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暗殺実験

#1

多くの別れ、少ない出会い。

 私の名前は[漢字]溝口 莉衣香[/漢字][ふりがな]みぞぐち りいか[/ふりがな]。小学5年生で絵を描くことが大好き。得意ではないし、決して上手という訳ではないけれど、絵を描くことは好き。恋バナや漫画好きの普通の女の子。
 好きな人は、違うクラスの[漢字]田邊 斗亜[/漢字][ふりがな]たなべ とあ[/ふりがな]さんが好き。2年生の時に同じクラスになって好きになった。斗亜さんは結構モテる。斗亜さんは英語を習っていて、っていうかもう全学年終わったらしく、塾では最高ランクまで習って終わったらしい。恐るべし。
 好きな教科は特になし!授業自体面倒くさい。でも、工作は適当にやったらなんか賞を取っていることが多々ある。好きでもないけど。

 今日は2025年3月4日。また[漢字]憂鬱[/漢字][ふりがな]ゆううつ[/ふりがな]な今日を過ごす。クラスメイトの女子との会話はとても楽しいから充実しているが、今まで嫌な席だった。席の場所が嫌な訳ではなく、近くの班がうるさい男子達の塊でうるさい。でも、今回の私達の班はこの1年間で一番良い席。今までは、嫌いな男子達が同じ班にいるか、近くの席だった。
 次の授業は2時間目、保健の授業だ。保健や道徳、総合はまあまあ暇な時間が多い教科だ。
 先生の体調不良で授業変更があったり、修了式や通知表作りで先生達が忙しい期間だ。だから、今回の保健をするのは、校内の男子にも女子にもモテモテの男の先生、[漢字]奈久江[/漢字][ふりがな]なぐえ[/ふりがな]先生。多分、校内では若い方だから最近の物事をよく知っていて生徒に馴染みやすいんだと思う。
リーンコーンカーンコーン・・・
「立ちましょう。」
今日、日直の[漢字]久良[/漢字][ふりがな]くら[/ふりがな]ちゃんが挨拶をする。
「気を付け。お願いします。」
「お願いします。はい、座りましょう。」
 今回の内容は、災害後で怪我を防ぐ、災害に備える、という内容だ。教科書は、読んだり線を引いたりしたけど、パソコンを使って自分の意見をクラスみんなで使えるサイトを開いて書き込む。
 文字を打ち始めた直後に感じた悪寒、鳥肌、そして何かの重みを身体全体で感じた。
「ねぇ、なんか寒くない?」
前の席の友達の[漢字]遼太[/漢字][ふりがな]りょうた[/ふりがな]に聞いたけど、「寒くないよ。換気してるから冷たい風当たってんじゃない?」と、言っていた。
 何だったんだろう、今のは・・・。今までに感じたことのない何か。
 その次には頭が、キーンと急に痛んだ。そして、腹の中で何かがヌルヌル暴れているような感じが数十秒間続いた。
 「うっ・・・気持ち悪っ・・・。」                     
 思わずそう言ってしまうほど気持ち悪かった。隣の席の友達の[漢字]篤吏[/漢字][ふりがな]あつと[/ふりがな]が心配してくれたけど、大丈夫じゃなかった。吐き気がある気持ち悪いではないけれど、授業に集中できないほど視界がグワングワンした。
 本当に大丈夫じゃないと気付いてくれたのか、篤吏が先生に伝えてくれた。そのことを聞いていたのか、親友の[漢字]水妃青[/漢字][ふりがな]みひと[/ふりがな]ちゃんが「大丈夫?」と言ってくれた。他のクラスメイトも周りに集まったけど、先生が安静になる状態にしてくれたので、少し楽になった。先生が「保健室に行く?」と聞いてくれたけど、大ごとになりたくないし、もし早退するとしてもパパかママ、バアバに迷惑をかけるかもしれないから保健室には行かないことにした。
 それから数秒した時だった__
 _%$&^|<_=~_
どこからか聞こえた謎の言葉。その言葉にクラスみんなが大騒ぎしていた。
「きゃあああ! 何今の声!!」
「何言ってたの? 何て言ってたの?」
どこからどうやって謎の言葉を発したのかわからない。小さい声だったのに、はっきりと聞こえた謎の言葉。
 「誰?」「どこから?」「なんて言ったの?」「怖い」頭の良い男子ですら、困惑しているように見えた。
 また、あの気持ち悪さが始まった。吐きそうで吐けない、謎の吐き気の気持ち悪さ。クラスメイト達の声が大きくなるにつれ気持ち悪くなる身体。             
 視界が回る。呼吸がしづらい。気持ち悪い。苦しい。辛い。そう思いながら感じた[下線]モノ[/下線]。
 そして、さっき聞こえた謎の言葉。その内容は、私にははっきりとわかった。
__校庭に集まれ__
言葉の形さえわからなかった言葉が、私には聞こえた。たった一言の重み。そして・・・集まらなければ死ぬという感じがした。
 声を上げられない。クラスのみんなが騒いでいるせいで、私の小さい声がかき消された。
 お願い、多くの命が無駄にならないように・・・。
「先生、全校に・・・うっ・・・校庭に集まるよう指示してくださいっ・・・・集まらないと、死んじゃう可能性があります。・・・理由を話す時間なんてありません・・・っ早く、指示をしてください。」
「わかりました!」
 返事の様子を聞くと、先生も相当焦っているように感じた。
『全校の皆さん、静かに落ち着いて校庭に集合してください。そして、先生方は校庭に集合した後、旗立台に集まってください。』
 教室内にある電話で放送できるから、先生がすぐに放送してくれたおかげで思ったより早く校庭に全校生徒が集まっていた。
 私はなんとか友達に肩を貸してもらって歩けたから、落ちるように座った。
「うっふぅ・・・ぐぅ・・・・。」
「本当に大丈夫?陰で休ませてもらう?」
「・・・だいじょっうぶ・・・」
これ以上心配かけたくない。私は・・・誰かが私のためだけに必死になるのが、嫌だから。
                                                        
