心を失った少女 年明けのニューイヤーゲーム編
[大文字]第二章 まずは見せしめから[/大文字]
蘭はクソッと言いながらゲートのそばを離れる。このままではまたあのゲームに参加させられることになる。もはやそれはどうしようもないのだと、狼がカウントダウンを始める。
10 9 8 7 6……
会場にいる何も知らない参加者たちはワクワクした様子で雨によってなお煌々と輝くモニターの表示を見ている。どんなゲームが始まるんだろうと。
会場にいる、何もかもを知っている者達は口々に言う。「最悪だ」と。
数字が減っていく。どうしようもない諦めと、これから起こるゲームへの絶望。………、カウントなどできもしない。
喉をゴクリと鳴らす。恐ろしくてたまらない。
ゲームを楽しみにしている者たちとの空気のズレは、なんとも形容しがたいものだった。カウントが進むにつれて、ざわめきは静まっていく。反比例してカウントをする声は大きくなる。
3!
今までの過去を知る者たちの顔面が恐怖に染まる。手を合わせ、祈りを捧げる。
2!
知らぬ者たちの顔面が高揚感に染まる。今か今かとスマホを携え──。
1!
オオカミが、不気味な笑みを浮かべる。
0!
────その一瞬、静寂が、会場を支配した。
オオカミは、いかにも楽しそうに、高々に言い放った。
「ハッピーニューイヤー! は〜い、それではこれよりデスゲームを開催したいと思います〜! ルール説明はじめま〜」
オオカミが言いかけると、どこかから罵声が飛んできた。
「おい! ちょっと待ってくれよ、デスゲームってなんだよ!! せっかくの年明けなのにふざけんなよ!!!」
オオカミはふざけた口調で言い返す。
「おやおや〜? [漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]、言いましたよね? 『忘れられない年明けを迎えましょう』と。忘れられないでしょう?? デスゲームなんてやったら」
異議申し立てをした参加者は顔を真赤にし、怒りに身を任せてステージに乗り上がった。それもそうだ。こんなふざけたやつには、拳一発でもぶちこまなければ気がすまないだろう。彼は渾身の一撃をオオカミに食らわせ──
「ふ ざ け る なぁぁぁぁぁ!!!」
[中央寄せ]パリィィィィィ……ン[/中央寄せ]
その拳が、狼にあたった途端砕け散った。
「ぇ…? 何、何が起こったの……?」
「き、きえた…? 何が起こったんだ……?」
参加者たちは動揺する。しかし、狼はお構いもなくルール説明を始めるのだった……。
ザーザー、と、絶望の雨は降りしきっていた──。
蘭はクソッと言いながらゲートのそばを離れる。このままではまたあのゲームに参加させられることになる。もはやそれはどうしようもないのだと、狼がカウントダウンを始める。
10 9 8 7 6……
会場にいる何も知らない参加者たちはワクワクした様子で雨によってなお煌々と輝くモニターの表示を見ている。どんなゲームが始まるんだろうと。
会場にいる、何もかもを知っている者達は口々に言う。「最悪だ」と。
数字が減っていく。どうしようもない諦めと、これから起こるゲームへの絶望。………、カウントなどできもしない。
喉をゴクリと鳴らす。恐ろしくてたまらない。
ゲームを楽しみにしている者たちとの空気のズレは、なんとも形容しがたいものだった。カウントが進むにつれて、ざわめきは静まっていく。反比例してカウントをする声は大きくなる。
3!
今までの過去を知る者たちの顔面が恐怖に染まる。手を合わせ、祈りを捧げる。
2!
知らぬ者たちの顔面が高揚感に染まる。今か今かとスマホを携え──。
1!
オオカミが、不気味な笑みを浮かべる。
0!
────その一瞬、静寂が、会場を支配した。
オオカミは、いかにも楽しそうに、高々に言い放った。
「ハッピーニューイヤー! は〜い、それではこれよりデスゲームを開催したいと思います〜! ルール説明はじめま〜」
オオカミが言いかけると、どこかから罵声が飛んできた。
「おい! ちょっと待ってくれよ、デスゲームってなんだよ!! せっかくの年明けなのにふざけんなよ!!!」
オオカミはふざけた口調で言い返す。
「おやおや〜? [漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]、言いましたよね? 『忘れられない年明けを迎えましょう』と。忘れられないでしょう?? デスゲームなんてやったら」
異議申し立てをした参加者は顔を真赤にし、怒りに身を任せてステージに乗り上がった。それもそうだ。こんなふざけたやつには、拳一発でもぶちこまなければ気がすまないだろう。彼は渾身の一撃をオオカミに食らわせ──
「ふ ざ け る なぁぁぁぁぁ!!!」
[中央寄せ]パリィィィィィ……ン[/中央寄せ]
その拳が、狼にあたった途端砕け散った。
「ぇ…? 何、何が起こったの……?」
「き、きえた…? 何が起こったんだ……?」
参加者たちは動揺する。しかし、狼はお構いもなくルール説明を始めるのだった……。
ザーザー、と、絶望の雨は降りしきっていた──。