ﾄﾞｺﾞｫｯ！
魔法と魔法がぶつかるだけで、地面が抉れる。
無論、身体に傷が付かないはずもなく。


[太字]吹っ飛んでいく右腕を、ただ見ることしかできなかった。[/太字]


青「……！？ガラッド！」
来るな、青。
お前が居なくなったら終わりだ。
青、これも戦略の一つらしい。
……魔王の考えていることが大体分かった。
魔力切れを狙い、窮地に追い詰め殺す。
だから迎え討つ真似をした。
止まらない血と、歪んでいく視界。
左手で持っていた杖が失血で抜け落ちる。
鮮血が服を汚し、染み込んで薄くなる。
そしてそれが青の服までも汚してしまった。
側近が勝ち誇ったように笑みを浮かべる。
歪んだ視界で、はっきりと見えた。
――ただ。



ガラッド「私はまだ生きている。死ねないんだよ、一人でも持っていかない限り。」



ゆっくりと、左手で落ちた杖を持ち構える。
ポケットからペンダントを取り出し、首にかけた。
[太字]『限界突破』[/太字]――！
魔法で出現した彗星が側近に向かっていく。
死ぬまでにやることは一つだけ。


私はただ、彗星が導く先へ行けばいい！