「好き」ということ。
#1
鈴木佑side.
好きと言うのは難しい。
もしその好きを言って、
相手を傷つけてしまったら。
もしその好きを言って、
相手を責めるようなことをしてしまったら。
そんなマイナスな考えばかりが出てくる。
でも最近の彼女はどこか何かおかしかった。
**
「ごめん、先行くね。」
そう言って、また俺よりも先に出て行く彼女を見送り、俺はまた一人で朝ごはんを食べる。
「なんでだろう…。」
そんな疑問ばかりを口にして、
相談をする、話し合う
などの行動に表すことなんてしようともしていなかった。
**
「はい、じゃあこここれね〜。」
そう真剣に授業をしている彼女を見ながら思う、
やはり家の彼女と違う。
どちらかと言うと学校での方が幸せそうで。
前だったら学校より断然家でのほうが幸せそうで笑顔に溢れていたというのに。
どうして急にこうなってしまったのだろう。
でも俺には一つだけ心当たりがあった。
**
その日家に帰って、俺は夜ご飯を食べずに彼女が帰ってくるのをただ待っていた。
ソファに座ってただただ何もせずに待っていると家のドアがガチャと開いた。
「おかえり。」
「ただいま…、どうしたの…?」
いつもと雰囲気の違う俺に不信感を抱いているようだった。
「少しいいかな…?」
「…うん。」
少し戸惑いながらもそう返事をする彼女に、俺は安心させるという意味も込めて笑顔を見せた。
そうすると、彼女も少し安心できたのか笑顔になってすぐにこちらに来た。
「最近さ…、俺らなんか違ったよね…。」
そう聞くと、彼女は黙ったまま俺の顔を見つめていた。
「いや、ごめん…思ってなかったかもだけど…、俺はこの生活が続くのは嫌だ。」
「この生活やめて、前の生活に戻りたい。」
俺は思い切ってそう言った。
そうすると次の瞬間、彼女の目からは大粒の涙が溢れ出した。
「ごめん…、泣いちゃって…w」
「私もね…、思ってたんだ…。少し怖くて…、不安で…、このまま別れちゃうんじゃないかって思っちゃって…。佑がそんなこと言うはずないってわかってても、もしかしたらあるかもしれないって思って…。」
「佑から『別れたい』って言われるのが怖くて、佑のこと避けてた…。ごめんなさい。」
俺はその言葉を聞いて、彼女をそんなにも不安にさせていたのかと自分を責めた。
「いや、俺のほうこそごめん…。そんな思いをさせてたなんて知らずに…。」
俺はそう言った後にこう呟いた。
「俺らどうしてこうなっちゃったんだろう…。」
そうすると彼女はこう言った。
「教師だからだよ。」
「え?」
「教師だから…、いつも学校にいる時と家のいる時の顔とか性格は違う。生徒に見せる顔っていうのがあるでしょう?」
「でもね、私たちは家に帰っても先生だったんだよ、ゆっくりする時間がなかった…。同棲していると、帰ったらこんな顔しなくちゃ、とか余計に気を使いすぎるの。」
「そうすると、ストレスが溜まって、関係が難しくなっちゃう。
教師って、難しい生き物なんだよ。」
そう言われて、確かにそうだと思った。
俺たちは前から愛情表現はしてこなかった。
その理由も教師だから、だったのかもしれない。
教師だからこんなことはしちゃダメだ、そんな区切りに勝手に縛られていたのかもしれない。
そんな自分勝手な縛りのせいで、俺たちはいつからかこんな関係になってしまっていたのだ。
「ごめんね…、俺ずっと愛の気持ちに気づいてあげられなかった……。こんなに一緒にいるのに…こんなに好きなのに…、ごめん、ごめん…。」
俺はただひたすらに謝ることしかできなかった。
「佑。」
俺が謝っているとそう呼ばれた。
「好きだよ。」
「え、」
俺は急な告白に驚いたが、これが俺たちには足りていなかったのだとわかった。
自分で言ったことが恥ずかしかったのか、愛は目を逸らして照れていた。
**
その日は久しぶりに一緒のベットで眠った。
こんなにも愛を抱きしめながら眠ったのはいつぶりだろうか。
俺は愛を抱きしめると毎回言われる、
「苦しいよ…w」
も、今日は言われなかった。
愛も俺と同じことを思っていたのかもしれない。
一緒に寝ることがこんなにも愛おしいと感じたのはこれが初めてだった。
愛が眠りについた後、俺は愛を見ながら言った。
「好きだよ、愛。」
愛の頬に優しくキスをした。
the end.
