拝啓。二度と会えない姉へ。
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やっと、【終わる】。
「今日が終われば、あの日から25年が過ぎるんだ。」
「これまで、大変だったよ。仕事も。」
「姉さんの旦那さんも、母さん達も、皆泣いていて。」
「あんなに、幸せそうだったのにね。」
姉さん、もうすぐ時効なんだ。捜査していた刑事さんも
謝りに来てくれていた。ほんと、幸せ者だね。姉さんは。
でも、僕だけは嬉しかったよ。どうしてだろうね、姉さん?
だって、妬ましかったから。愛されている、姉さんが。
【いなくなれと、いつも願っていた】
これまでの日々は、とても辛かったよ。毎夜眠れなかった。
いつか警察が“犯人”の尻尾を掴むのでは、と。
でも、もう気にせずに済む。
姉さん。どうかあの世で、楽しく暮らしてね。
僕もこれからは、楽しく過ごせる。
⁇「…皆、知っているわ。そして、残念ね。世界はそう簡単に貴方を」
【 許 し て は く れ な い 】
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