 お腹を抱えてうずくまっている私を見た違うクラスの友達、[漢字]涼香[/漢字][ふりがな]すずか[/ふりがな]ちゃんが私に話しかけてきた。
「ねぇ、りんりんも体調悪いの?斗亜さんも体調悪いって。どうしちゃったのかな?」
 ・・・どういう症状なのか知りたい。斗亜さんも私と同じ症状なのか、それとも違うのか。
__こんにちは皆さん。お騒がせさせてすみません。__
さっきと同じような謎の声が、今度ははっきりと聞こえた。みんなも聞こえたのか、全校生徒がざわついていた。
 __突然ですが、先程体調不良に見舞われた生徒達は、全員前に来てください。あぁ、この学校で言ったら、旗立台の少し前に来てください。__
 っ・・・。どうしてだろう、前に出なきゃ死ぬ気がする。そういう悪寒を、身体全体で感じた。
 「・・・斗亜さんに、前に出ようって、伝えてくれる?」
 涼香ちゃんにそう伝えて、私は前に出た。
「りんりん!」
私は・・・死んでも構わない。前に出て、死なないということを証明したい。
__ほぉ・・・随分と心強い女の子がいますねぇ。さて、女の子は死にませんよ?勇気を出して、前に出てみませんか?さもなくば・・・__
「オエッうっガァ!」「ゴブッッッえ゙ぁ゙?がはぁっ???!」
後ろから聞こえた無数の悲鳴と何かを吐き出す2つの叫び。聞いているだけど、さらに気持ち悪くなる。
 そう思っていたら、斗亜さんを含めた何人かの生徒達が、顔色を悪くしながら前に出てきた。
__すみませんねぇ、前に出させるにはこうさせるしかなくて。あぁ、さっき吐いちゃった子達は、あと3時間程したら完全回復するので、安心してください。それでは、前に出てきた子達はこちらで回収するので、不要な場合戻します。__
 「回収する」という意味がわからないが、遠回しに言えば、誘拐するということかもしれない。でも、「不要な場合は戻す」という意味がわからない。私達をどうする気だ?
 次の瞬間、地面も空もない謎の空間に飛ばされた。しかし、気づけば私は眠っていた。
「実験室に移動させるぞ。7人だな・・・[下線]椅子[/下線]を7つ用意しろ。」