好きと言うのは難しい。
もしその好きを言って、
相手を傷つけてしまったら。
もしその好きを言って、
相手を責めるようなことをしてしまったら。
そんなマイナスな考えばかりが出てくる。
でも最近の彼女はどこか何かおかしかった。
**
「ごめん、先行くね。」
そう言って、また俺よりも先に出て行く彼女を見送り、俺はまた一人で朝ごはんを食べる。
「なんでだろう…。」
そんな疑問ばかりを口にして、
相談をする、話し合う
などの行動に表すことなんてしようともしていなかった。
**
「はい、じゃあこここれね〜。」
そう真剣に授業をしている彼女を見ながら思う、
やはり家の彼女と違う。
どちらかと言うと学校での方が幸せそうで。
前だったら学校より断然家でのほうが幸せそうで笑顔に溢れていたというのに。
どうして急にこうなってしまったのだろう。
でも俺には一つだけ心当たりがあった。
**
その日家に帰って、俺は夜ご飯を食べずに彼女が帰ってくるのをただ待っていた。
ソファに座ってただただ何もせずに待っていると家のドアがガチャと開いた。
「おかえり。」
「ただいま…、どうしたの…?」
いつもと雰囲気の違う俺に不信感を抱いているようだった。
「少しいいかな…?」
「…うん。」
少し戸惑いながらもそう返事をする彼女に、俺は安心させるという意味も込めて笑顔を見せた。
そうすると、彼女も少し安心できたのか笑顔になってすぐにこちらに来た。
「最近さ…、俺らなんか違ったよね…。」
そう聞くと、彼女は黙ったまま俺の顔を見つめていた。
「いや、ごめん…思ってなかったかもだけど…、俺はこの生活が続くのは嫌だ。」
「この生活やめて、前の生活に戻りたい。」
俺は思い切ってそう言った。
そうすると次の瞬間、彼女の目からは大粒の涙が溢れ出した。
「ごめん…、泣いちゃって…w」
「私もね…、思ってたんだ…。少し怖くて…、不安で…、このまま別れちゃうんじゃないかって思っちゃって…。佑がそんなこと言うはずないってわかってても、もしかしたらあるかもしれないって思って…。」
「佑から『別れたい』って言われるのが怖くて、佑のこと避けてた…。ごめんなさい。」
俺はその言葉を聞いて、彼女をそんなにも不安にさせていたのかと自分を責めた。
「いや、俺のほうこそごめん…。そんな思いをさせてたなんて知らずに…。」
俺はそう言った後にこう呟いた。
「俺らどうしてこうなっちゃったんだろう…。」
そうすると彼女はこう言った。
「教師だからだよ。」
「え?」
「教師だから…、いつも学校にいる時と家のいる時の顔とか性格は違う。生徒に見せる顔っていうのがあるでしょう?」
「でもね、私たちは家に帰っても先生だったんだよ、ゆっくりする時間がなかった…。同棲していると、帰ったらこんな顔しなくちゃ、とか余計に気を使いすぎるの。」
「そうすると、ストレスが溜まって、関係が難しくなっちゃう。
教師って、難しい生き物なんだよ。」
そう言われて、確かにそうだと思った。
俺たちは前から愛情表現はしてこなかった。
その理由も教師だから、だったのかもしれない。
教師だからこんなことはしちゃダメだ、そんな区切りに勝手に縛られていたのかもしれない。
そんな自分勝手な縛りのせいで、俺たちはいつからかこんな関係になってしまっていたのだ。
「ごめんね…、俺ずっと愛の気持ちに気づいてあげられなかった……。こんなに一緒にいるのに…こんなに好きなのに…、ごめん、ごめん…。」
俺はただひたすらに謝ることしかできなかった。
「佑。」
俺が謝っているとそう呼ばれた。
「好きだよ。」
「え、」
俺は急な告白に驚いたが、これが俺たちには足りていなかったのだとわかった。
自分で言ったことが恥ずかしかったのか、愛は目を逸らして照れていた。
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その日は久しぶりに一緒のベットで眠った。
こんなにも愛を抱きしめながら眠ったのはいつぶりだろうか。
俺は愛を抱きしめると毎回言われる、
「苦しいよ…w」
も、今日は言われなかった。
愛も俺と同じことを思っていたのかもしれない。
一緒に寝ることがこんなにも愛おしいと感じたのはこれが初めてだった。
愛が眠りについた後、俺は愛を見ながら言った。
「好きだよ、愛。」
愛の頬に優しくキスをした。
the end.
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