なんでもたんぺんしゅー
麻生視点
理屈、正しいこと
卑屈、めんどうなこと
屁理屈、いみがわからないこと
ぐちゃぐちゃに混ざって、飛び交ってる
全部、相手するのがだるい
ため息ひとつ
麻生先生
「もーーっ」
視線の先には
聡太と、泣きそうな子
周りもざわついてる
「まぁたケンカか?」
ゆっくり歩いていく
誰かが言う
「聡太がさ、また……」
聡太、こっちを見る
不機嫌でもない
ただ、納得してない顔
聡太「お前が…っ」
結局、
お互いぶつかり合って話し合いができる状況ではなく
一旦収束…
[水平線]
麻生先生
「てことがあってさぁっ!」
柴井先生
「へぇ」
麻生先生
「興味なさそうだなぁっ!もっと興味深く聞けよぉ!」
柴井先生
「麻生も中学の時そんなんだったのに?」
麻生先生
「そだっけー?」
としらばっくれる
やすたち先生
「小学生の時のほうがすごかったんじゃない?」
柴井が頷く
久保先生は少し引きながら笑いながら、
中学時代の麻生を思い浮かべる
「あれよりすごいんだぁ……」
麻生先生
「まあまあ、ちょっとぉ」
「今は昔に浸るのはやめよっか」
手をひらひら
りり先生
「でも確かに聡太のことはどうにかしなきゃだね、」
「ここ来てからずっとだし」
麻生は唸り…
急に顔上げる
「俺は麻生!ほかの子と遊ぶので忙しい!」
「だからぁ……」
くるっと振り返って
[大文字]「しばいーー!やすたちいーー!」[/大文字]
やすたち先生即答で
「じぶんでやってよっ」
柴井先生は、やすたちに続き
「俺やんないからー」
麻生、ぴたっと止まる
麻生先生
「……冷たいなぁーもう」
りり先生は軽く手を振る
「とりあえず、いってきなよー」
中原先生は顔も上げずに
「いってら」
麻生先生はふり返り
「えぇー代表まで〜?」
NPO代表=中原
田中はというと——
話を聞いていない
手元のゲームに夢中だ
麻生先生
「はいはい……」
小さくため息をし、肩を回す
ドアに向かいながら、ぼそっと
「ちょっくらいきますかっ」
そういった声は、なんだか軽かった
ドア完全に閉まり、
中原先生
「ほんと成長したな、麻生ちゃん」
やすたち先生
「確かに、」
「僕らにベタベタくっつくのは変わらないけどね」
柴井先生
「もはやそれは諦めたほうがいいわ」
「中学からそうだし」
[水平線]
教室へ行くと…
聡太
[大文字]「なんでやらなきゃいけないんだよ!!」[/大文字]
聡太の怒号が響く
大翔
[大文字]「なんで誘ったくらいでキレるんだよ!」[/大文字]
蒼
[大文字]「そこまで言わなくていいだろ!」[/大文字]
墨野先生
「強制じゃないしっ!な!」
墨野も子どもたちのケンカに慌てている
麻生先生
「おー、どうしたの、これ」
墨野先生
「いや…今から中庭でドッチボールしようしてて…」
「大翔たちが聡太のこと誘ったんだけど…」
麻生先生
「そしたらこの有様か…」
大翔
[太字]「お前いつも正論しか言わねぇな!!」[/太字]
聡太は
「っ…!」
聡太はそのまま外へ出てってしまった
麻生先生
「あちゃー」
墨野先生
「と、とりあえず…」
「みんな落ち着いたらドッチボールいこうか…」
墨野がどうにか空気を直そうとする
麻生先生
「俺聡太のとこ行くついでに、」
「ドッチボール行けそうな先生呼んどくね」
墨野先生
「さんきゅー!」
墨野は無理に明るく返事をした
麻生はドッチボール行けそうな先生に声かけして、
聡太のいるとこへ向かう
麻生
(俺も、墨野も大変だなぁ)
[水平線]
聡太は中庭の石段に座っていた
麻生は、しゃがんで目線を合わせる
麻生先生
「で、何が納得いかない」
「言ってみろ」
聡太
「ドッチボール…」
「誘われたけど、僕はやる意味はないと思ってる、」
「だから断った」
麻生先生
「そうか」
と相槌を打つ
聡太はいっそう声を張り上げ
「それの何が悪いっ、やってどうなるっ?」
「メリットないことして、何に繋がるんだっ」
麻生先生
「…聡太の言うことはちゃんと[太字]"正しい"[/太字]」
