怪談
#1
1,始まりの怪談
ミーンミンミンミンミーン…ーー
庭の方からセミの鳴き声が聞こえてきた。
また夏が始まる。
私は花野 桃。
お父さんとお母さんで暮らしている。
私は夏が嫌いだった。理由は暑いから。でも他にも理由がある。
夏になると夜、セミの鳴き声に紛れて、
『殺してやる…』
と聞こえてくるからだ。かすれた声だった。怖くなってお父さんに言ったが信じてもらえなかった。他の人には聞こえてなかったのだろうか…?
それからお母さんにはセミの鳴き声がうるさいからとかで騙して夏休みはおばあちゃん家で暮らしていた。おばあちゃん家のほうがセミの鳴き声が少なくてなんとか騙せていた。
でもある日、おばあちゃん家で夜、布団にくるまっているとかすれた声が聞こえた。
『お前だけは殺してやる…絶対殺してやる…』
私・花野 桃香は怪談を考えるのが好きだ。
「どう?」
友達のにいつも読んでもらって感想を聞くのも好きだ。
「ん〜、このあと桃って子はどうなったの?」
この子が遠藤 奈々。もちもちって、ネットでの呼び方をいつもしてくる。
「殺されたんじゃない?もしくは逃げ切れたか…」
こっちの子は五十嵐 弓子。怪談が好きなのかよく読んでくれていつの間にか友達になっていた。
「てかさ、なんでもちもちの名前から香とっただけなの?前も名前並び替えただけだったじゃん」
あ、そういえばいつもそうだったな…。
「名前考えるの面倒くさかったんだよ〜」
「前もその台詞聞いたけど」
やっぱりこの2人は最高の友達だ。アドバイスを言ってくれたりめっちゃ褒めてくれたりしてくれる。
「あ、もうこんな時間だ!」
時計を見ると5時を指していた。
「じゃ、バイバ〜イ!」
「うん!じゃ〜ね〜!」
2人と別れたあと、私は家の近くの公園で怪談を考えていた。
「そうだな…たまには似てない名前にするか!」
暑いな、と思ったので自動販売機で冷たい飲み物でも買おうとしたときーー
『殺してやる…』
「えッ?」
声がして振り向くとそこには大きなセミがいた。
いや、違う。私が小さくなったのだ。
その時小さい頃のことを思い出した。
それは私が小1だった頃。家で寝ていたがセミの鳴き声で起きた。そしてセミの鳴き声が聞こえてうるさいなと思ってセミを踏んづけて殺したことだ。
『殺す…殺す!!』
そうして何度も踏んづけられた。
「誰か…助けてッ…!!」
そう叫んだ時だった…。
「桃香ッ!!」
「…弓子…!!」
また踏まれる、そう思ったが弓子は普段の大きさで見えたし痛みも感じなかった。
消えた…のか…?
もしかしたらあれは夢で公園で寝ていたのかもしれない。
でも弓子が言ったことで夢じゃなかったことがわかった。
「桃香…その怪我病院行ったほうがいいんじゃない?」
「え…?ぃ゙ッタッッッ!!」
さっきまで恐怖で痛みが感じていなかったけど急に痛みが感じた。
後で家族と近所の人たちと弓子に手当等をしてもらい救急車で病院へ運ばれた。
でもセミにやられたこと、セミを殺ったことは誰にも言わなかった。
自分のせいでこうなったことはわかっている。
そうしてもう2度とこんなことにはならないように気をつけている。
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