雨音「柊…真……」
雨音は無意識に、テランのことを柊真と呼んだ。
柊真は、目から涙を零す。
柊真「ご…めん…………こんなことをして、許される訳無いけど…ごめん、ごめん、ごめんごめんごめんごめん…」
雨音はまだ疑っていた。
だって、こいつは怪魔だ。
それにさっきまで戦っていた[漢字]怪魔[/漢字][ふりがな]やつ[/ふりがな]だ。
疑いの眼をしている雨音に、柊真は俯く。
柊真「殺したいなら……殺し………て…」
雨音は嗚咽混じりに言う柊真を見て、胸がキュッと締め付けられる感覚がした。
雨音「なんで…？なんで？なんでそんなこと―――」
柊真「俺……もう…[太字]生きたくない…よ………[/太字]」
ポタッと、柊真の手に涙が落ちる。
それと同時に、雨音は目を見開く。
雨音「……何…！？今更……っ…」
雨音はそんな柊真を見て手を翳し、魔法を放とうとする。
でも、手が震えていた。
撃てない。
怪魔だ。目の前に居るのは怪魔だ。

…だけど実の弟だ。

雨音「……読ませて」
柊真「………」




[水平線]

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姉ちゃん……


魔法使いは、才能がある。
努力して手に入った魔法を使いこなす。
俺はそれが嫌いだった。
俺はその努力を天賦の才と見てしまった。
俺は間違っていた。
俺が怪魔になった時はもう、機能しなくなったロボットみたいなことしかしなかった。
友人も殺した。
人間みたいな、魔法使いみたいな才能が嫌いだった。
でもそれは一生輝くモノで。
俺はそれを一瞬で壊した。



だけど俺は、まだ人間の面影があった。
俺は自分の才能が好きだった。
努力して手に入れて、それで褒められる。
そんなのが一番好きだった。
でも、神様は意地悪だ。
一生懸命頑張ったのに、その才能は天賦の才でかき消された。
所謂、嫉妬ってやつ。
皆にもあるはず。
挫折したこと。
圧倒的な差や能力で捻じ伏せられること。
俺はそんな日々が人一倍嫌だった。




結局、理解りあえなかったな……





[太字][大文字][中央寄せ]豺ｱ蛻ｻ縺ｪ繧ｨ繝ｩ繝ｼ縺檎匱逕溘＠縺ｾ縺励◆[/中央寄せ][/大文字][/太字]









ｼｭｯ……




雨音「……あんたが泣いたって死んだって、許しはしないから――。」