「でもそれはこの[太字][漢字]デイサービス[/漢字][ふりがな]場所で[/ふりがな][/太字]で通用するか?」
聡太
「えっ…」
「でもっ正しいこといって…いってるだけ…」
聡太は目を見開く
麻生先生
「俺は思うに、正しいさだけじゃどうにもならないときはある」
「人ってみんな正しくないんだよ、このデイサービスのみんなだって」
聡太
「じゃあっ…じゃあどうすればいいんだよ!!」
麻生先生
「あそこ、入ってこいよ」
麻生が指さすのは、いつの間にか始まったドッチボール
子どもたちの活発な動きと共に砂ぼこりが舞う
聡太
「なんで」
「今更どうやって…」
麻生先生
「うーん、とりあえずついてきて」
けだるそうに立ち上がって、
そのまま聡太の手首を軽く引く
あのドッジボールのところへ連れてこうとしている
麻生が声をかけていたのか、何人か先生も混ざってる
田中先生
「あ!聡太くん!入るのー?」
「ってうわぁ!」
ボールが飛ぶ
子ども三人から狙われているようだ
聡太
「…」
麻生先生は聡太の背中をポンと叩き
「よし、お前がこのドッジボールの審判やれ」
聡太「え?」
りり先生
「確かにこのドッジボール判定ガバガバだからねぇ」
と肩をすくめる
麻生先生
「最初から無理やり参加なんてしなくていい」
「できることやろ」
久保先生「任せたよ!聡太くん!」
聡太「…っ…」
渋々コートの横に立つ
蒼「いくぞー!」
誰かの声
ボールが投げられる
線際に落ちる
墨野先生
「どっち!?」
声が飛ぶ
聡太、目を細めて一歩近づく
足跡、位置、角度
「……アウト」
迷いはない
大翔「えー!?入ってたって!」
優斗「いや今の外だろ!」
ざわっと揺れる
聡太は眉をひそめるたが、視線は逸らさない
もう一度、線を見る
「……アウト、です」
さっきより、少しだけはっきり
「ま、いっか!続けよー!」
誰かが笑う
空気が流れる
またボールが動き出す
聡太は少しだけ戸惑う
(……これでいいのか)
ルールは守られてない
でも、誰も怒ってない
やすたち先生
「えっこれワンバン?」
ひな「えっ…どっち」
聡太「…セーフ」
やすたち先生「やったぁー!」
周りも少しだけ明るくなる
「よっしゃー!」
「ナイス判定!」
(僕の審判で、喜ばれた)
今までの正しさは、
人を傷つけることのほうが多かった
不本意だけど、そうなっていた
でも
今は違う
同じ“正しさ”なのに、
ここでは、誰かを喜ばせている
聡太
「…ごめん」
絞り出す声で言う
みんなの動きが止まる
聡太
「キツいこと、言っちゃって」
握った手に力が入る
「言わなきゃ、って」
「言っちゃだめだ、って」
「ぐるぐる考えた末に…」
一拍
「結局……言葉が出ちゃうんだ」
誰も、すぐには何も言わない
田中先生は少しだけ首をかしげて
「……それ、止めらんないやつだあ」
「ぼくもあるー」
ひなは小さく
「うん……」
誰かが、ぽつり
美月
「…ちょっと怖かったけど」
でも
優斗
「さっきの判定、助かったし」
久保先生
「ね」
琴葉も頷く
空気が少しだけやわらいでいく
大翔
「さっきはごめん、言い過ぎた」
蒼
「ぼくも」
聡太は少しだけ驚いたように顔を上げた
聡太「こちらこそ…ごめん」
遠くで麻生と墨野は、腕を組んで見てる
麻生先生
「正しさは使い方を誤ると、鋭利な刃物」
「間違えなければ最強ってわけ」
墨野先生
「あいつ審判向いてそうだな」
「正確なジャッジするし、素質ある」
麻生先生
「適材適所だなぁ」
そのまま、後ろから墨野に抱きつく
墨野、ちらっと見るだけ
特に何も言わない
グラウンドでは、またボールが弾む音と笑い声
[水平線]
夜の職員室
麻生
[大文字]「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛〜」[/大文字]
と職員室のデスクに向かっていた麻生が
急に大声を出し、伸びをした
りり
「びっくりしたっ」
今職員室には2人しかいない
麻生
「疲れたんだよぉ、」
「まだ子どもたちの対応は慣れないなぁ」
