二次創作
霧が晴れるまで。
「 …っと、ココは…沼か… ? 」
「 土が水浸しだね…。 」
大きな木の幹の空洞を通り抜ければ、獣道に出たがそこは沼地なのか、
それとも小川だったのか…。 地面にはやや水が張っており、足元がさらに悪くなっていた。
「 転ぶなよ ? ●●。 」
「 う、うん…。 」
先を歩くジタンの後をついていくが、水と土に足が取られて中々歩きにくい。
●●が苦戦している中、置いて行く事はせずにジタンは、●●の方に
手を差し出して、引っ張ってくれている。
「 ………。 」
「 ん ? どうした ? 」
●●が何やら己が差し出した手を見つめ固まっているのに、ジタンは小さく首を傾げた。
●●は、慌てて何でも無いと首を横に振った。
「 ……ジタンって本当に優しいね… ? 」
「 そりゃあ、困ってるヤツを見たら放って置けないだろ ? 」
さらりとそう言われて、●●は、一瞬驚くもすぐに笑みを溢した。
「 そういうところが優しいの。 」
「 それなら●●だってそうだぜ ? 俺を助けようと必死に手を伸ばしてくれたよな 。 」
「 ぁ、あれは…その……、─── 。 」
咄嗟に飛び出したあの時の事を思い出すと、●●は、複雑そうに顔を伏せた。
その理由が分からずジタンは首を傾げていると、森の奥から悲鳴が聞こえて来て顔の向きを変える。
「 今の声…… ! 」
「 あの子だよ ! 近い ‼︎ 」
ジタンと●●も同じくその声の持ち主に聞き覚えがあり、同時に駆け出した。
水場を通り抜け獣道から開いた場所へ出る。
すると其処では、頭部に檻のような物を持つ植物の魔物が長い[漢字]蔦[/漢字][ふりがな]つた[/ふりがな]を揺らし、
目の前にいる2人と対峙していた。
1人は、鉄の鎧を着たスタイナー。
そしてもう1人は、流れであの事件に巻き込まれてしまった男の子 ─ ビビ ─ の姿だった。
そしてその檻にはもう1つの人影。
「 何だ 、アイツは … ! 」
「 ひ、…姫様に何をするつもりだ ! 」
ジタンが魔物を形容し難いと眉に寄せて睨みつけ、スタイナーが檻の中の人影…
ガーネットの安否を心配しつつ魔物に剣を向けた。
「 オッサン ! 話が通じるような相手じゃ無い ! やるぜ ! 」
ジタンがすかさず前に出てダガーを抜いた。
そして、スタイナーもジタンの登場に顔を[漢字]顰[/漢字][ふりがな]しか[/ふりがな]めるが、今は、1人でも
戦力が欲しいと文句を言わずにジタンの隣に並び、ビビも後方援護しようと、後ろに立つ。
「 何だ貴様、その光は ⁉︎ 」
「 まさか、これがジタンのトランス ⁉︎ 」
スタイナーの問い掛けに●●が声を上げた。
自分のこの目の色、まだ鏡で見てない為何とも言えないが色が変わったのを、
ジタンは、トランスだと言っていた。
感情の爆発が起こす、爆発的な力 ─── 。
ジタンがトランス状態なら、この魔物もあっという間に倒すだろう。
魔物が左右の蔦を使って襲い掛かってくるのを、スタイナーが刃を振るい、ビビが魔法で蔦を燃やす。
それと同時にジタンが両手を前に突き出すと、大きな光を生み出し魔物へと投げ掛かった。
光は、魔物全体へとダメージを与えたのか、急激に萎れていく。
「 今である ! 」
「 …っ ⁉︎ 待って、スタイナーさん ! 」
スタイナーが好機と走り出そうとした瞬間に、魔物が震え出し、ガーネットと共に淡い光を放つ。
すると、まるでガーネットの生命力を奪う様に光が魔物に吸い込まれて行った。
檻の中のガーネットの顔色が一層青白くなったのは、月明りの所為では無い。
「 このままでは、お姉ちゃんの体力が持たない ! 」
「 クソッ、じゃあどうすれば ! 」
ガーネットを助けない限り、魔物を倒すことが出来ない。
かと言ってこのまま魔物を生かす訳にもいかない。
「 元はと言えば、貴様達が原因であろう ! 姫様を連れ出して居なければこんな事にはっ ! 」
「 こんな時に説教かよ ‼︎ 今はガーネット姫を救う方が先 ─── ! 」
ジタン達に焦りが見え、仲間が割れ始めると切り捨てられた蔦が動き出し、
いきなり大きく振り上がった。
それに気付いた時には、避けるのが遅過ぎた。
ダメージを覚悟で顔を顰めた瞬間、自分達と魔物との間に入り込んだ蔦が●●に振り掛かった。
「 ぁぐっ … ! 」
「 ●● ‼︎ 」 「 お姉ちゃん ‼︎ 」
蔦で弾かれてジタン達とは離れた場所へ体が転がり、●●は痛みで上手く声が出ない。
ジタン達の自分を呼ぶ声にも応えられずにいると、視界いっぱいに魔物の根が現れた。
ガーネットを捕らえている魔物は向こうに居るのに、何故ココにももう1つ根が…。
そう痛みに耐えてると、白い煙のようなものを吐かれた。
それを無意識に吸ってしまい、意識が徐々に遠のく。
遠くでジタンの呼ぶ声が聞こえた。