心を失った少女 年明けのニューイヤーゲーム編
「これより、イベント「「コウモリの復習」」をはじめまース。今から十分間空にコウモリが放出されマ〜ス。放たれたコウモリは役職が『コオモリ』の人だけ襲いまーす。殺すことはできますが、殺せるのは『コオモリ』の役職の人だけで〜ス。もし、殺すことができたら役職が『コオモリ』から『コウモリ』へと変わりまして、無限に空を飛べまース。あ、そうそう、コウモリは3回しか飛べないからね、あ〜モウケイゴ[漢字]MENNDOKUSAI[/漢字][ふりがな]めんどくさい[/ふりがな]★役職わかんねえぇよってやつ自分のスマホを見やがれルール聞いてなかったおバカさんのために言ってやってんだ感謝しやが」
しばらく罵詈雑言が続きそうになったところでイベントを告げるブザーが鳴り響いた_____。
[下線] [/下線]
「ねぇ、コオモリ、ってコウモリとなんか違うとこあんの?」
アナウンスを聞いて気になったのだろう。ある二人組のかたほうが話しかける。
「えっとね、コオモリっていうのは単なる名前なんだ。動物の分類的に言うならコウモリ、が正解なの」
へぇ〜と、感心したように話しかけた方はうなづく。その様子を見て、話しかけられた方はフフッと笑う。彼女の名前は、[漢字]魅碧 瑠璃[/漢字][ふりがな]みへき るり[/ふりがな]。以前のゲームで生き残った数少ない優勝者の一人。ゆえに、瑠璃と一緒にいれば生き残れると踏んだその子はある意味で運が良く、ある意味で運が悪かった──。
勝手についてきてはいるものの、お互い明るい性格で、話もある程度噛み合うので、瑠璃も楽しく一緒に歩いていたのだが、
───イベントが始まりそうもいかなくなってきた。
先程から、やけにコウモリが多い。得意な魔法で蹴散らして入るものの、次から次へとやってくる。
「………ねェ、モしかシテ、君の役職『コオモリ』ダったリすル?」
─────空気が、一気に冷え切った。流石に何かに気づいたのだろう、少し怯えた表情でその子は自分の役職を確認した。そこに書いてあったのは──。
「『コオモリ』……」
嗚呼、まさか瑠璃は………。
「あぁ、そう…ばいばい」
[大文字][中央寄せ][太字][斜体][明朝体]バスンッ、ドドドドドドドドドッ!![/明朝体][/斜体][/太字][/中央寄せ][/大文字]
運良くその攻撃は回避できた、が、一緒に楽しく歩いていた『友達』に、こんなひどいことをするなんて、そんなっ……。
「うわ、全部外れちゃった!?運がいいんだね〜ま、これでおしまいだよ」
瑠璃は心底楽しそうに言った。恐怖しながらその子は質問する。
「ま、待ってよ瑠璃!さっきまで楽しく話してたじゃん!イベントの時間はたったの十分だよ!?」
たった十分、されど十分。瑠璃にとって、その間命がさらされるのは──
「そうだけどさ、リスクを抱えたくないんだよね、ばいばい」
───リスクなのであった。
[太字][大文字][中央寄せ][水平線]ドォォォォォォォォォォォォォォン.......................[/中央寄せ][/大文字][/太字]
会場全体に音が響き渡る。何事だろうか?
「あのサイコパスか、可哀想に」
闇男が応じる。
「あぁ、あの赤い魔法陣は間違いねぇ」
「コウモリが急激に去っていってるし、『コオモリ』の人と行動していたのかもな。人殺しの趣味があるくせに本性を出さないから……」
サイコパスというのは、人を傷つけ、苦しむさまを眺めて楽しむ人々のこと。全員が人殺し、というわけではないが瑠璃のようなものもいる。デスゲームというのは、そういった人を殺してもなんとも思わない害悪こそが生き残るのだ。しかし、瑠璃のように素を出さずに活動しているものも多くいる。鉢合わせたら、大変なことになるかもしれない……。
「あのクソ女ならやりそうだ。折を見て動き出そうぜ、こっちにまで向かってきたら困る」
空にはコウモリがわんさか飛んでいる。およそ千匹といったところか。『コオモリ』の役職の人にとっては、オオカミが千匹に増えたも同然。殺すことができるにしろ、やる前にやられる。それなら、身を隠したほうが安全と言えるのだ。
「………よし、いまだ!急いで隠れ場所を探そう!」
会場は広く、気遣いなのか罠なのか、隠れられそうな場所はいくつかある。これまでにも、隠れられそうな箇所はいくつも見つけてきた。念の為言っておくが、このゲームが行われている場所はショッピングモールのようなところである。
「あの服屋になら隠れられそうじゃないか?」
「いいな、あそこに隠れよう。俺がコオモリじゃなけりゃよかったんだが」
闇男が申し訳無さそうに呟く。
「しゃあねぇよ、こっちに役職を選ぶ権利なんてないんだから。むしろ、誰も『人狼』になってないことが奇跡なんだからよ」
