。
たいしてよく見てないけど
目に映ったのは間違いなく
●●の衝撃的な写真で。
『ロレくんモテるからね』
『私、嫉妬されちゃったらしくて』
怖かったはずなのに
●●は温度を失った声で
淡々と語りはじめる。
『ロレくんのこと好きな子に色々されて
一ヶ月くらい経った頃かな』
『別れたらやめてあげるって言われたんだ』
でも、別れたくなかったから
嫌だって言ったんだけど。
『もちろんその子は怒ったよ』
『だから、この写真』
裸で、男に囲まれた写真。
俺が理解を拒んだ写真だった。
「は、待って俺、嘘だろ、気づいてなかった...?」
『怖かったから、別れざるを得なくて』
『なのに、まだロレくんのこと好きだよ』
震えた俺の手に●●の手が重なる。
目線も久しぶりに重なって
●●の瞳には俺がいる。
ただ、以前とは違い
その瞳には恐怖が備わっていて。
「...両思いでも駄目なんだよな」
頬を伝う彼女の涙が、
彼女が小さく呟いた好きだと言う声が、
無力な俺の制服を濡らした。
「やり直しができたなら」
脈なしのローレン・イロアスの話。
・・・
どうするんだろうな、俺。
今更どうもできないって言うのが
正しいのかもしれないけど。
『...ぁ』
「あ」
ふいに目が合ったとき
すぐ目をそらされて。
同じクラスで元恋人。
ついでに一応幼馴染。
気まずいに決まってる。
「...んなこと、分かってんだよ」
そう頭では理解していて、
気持ち悪いと思われてるのも知っていて。
でも、気持ちを取っ払うのは
そんなに簡単じゃなくて、
現に俺は未練を引きずってるわけで。
いっそ嫌いになれたら。
こんなの何回も考えた。
決して振り向くことのない、
日だまりで縁取られた綺麗な瞳が
一瞬、俺を映すのが見えた。
・・・
「別れてほしい」
「....っは、ぁ、」
汗が気持ち悪い。
別れてからずっと、同じような夢を見る。
別れ話のときの顔が、声が。
脳裏に焼き付いて離れないのに
よく思い出せない。
嘘、覚えていたくなくて、それで。
「...頭いた」
うじうじと考えるようになった、
別れてからの嫌なクセが
俺自身の息苦しさを増やす。
切り替えるため立ち上がり
学校の準備を始めた。
・・・
早く家を出過ぎたらしい。
電車にほとんど誰もいなくて
ちらほらいるのは
社会人やスーツ姿の大人たち。
その中にまじる
俺の高校の制服を着た
誰よりかわいい女子。
「..っ、なあ、隣座っていい?」
勇気を振り絞って声をかけると
その子は信じられない、と言わんばかりに
ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
『え、...どう、ぞ』
動揺しているらしく
しまわなくていい本すら
学生カバンに押し込んでは
俺をちらちら見ている。
遠慮なく隣に腰を下ろせば
びく、とその肩が揺れた。
「...その、ちょっと弁解させてくんない?」
震えた声がようやく音になる。
早朝の電車は空気が澄んで
ひどく静かで気まずい。
そんな空間で俺の声だけが
響くかと思えば
返事は存外すぐに返ってきた。
『だめ』
しかも、想像とは
かけはなれた形で。
「あの、エット...」
どうすればいいか分からず
目をひたすら泳がせている内に
●●がカバンから
何かを取り出そうとしているのが
見えて、ぐっと口をつぐんだ。
『これ、ずっと渡そうと思ってた』
そう言う●●の手には
かわいらしい封筒がある。
恐る恐る受け取ってみると
読んで、と急かすように言われた。
それっきり●●は
本に目線を落として
俺を見ようとしなかった。
「...?」
しばし悩んだ末封筒を開くと
中身を確認する間もなく
脳が見ることを拒絶した。
たいしてよく見てないけど
目に映ったのは間違いなく
●●の衝撃的な写真で。
『ロレくんモテるからね』
『私、嫉妬されちゃったらしくて』
怖かったはずなのに
●●は温度を失った声で
淡々と語りはじめる。
『ロレくんのこと好きな子に色々されて
一ヶ月くらい経った頃かな』
『別れたらやめてあげるって言われたんだ』
でも、別れたくなかったから
嫌だって言ったんだけど。
『もちろんその子は怒ったよ』
『だから、この写真』
裸で、男に囲まれた写真。
俺が理解を拒んだ写真だった。
「は、待って俺、嘘だろ、気づいてなかった...?」
『怖かったから、別れざるを得なくて』
『なのに、まだロレくんのこと好きだよ』
震えた俺の手に●●の手が重なる。
目線も久しぶりに重なって
●●の瞳には俺がいる。
ただ、以前とは違い
その瞳には恐怖が備わっていて。
「...両思いでも駄目なんだよな」
頬を伝う彼女の涙が、
彼女が小さく呟いた好きだと言う声が、
無力な俺の制服を濡らした。