いじめ買取カフェ。
#1
第1話
「うわ…まただ」
美舟はそう思っていた。自分の机には『バーカ』や『でべそ』などがサインペンで書いてあった。
いじめを受けはじめたのは半年前。「掃除を真面目にして」といじめっ子に美舟が言ったのが始まりだった。最初はシューズを川に投げられたことから。泣きながらお母さんに報告して、いじめっ子の親が謝罪していたのを覚えている。しかし、それからいじめがヒートアップしていった。給食にゴミを入れられたり、階段から突き落とされたり、陰口を言われたり。
(学校、行きたくないよ)
美舟はトボトボと通学路を歩いて帰っていた。すると、ココアの良い香りがしてきた。
「わー。いい香り…」
ココアオタクの美舟は香りのする路地へ入っていった。そうやってなんだかんだ着いたのは、レンガでできた建物だった。ツタが絡まっていて、ドアは自動ドアだ。近代の建物なのか現代の建物なのかぜひ教えていただきたいところだ。美舟はそーっとドアに近づく。自動ドアはサーっと開き、カランコロンという心に染みるベルの音が鳴り響く。そこへ、黒猫が寄ってきた。その黒猫は多分影より墨より濃い黒色をしていて、ニャーっと美舟の足に黒猫はすりすりと顔をなすりつける。
「こら、くろろん。戻っておいで」
そこに、ハキハキした声がする。その声の中には、可愛さと爽やかさも混じっている。きっと女の子の声だ。
美舟の勘は当たり、黒髪の少女が出てきた。服は結構地味である。ジーパンとエプロン、シャツは白色だ。
「私はこのいじめカフェのオーナー、春樹です!こちらのお席へどうぞ————お客様」
美舟を春樹がテーブルに案内してくれる。メニュー表を手渡され、美舟はじーっとメニューを見た。最初のページには、ひと言こう書いてある。
『このカフェのオキテ
この店は食べ物と飲み物を1つずつ頼もう★』
「え?!まって。お金持ってない!今から財布とってきまs」
「いや、代金はお金じゃないよ。カタチじゃない、[下線]アレ[/下線]を頂くけどね」
美舟は意味がわからぬままホットケーキとココアを注文した。そして、数分後。
焼きたてのバターののったホットケーキと湯気の出ているココアが出てきた。ココアは今まで何回か飲んだが、今までのよりとても美味しそうだ。ホットケーキも、見ているだけでお腹が減ってくる。
「…いただきます!」
まずはココア。ミルクと砂糖を入れて飲む。まろやかでホッとする味だ。おまけのマシュマロをいれるともっと美味しい。寒かったからあったかい飲み物がいい感じに体にしみる…。ホットケーキはと言うと、焼き加減や味、バターとのマッチ具合がちょうどよく、自分の甘いホットケーキが好きという好みを(言っていないのに)バッチリ把握しているような感じだった。もちろん、ココアとの相性は抜群だ!
「あー。美味しかった!」
美舟は何だか元気が出てきた。これでもうなんでもできる気がする。いじめなんて怖くない!!…とも感じてきた。
「じゃ、お会計ね〜。いじめ1つ頂戴いたしまぁす」
春樹はそう言って袋を取り出した。すると、美舟の体から[小文字]「またね〜。ご主人」[/小文字]と言いながら1つの花びらが出てきた。美舟の片手くらいの大きさで、風も吹いていないのに袋に入っていっt…[太字]パタン。[/太字]
花びらが入った瞬間、袋を春樹は閉じて大急ぎで閉じ口をモールで結んだ。
「これで、いじめ買取終了!あなたの幸せをいじめと引き換えにあげるね。…ご来店ありがとうございましたぁ!」
そうやって春樹が言うと、跡形もなくカフェは消えてしまった。夢なのかなぁと思っていたが、次の日から美舟に対するいじめはパッタリ消えた。美舟はまた行きたいとかではなく、ひたすらその春樹に感謝するのであった。
一方
春樹は、やってきたトラックにモールで閉じ口を閉じた袋をのせていった。
「この子たちの処分、お願いします」
「はーい。この子達はカケラもなく処分させていただきまぁす」
トラックは走り去っていった。
「くろろん、またお客様が来そう?」
「にゃ!好きな飲み物はコーヒーにゃ」
「じゃ、今のうちに用意しますか」
春樹はカフェに戻った。そして、またお客様がやってくるのを待つのだ。