蘭は闇男を励ます。
「そうだな……。やれやれ、お前に励まされるとかショックだわ」
「んだと!?もう一回言ってみろ!!」
「やだよ、絶対怒るし」
「んじゃ最初っから言・う・な!」
そんな茶番も、長くは続かず。後に、沈黙がその場を支配した。
しばらく罵詈雑言が続きそうになったところでイベントを告げるブザーが鳴り響いた_____。
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「ねぇ、コオモリ、ってコウモリとなんか違うとこあんの?」
アナウンスを聞いて気になったのだろう。ある二人組のかたほうが話しかける。
「えっとね、コオモリっていうのは単なる名前なんだ。動物の分類的に言うならコウモリ、が正解なの」
へぇ〜と、感心したように話しかけた方はうなづく。その様子を見て、話しかけられた方はフフッと笑う。彼女の名前は、[漢字]魅碧 瑠璃[/漢字][ふりがな]みへき るり[/ふりがな]。以前のゲームで生き残った数少ない優勝者の一人。ゆえに、瑠璃と一緒にいれば生き残れると踏んだその子はある意味で運が良く、ある意味で運が悪かった──。
勝手についてきてはいるものの、お互い明るい性格で、話もある程度噛み合うので、瑠璃も楽しく一緒に歩いていたのだが、
───イベントが始まりそうもいかなくなってきた。
先程から、やけにコウモリが多い。得意な魔法で蹴散らして入るものの、次から次へとやってくる。
「………ねェ、モしかシテ、君の役職『コオモリ』ダったリすル?」
─────空気が、一気に冷え切った。流石に何かに気づいたのだろう、少し怯えた表情でその子は自分の役職を確認した。そこに書いてあったのは──。
「『コオモリ』……」
嗚呼、まさか瑠璃は………。
「あぁ、そう…ばいばい」
[大文字][中央寄せ][太字][斜体][明朝体]バスンッ、ドドドドドドドドドッ!![/明朝体][/斜体][/太字][/中央寄せ][/大文字]
運良くその攻撃は回避できた、が、一緒に楽しく歩いていた『友達』に、こんなひどいことをするなんて、そんなっ……。
「うわ、全部外れちゃった!?運がいいんだね〜ま、これでおしまいだよ」
瑠璃は心底楽しそうに言った。恐怖しながらその子は質問する。
「ま、待ってよ瑠璃!さっきまで楽しく話してたじゃん!イベントの時間はたったの十分だよ!?」
たった十分、されど十分。瑠璃にとって、その間命がさらされるのは──
「そうだけどさ、リスクを抱えたくないんだよね、ばいばい」
───リスクなのであった。
[太字][大文字][中央寄せ][水平線]ドォォォォォォォォォォォォォォン.......................[/中央寄せ][/大文字][/太字]
会場全体に音が響き渡る。何事だろうか?
「あのサイコパスか、可哀想に」
闇男が応じる。
「あぁ、あの赤い魔法陣は間違いねぇ」
「コウモリが急激に去っていってるし、『コオモリ』の人と行動していたのかもな。人殺しの趣味があるくせに本性を出さないから……」
サイコパスというのは、人を傷つけ、苦しむさまを眺めて楽しむ人々のこと。全員が人殺し、というわけではないが瑠璃のようなものもいる。デスゲームというのは、そういった人を殺してもなんとも思わない害悪こそが生き残るのだ。しかし、瑠璃のように素を出さずに活動しているものも多くいる。鉢合わせたら、大変なことになるかもしれない……。
「あのクソ女ならやりそうだ。折を見て動き出そうぜ、こっちにまで向かってきたら困る」
空にはコウモリがわんさか飛んでいる。およそ千匹といったところか。『コオモリ』の役職の人にとっては、オオカミが千匹に増えたも同然。殺すことができるにしろ、やる前にやられる。それなら、身を隠したほうが安全と言えるのだ。
「………よし、いまだ!急いで隠れ場所を探そう!」
会場は広く、気遣いなのか罠なのか、隠れられそうな場所はいくつかある。これまでにも、隠れられそうな箇所はいくつも見つけてきた。念の為言っておくが、このゲームが行われている場所はショッピングモールのようなところである。
「あの服屋になら隠れられそうじゃないか?」
「いいな、あそこに隠れよう。俺がコオモリじゃなけりゃよかったんだが」
闇男が申し訳無さそうに呟く。
「しゃあねぇよ、こっちに役職を選ぶ権利なんてないんだから。むしろ、誰も『人狼』になってないことが奇跡なんだからよ」
蘭は闇男を励ます。
「そうだな……。やれやれ、お前に励まされるとかショックだわ」
「んだと!?もう一回言ってみろ!!」
「やだよ、絶対怒るし」
「んじゃ最初っから言・う・な!」
そんな茶番も、長くは続かず。後に、沈黙がその場を支配した。