と1人ごとのように言う
りり
「といってももう1年以上じゃん、」
「デイサービス始まったの」
りりはその1人ごとをちゃんと拾う
麻生
「一年経っても慣れないものは慣れない〜」
りり
「はいはい」
適当にあしらい、書類をとんとん
と整える
麻生
「ね、」
麻生は伸びをしたまま話しかける
りりはノールックだが聞いている
麻生
「隣行っていい?」
りりはちらりとこちらを見て、
そのまま、書類を片し始める
少しスペースを空けるように
麻生ふっと小さく笑う
椅子を引く音
隣に座る
二人の間に
言葉はいらなかった
[水平線]
翌日
柴井先生
「いやぁ麻生中学の時とは段違いだなぁ」
柴井たちは子供たちに囲まれてる麻生を見守っている
やすたち先生
「あんなに子供に好かれるようになったね」
中原先生
「中学の時しか知らないけど、小学校のときって…?」
柴井先生
「あぁ…」
「控えめに言って」
ちょっと呆れ気味
やすたち先生
「オブラートに包むね」
にこにこと言う
柴井、やすたちは
せーの、もいらずに
「眠り姫…」
久保先生
「姫?!王子じゃなくて?」
中原先生
「じゃあキミら二人は騎士じゃん」
柴井とやすたちはその情景を想像する
やすたちと柴井はまたもや息ぴったりで
「やだぁ~!」
りり先生「笑笑」
つられて、みんな笑い出す
麻生は遠くから
「おーい、何笑ってんだよー!」
誰も答えない
麻生
「なんだよ、みんなだけで…」
「あー琴葉髪引っ張らないでー」
長い髪を、ぐいっと引かれる
ふと横を見ると
聡太がいた
サッカーの輪の外
腕を軽く上げて、判定を出している
「今のアウト」
「えー!今のセーフだって!」
「じゃあもう一回な!」
少しだけ揉めて、すぐ笑いに変わる
麻生はふっ、と笑い
適材適所
使うところを間違えなきゃ最強!
…聡太に使うのなら
[大文字][太字]適正適所[/太字][/大文字]、か
ボールがまた転がる
笑い声が広がる
麻生先生
「ほら、がんばれー!」
日常は、そのまま続いていく
理屈、正しいこと
卑屈、めんどうなこと
屁理屈、いみがわからないこと
ぐちゃぐちゃに混ざって、飛び交ってる
全部、相手するのがだるい
ため息ひとつ
麻生先生
「もーーっ」
視線の先には
聡太と、泣きそうな子
周りもざわついてる
「まぁたケンカか?」
ゆっくり歩いていく
誰かが言う
「聡太がさ、また……」
聡太、こっちを見る
不機嫌でもない
ただ、納得してない顔
聡太「お前が…っ」
結局、
お互いぶつかり合って話し合いができる状況ではなく
一旦収束…
[水平線]
麻生先生
「てことがあってさぁっ!」
柴井先生
「へぇ」
麻生先生
「興味なさそうだなぁっ!もっと興味深く聞けよぉ!」
柴井先生
「麻生も中学の時そんなんだったのに?」
麻生先生
「そだっけー?」
としらばっくれる
やすたち先生
「小学生の時のほうがすごかったんじゃない?」
柴井が頷く
久保先生は少し引きながら笑いながら、
中学時代の麻生を思い浮かべる
「あれよりすごいんだぁ……」
麻生先生
「まあまあ、ちょっとぉ」
「今は昔に浸るのはやめよっか」
手をひらひら
りり先生
「でも確かに聡太のことはどうにかしなきゃだね、」
「ここ来てからずっとだし」
麻生は唸り…
急に顔上げる
「俺は麻生!ほかの子と遊ぶので忙しい!」
「だからぁ……」
くるっと振り返って
[大文字]「しばいーー!やすたちいーー!」[/大文字]
やすたち先生即答で
「じぶんでやってよっ」
柴井先生は、やすたちに続き
「俺やんないからー」
麻生、ぴたっと止まる
麻生先生
「……冷たいなぁーもう」
りり先生は軽く手を振る
「とりあえず、いってきなよー」
中原先生は顔も上げずに
「いってら」
麻生先生はふり返り
「えぇー代表まで〜?」
NPO代表=中原
田中はというと——
話を聞いていない
手元のゲームに夢中だ
麻生先生
「はいはい……」
小さくため息をし、肩を回す
ドアに向かいながら、ぼそっと
「ちょっくらいきますかっ」