___ここはどこだ?・・・首が痛い。座ってる?私・・・こんな椅子に座っていたっけ?まるで拘束されているように、手足が完全に拘束されている。まるで意図的に用意してあったような椅子だ。床と思われるものとくっついているから、ちゃんと計画されてつけられた椅子だろう。
 ここは多分、個室だろう。まわりが白い壁で覆われている。
ガガッ・・・
[今から耐久テストを始めます。むやみに暴れるとどうなるか考えてね。]
 スピーカーから聞こえる声は、学校で聞いた謎の声とよく似ていた。スピーカーだから少し声が変わるが、多分、同一人物だろう。
 小学校低学年をなだめるような声で言っていたが、「耐久テスト」とはなんだ?私達はこの状態で何をさせられるんだ?
 隣の空間から少し声が聞こえる。
「・・・どこっ・・・こっっらだせっ・・・・」
 声からして男だろう。声の大きさや、さっきのスピーカーの言葉に逆らう行動をしていることから6年生だろう。
 流石にまずい。こんなに暴れたら最悪、死ぬかもしれない。注意したいところだが、私も大声を出したら死ぬかもしれない。
 ガタンッ
隣から何かが抜けたような音がした。振動からして・・・床だろう。
 もしかして落とされている?でも、ここは謎の空間にあるんだ。どこに落ちるんだ?
「うわああああぁぁぁああぁぁあぁっっっ!!」
 防音と思われる壁なのに、叫び声がはっきりと聞こえた。
[聞こえただろう?こうなるから、指示に従ったほうが良いよ。]
っ・・・こいつ、本気か。
そんな感情を無視して、耐久実験が始まった。
[まずは、弱めの電流を送る。]
・・・え?電流?
ピリッ
「っ!」
カウントダウンも無しに全身に流れてきた電流。微弱な電流で、足が痺れた時みたいな感じだったけど、全身だと内臓にも少し影響が出るから痛かった。
ガタンッ
 また誰かが落ちる音がした。
怖い・・・どうして私が選ばれたんだ。私は必死に涙を堪えた。
[次は少し強めに電流を送る。]
ビリッ
「ぃ゙っっ!」
痛い。全身が痛い。これよりも強い電流が来たら、気絶するかもしれない。

