心を失った少女 年明けのニューイヤーゲーム編
[大文字]第五章 ゲームの危険性[/大文字]
ゲーム開始から三分ほどがたったあと……
「はぁ……デスゲームなんて、誰が考えたのよ……」
湿った店内を歩き詰めながらかすかな血の匂いを嗅ぎ取って、ため息をつく少女が一人。
彼女の名前は[漢字]夜里 美空[/漢字][ふりがな]よざと みく[/ふりがな]。中学二年生。彼女は小説を読むのが趣味で、デスゲームを題材としたものも読んだことがあるが、まさかほんとに実在しているなんて……。
「はぁ・・・」
彼女はもう一度ため息をつくと、目の前にあるものを凝視した。
「[小文字]ぇ……………?[/小文字]」
目の前にあったのは、
[明朝体]───血まみれの日本刀───[/明朝体]
「え、は?待って待ってちょっと待って何?何これ?血?血だよねこれ!?え、ぇ、ど、どどどうしよう、ひ、拾う??待って待ってどうし──」
あまりの衝撃に美空は混乱する。
拾う、という選択肢が出てきたのは最悪のときに自分の身を守れるかもしれない、と踏んだからだ。だが、こんな血まみれの刀など持ちたくもない。しかし、どうしても血なまぐさい。
「え〜と。ま、まずは落ち着こう。深呼吸深呼吸……ぅ゙っ」
深呼吸しようとして、失敗した。それもそうだろう。血の匂いを嗅いでいるのだから。思わず顔をしかめる。むせ返るような血の香りについ吐きそうになりながらも必死で頭を回す。
「うぅ……まずった……。まぁ、いいや。気持ちの整理ついたし。えと、まずはこの血を拭こうかな、うん。こんなことになるなら武器は必要だし、血が付いてるのは嫌だし、ダイジョブダイジョブ、私がやったわけじゃないし」
……と美空は無理やり自分を正当化し、震える手を抑えながら持ってきていたハンカチで刀身についている血を拭う。もちろん使ったハンカチはその場に捨てる。気持ち悪い。
いつか誰かが通りがかったときに、なにか勘違いされるかもしれないが気にしない。
「……よし、ある程度拭えたかな……。あぁ、デスゲームってこっわ」
そうして、身を震わせながらしばらく歩いていると、思わず足を止めてしまった。なぜなら──
「[小文字]ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!助けてぇぇぇぇぇぇ!!!!![/小文字]」
どこか遠くで、まだ幼い、子どもの悲鳴が響いていたからだった……。
ゲーム開始から三分ほどがたったあと……
「はぁ……デスゲームなんて、誰が考えたのよ……」
湿った店内を歩き詰めながらかすかな血の匂いを嗅ぎ取って、ため息をつく少女が一人。
彼女の名前は[漢字]夜里 美空[/漢字][ふりがな]よざと みく[/ふりがな]。中学二年生。彼女は小説を読むのが趣味で、デスゲームを題材としたものも読んだことがあるが、まさかほんとに実在しているなんて……。
「はぁ・・・」
彼女はもう一度ため息をつくと、目の前にあるものを凝視した。
「[小文字]ぇ……………?[/小文字]」
目の前にあったのは、
[明朝体]───血まみれの日本刀───[/明朝体]
「え、は?待って待ってちょっと待って何?何これ?血?血だよねこれ!?え、ぇ、ど、どどどうしよう、ひ、拾う??待って待ってどうし──」
あまりの衝撃に美空は混乱する。
拾う、という選択肢が出てきたのは最悪のときに自分の身を守れるかもしれない、と踏んだからだ。だが、こんな血まみれの刀など持ちたくもない。しかし、どうしても血なまぐさい。
「え〜と。ま、まずは落ち着こう。深呼吸深呼吸……ぅ゙っ」
深呼吸しようとして、失敗した。それもそうだろう。血の匂いを嗅いでいるのだから。思わず顔をしかめる。むせ返るような血の香りについ吐きそうになりながらも必死で頭を回す。
「うぅ……まずった……。まぁ、いいや。気持ちの整理ついたし。えと、まずはこの血を拭こうかな、うん。こんなことになるなら武器は必要だし、血が付いてるのは嫌だし、ダイジョブダイジョブ、私がやったわけじゃないし」
……と美空は無理やり自分を正当化し、震える手を抑えながら持ってきていたハンカチで刀身についている血を拭う。もちろん使ったハンカチはその場に捨てる。気持ち悪い。
いつか誰かが通りがかったときに、なにか勘違いされるかもしれないが気にしない。
「……よし、ある程度拭えたかな……。あぁ、デスゲームってこっわ」
そうして、身を震わせながらしばらく歩いていると、思わず足を止めてしまった。なぜなら──
「[小文字]ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!助けてぇぇぇぇぇぇ!!!!![/小文字]」
どこか遠くで、まだ幼い、子どもの悲鳴が響いていたからだった……。