そういった声は、なんだか軽かった
ドア完全に閉まり、
中原先生
「ほんと成長したな、麻生ちゃん」
やすたち先生
「確かに、」
「僕らにベタベタくっつくのは変わらないけどね」
柴井先生
「もはやそれは諦めたほうがいいわ」
「中学からそうだし」
[水平線]
教室へ行くと…
聡太
[大文字]「なんでやらなきゃいけないんだよ!!」[/大文字]
聡太の怒号が響く
大翔
[大文字]「なんで誘ったくらいでキレるんだよ!」[/大文字]
蒼
[大文字]「そこまで言わなくていいだろ!」[/大文字]
墨野先生
「強制じゃないしっ!な!」
墨野も子どもたちのケンカに慌てている
麻生先生
「おー、どうしたの、これ」
墨野先生
「いや…今から中庭でドッチボールしようしてて…」
「大翔たちが聡太のこと誘ったんだけど…」
麻生先生
「そしたらこの有様か…」
大翔
[太字]「お前いつも正論しか言わねぇな!!」[/太字]
聡太は
「っ…!」
聡太はそのまま外へ出てってしまった
麻生先生
「あちゃー」
墨野先生
「と、とりあえず…」
「みんな落ち着いたらドッチボールいこうか…」
墨野がどうにか空気を直そうとする
麻生先生
「俺聡太のとこ行くついでに、」
「ドッチボール行けそうな先生呼んどくね」
墨野先生
「さんきゅー!」
墨野は無理に明るく返事をした
麻生はドッチボール行けそうな先生に声かけして、
聡太のいるとこへ向かう
麻生
(俺も、墨野も大変だなぁ)
[水平線]
聡太は中庭の石段に座っていた
麻生は、しゃがんで目線を合わせる
麻生先生
「で、何が納得いかない」
「言ってみろ」
聡太
「ドッチボール…」
「誘われたけど、僕はやる意味はないと思ってる、」
「だから断った」
麻生先生
「そうか」
と相槌を打つ
聡太はいっそう声を張り上げ
「それの何が悪いっ、やってどうなるっ?」
「メリットないことして、何に繋がるんだっ」
麻生先生
「…聡太の言うことはちゃんと[太字]"正しい"[/太字]」
「でもそれはこの[太字][漢字]デイサービス[/漢字][ふりがな]場所で[/ふりがな][/太字]で通用するか?」
聡太
「えっ…」
「でもっ正しいこといって…いってるだけ…」
聡太は目を見開く
麻生先生
「俺は思うに、正しいさだけじゃどうにもならないときはある」
「人ってみんな正しくないんだよ、このデイサービスのみんなだって」
聡太
「じゃあっ…じゃあどうすればいいんだよ!!」
麻生先生
「あそこ、入ってこいよ」
麻生が指さすのは、いつの間にか始まったドッチボール
子どもたちの活発な動きと共に砂ぼこりが舞う
聡太
「なんで」
「今更どうやって…」
麻生先生
「うーん、とりあえずついてきて」
けだるそうに立ち上がって、
そのまま聡太の手首を軽く引く
あのドッジボールのところへ連れてこうとしている
麻生が声をかけていたのか、何人か先生も混ざってる
田中先生
「あ!聡太くん!入るのー?」
「ってうわぁ!」
ボールが飛ぶ
子ども三人から狙われているようだ
聡太
「…」
麻生先生は聡太の背中をポンと叩き
「よし、お前がこのドッジボールの審判やれ」
聡太「え?」
りり先生
「確かにこのドッジボール判定ガバガバだからねぇ」
と肩をすくめる
麻生先生
「最初から無理やり参加なんてしなくていい」
「できることやろ」
久保先生「任せたよ!聡太くん!」
聡太「…っ…」
渋々コートの横に立つ
蒼「いくぞー!」
誰かの声
ボールが投げられる
線際に落ちる
墨野先生
「どっち!?」
声が飛ぶ
聡太、目を細めて一歩近づく
足跡、位置、角度
「……アウト」
迷いはない
大翔「えー!?入ってたって!」
優斗「いや今の外だろ!」
ざわっと揺れる
聡太は眉をひそめるたが、視線は逸らさない
もう一度、線を見る
「……アウト、です」
さっきより、少しだけはっきり
「ま、いっか!続けよー!」
誰かが笑う
空気が流れる
またボールが動き出す
聡太は少しだけ戸惑う
(……これでいいのか)
ルールは守られてない
でも、誰も怒ってない