美舟はそう思っていた。自分の机には『バーカ』や『でべそ』などがサインペンで書いてあった。
いじめを受けはじめたのは半年前。「掃除を真面目にして」といじめっ子に美舟が言ったのが始まりだった。最初はシューズを川に投げられたことから。泣きながらお母さんに報告して、いじめっ子の親が謝罪していたのを覚えている。しかし、それからいじめがヒートアップしていった。給食にゴミを入れられたり、階段から突き落とされたり、陰口を言われたり。
(学校、行きたくないよ)
美舟はトボトボと通学路を歩いて帰っていた。すると、ココアの良い香りがしてきた。
「わー。いい香り…」
ココアオタクの美舟は香りのする路地へ入っていった。そうやってなんだかんだ着いたのは、レンガでできた建物だった。ツタが絡まっていて、ドアは自動ドアだ。近代の建物なのか現代の建物なのかぜひ教えていただきたいところだ。美舟はそーっとドアに近づく。自動ドアはサーっと開き、カランコロンという心に染みるベルの音が鳴り響く。そこへ、黒猫が寄ってきた。その黒猫は多分影より墨より濃い黒色をしていて、ニャーっと美舟の足に黒猫はすりすりと顔をなすりつける。
「こら、くろろん。戻っておいで」
そこに、ハキハキした声がする。その声の中には、可愛さと爽やかさも混じっている。きっと女の子の声だ。
美舟の勘は当たり、黒髪の少女が出てきた。服は結構地味である。ジーパンとエプロン、シャツは白色だ。
「私はこのいじめカフェのオーナー、春樹です!こちらのお席へどうぞ————お客様」
美舟を春樹がテーブルに案内してくれる。メニュー表を手渡され、美舟はじーっとメニューを見た。最初のページには、ひと言こう書いてある。
『このカフェのオキテ
この店は食べ物と飲み物を1つずつ頼もう★』
「え?!まって。お金持ってない!今から財布とってきまs」
「いや、代金はお金じゃないよ。カタチじゃない、[下線]アレ[/下線]を頂くけどね」
美舟は意味がわからぬままホットケーキとココアを注文した。そして、数分後。
焼きたてのバターののったホットケーキと湯気の出ているココアが出てきた。ココアは今まで何回か飲んだが、今までのよりとても美味しそうだ。ホットケーキも、見ているだけでお腹が減ってくる。
「…いただきます!」
まずはココア。ミルクと砂糖を入れて飲む。まろやかでホッとする味だ。おまけのマシュマロをいれるともっと美味しい。寒かったからあったかい飲み物がいい感じに体にしみる…。ホットケーキはと言うと、焼き加減や味、バターとのマッチ具合がちょうどよく、自分の甘いホットケーキが好きという好みを(言っていないのに)バッチリ把握しているような感じだった。もちろん、ココアとの相性は抜群だ!
「あー。美味しかった!」
美舟は何だか元気が出てきた。これでもうなんでもできる気がする。いじめなんて怖くない!!…とも感じてきた。
「じゃ、お会計ね〜。いじめ1つ頂戴いたしまぁす」
春樹はそう言って袋を取り出した。すると、美舟の体から[小文字]「またね〜。ご主人」[/小文字]と言いながら1つの花びらが出てきた。美舟の片手くらいの大きさで、風も吹いていないのに袋に入っていっt…[太字]パタン。[/太字]
花びらが入った瞬間、袋を春樹は閉じて大急ぎで閉じ口をモールで結んだ。
「これで、いじめ買取終了!あなたの幸せをいじめと引き換えにあげるね。…ご来店ありがとうございましたぁ!」
そうやって春樹が言うと、跡形もなくカフェは消えてしまった。夢なのかなぁと思っていたが、次の日から美舟に対するいじめはパッタリ消えた。美舟はまた行きたいとかではなく、ひたすらその春樹に感謝するのであった。
一方
春樹は、やってきたトラックにモールで閉じ口を閉じた袋をのせていった。
「この子たちの処分、お願いします」
「はーい。この子達はカケラもなく処分させていただきまぁす」
トラックは走り去っていった。
「くろろん、またお客様が来そう?」
「にゃ!好きな飲み物はコーヒーにゃ」
「じゃ、今のうちに用意しますか」
春樹はカフェに戻った。そして、またお客様がやってくるのを待つのだ。
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