やすたち先生
「えっこれワンバン?」
ひな「えっ…どっち」
聡太「…セーフ」
やすたち先生「やったぁー!」
周りも少しだけ明るくなる
「よっしゃー!」
「ナイス判定!」
(僕の審判で、喜ばれた)
今までの正しさは、
人を傷つけることのほうが多かった
不本意だけど、そうなっていた
でも
今は違う
同じ“正しさ”なのに、
ここでは、誰かを喜ばせている
聡太
「…ごめん」
絞り出す声で言う
みんなの動きが止まる
聡太
「キツいこと、言っちゃって」
握った手に力が入る
「言わなきゃ、って」
「言っちゃだめだ、って」
「ぐるぐる考えた末に…」
一拍
「結局……言葉が出ちゃうんだ」
誰も、すぐには何も言わない
田中先生は少しだけ首をかしげて
「……それ、止めらんないやつだあ」
「ぼくもあるー」
ひなは小さく
「うん……」
誰かが、ぽつり
美月
「…ちょっと怖かったけど」
でも
優斗
「さっきの判定、助かったし」
久保先生
「ね」
琴葉も頷く
空気が少しだけやわらいでいく
大翔
「さっきはごめん、言い過ぎた」
蒼
「ぼくも」
聡太は少しだけ驚いたように顔を上げた
聡太「こちらこそ…ごめん」
遠くで麻生と墨野は、腕を組んで見てる
麻生先生
「正しさは使い方を誤ると、鋭利な刃物」
「間違えなければ最強ってわけ」
墨野先生
「あいつ審判向いてそうだな」
「正確なジャッジするし、素質ある」
麻生先生
「適材適所だなぁ」
そのまま、後ろから墨野に抱きつく
墨野、ちらっと見るだけ
特に何も言わない
グラウンドでは、またボールが弾む音と笑い声
[水平線]
夜の職員室
麻生
[大文字]「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛〜」[/大文字]
と職員室のデスクに向かっていた麻生が
急に大声を出し、伸びをした
りり
「びっくりしたっ」
今職員室には2人しかいない
麻生
「疲れたんだよぉ、」
「まだ子どもたちの対応は慣れないなぁ」
と1人ごとのように言う
りり
「といってももう1年以上じゃん、」
「デイサービス始まったの」
りりはその1人ごとをちゃんと拾う
麻生
「一年経っても慣れないものは慣れない〜」
りり
「はいはい」
適当にあしらい、書類をとんとん
と整える
麻生
「ね、」
麻生は伸びをしたまま話しかける
りりはノールックだが聞いている
麻生
「隣行っていい?」
りりはちらりとこちらを見て、
そのまま、書類を片し始める
少しスペースを空けるように
麻生ふっと小さく笑う
椅子を引く音
隣に座る
二人の間に
言葉はいらなかった
[水平線]
翌日
柴井先生
「いやぁ麻生中学の時とは段違いだなぁ」
柴井たちは子供たちに囲まれてる麻生を見守っている
やすたち先生
「あんなに子供に好かれるようになったね」
中原先生
「中学の時しか知らないけど、小学校のときって…?」
柴井先生
「あぁ…」
「控えめに言って」
ちょっと呆れ気味
やすたち先生
「オブラートに包むね」
にこにこと言う
柴井、やすたちは
せーの、もいらずに
「眠り姫…」
久保先生
「姫?!王子じゃなくて?」
中原先生
「じゃあキミら二人は騎士じゃん」
柴井とやすたちはその情景を想像する
やすたちと柴井はまたもや息ぴったりで
「やだぁ~!」
りり先生「笑笑」
つられて、みんな笑い出す
麻生は遠くから
「おーい、何笑ってんだよー!」
誰も答えない
麻生
「なんだよ、みんなだけで…」
「あー琴葉髪引っ張らないでー」
長い髪を、ぐいっと引かれる
ふと横を見ると
聡太がいた
サッカーの輪の外
腕を軽く上げて、判定を出している
「今のアウト」
「えー!今のセーフだって!」
「じゃあもう一回な!」
少しだけ揉めて、すぐ笑いに変わる
麻生はふっ、と笑い
適材適所
使うところを間違えなきゃ最強!
…聡太に使うのなら
[大文字][太字]適正適所[/太字][/大文字]、か
ボールがまた転がる
笑い声が広がる
麻生先生
「ほら、がんばれー!」
日常は、そのまま続いていく