_1時間後_
[これで耐久実験を終了する。]
ガシャンッ
手足の拘束が解け、身体が自由になった。でも、体力がもう無い。耐久実験だけでクタクタだ。耐久実験の最中、何人も落ちた音がした。落ちるところがわからないから、体力がなくなりながらも、耐えて良かった。
「・・・はぁぁ疲れたぁ」
小さく、でも大きく溜め息を付き体を伸ばした。
[今からドアを開ける。目の前にある椅子に、どこでもいいので座って。]
ガシュー
うわっ完全密室だと思ったのに、目の前の壁が壁ごとあがった。私は、フラフラした足取りで椅子へ向かった。
「っ!?」
「っ!まだ生き残ってたんだ・・・良かったぁ・・・。」
まるで、自分以外死んだんじゃないかと思った言い方で言ってきた黒いマスクを付けている女の子と私含めて、今の人数は4人だった。
 少ない・・・十数人いたのに、あっという間に4人になってしまった。生き残っていたのは・・・私、斗亜さん、友人同士だと思われる女の子1人と男の子1人。
 「・・・えと・・・宜しくお願いします?」
一応挨拶したけど、あっているのかな?
「よろしくね!私、[漢字]林 華恋[/漢字][ふりがな]はやし かれん[/ふりがな]。[漢字]大嵩[/漢字][ふりがな]おおたけ[/ふりがな]小学校6年生。宜しくね。」
「俺は・・・[漢字]綴詩 蓮兎[/漢字][ふりがな]つづし れんと[/ふりがな]。華恋の幼馴染で、同じ大嵩小学校6年。よろしく。」
よかった・・・2人ともまだ体調悪そうだけど、馴染みやすそうでよかった。そう思って、私も自己紹介をした。
「私は溝口 莉衣香です。[漢字]奏宇良[/漢字][ふりがな]かなでうら[/ふりがな]小学校5年生です。宜しくお願いします。」
「僕は田邊 斗亜と申します。同じく奏宇良小学校5年生です。宜しくお願いします。」
斗亜さんも自己紹介をしたら、蓮兎さん?がなぜかニヤニヤしていた。なんでニヤニヤしてんのかな?
「君達、幼馴染か恋__」
ベシッ
「痛って!?なんだよ華恋!」
華恋さんが蓮兎さんの頭を思いっきり叩いた。痛そうな音だったな・・・。
「ごめんね、蓮兎は恋バナが大好きで。まぁ、私も好きだけど・・・?莉衣香ちゃん、顔赤いけど大丈夫?」
 えっ?私・・・顔赤い!?そんなつもりは・・・なかったんだけど・・・。うわー恥ずかしい。顔にも出てたんだ。
「そういえば、なんで私達集められたのかな?」
「確かに、違う学校なのに集められてるのってなんでだろう。」
話が変わって良かったと思ったけど、今思えば何で違う学校なのに集められたんだろう。奏宇良は、前に来なかった人を含めて、合計約30人くらいだったから、他の学校も30人くらいいたんじゃないかな?
 __ザザッ
っ!またスピーカーか?今度は何を言うんだ?
[ここまで耐え抜いた君達は優秀だ。上級生とはいえ、ここまで耐えられたのは強い心の持ち主だ。さて、今日からこの施設で過ごすことになる。なので君達個人の部屋が必要だろう。だから、部屋に案内しよう。]
私専用の部屋?でもどこだろう。・・・んんんんん?私達、今日からこの施設で過ごすの!?は?嫌なんだけど。私、ホームシックだし、ストレスにも弱いから流石に住むのは勘弁。
 「部屋にご案内いたします。ついてきてください。」
突然、背後から聞こえてきた女の人の声。振り返ると、美人の女の人がきれいな姿勢で立っていた。
でもこの人、足音がしなかった。私は超人でもなんでもないけど、この人なんだかオーラがないっていうか・・・なんか気配がない。
 言う通りにしよう。今は休みたいから、本当に部屋があるなら行きたい。
「みんな、行きましょう。」
みんな「分かった」と言ってくれたから、内心安心した。
 あの広場?から少し歩いたところに部屋が幾つかあった。それぞれのドアに、「001番室」「002番室」「003番室」「004番室」「005番室」「006番室」「007番室」「008番室」「009番室」
「010番室」とあった。
 「これから溝口 莉衣香様は、実験体番号005番と呼ばれます。そして、莉衣香様の部屋は005番室になります。」
じ、実験体番号005番?なんの実験なんだろう・・・。実験体番号が部屋と同じ番室になるのか。「田邊 斗亜様は、実験体番号006番と呼ばれ、部屋は006番室になります。」
「はっはい。わかりました。」
「林 華恋様は、実験体番号007番と呼ばれ、部屋は007番室になります。」
「わかりました・・・?」
「綴詩 蓮兎様は、実験体番号008番と呼ばれ、部屋は008番室になります。」
「・・・はい。」
蓮兎さん、表情が怖いな。きっと学校でもヤンチャなのかな?
「各自の部屋に時間割表がありますので、ちゃんと目を通しておいてください。教室は、時間が来た時に案内いたします。失礼します。」
 吸い込まれそうな、硝子のような目。奥が深そうな目。シンプルな姿なのに、冷たくもなく暖かくもない、不思議な感覚に陥る。
 斗亜さんに「どうしたんですか?」と、言われ我に返ったけれど、何もされなかったらずっと立ち尽くしていそうな人だった。
 恐る恐る自分の部屋に入ると、所々、木を使っており懐かしい雰囲気が漂っていた。部屋自体も結構広く、5人くらいはのびのびできる広さだった。
 トイレに大きなパソコン、スマホ、テレビが揃っていて、YouTuberを目指している私にとって凄く嬉しかった。パソコンやスマホを開いてみると、既にアカウントがあり、YouTube等がすぐに使える状態だった。
 机も大きく、机に備え付けの棚の中を見てみると、私の元々の机に入っていた文房具や本が入っていた。近くにあった他の棚にも、私が所持していた物が全てあり、どうやって全て持ってきたのか不思議だったけど、いつもの雰囲気や懐かしさがあり、少し馴染むことが出来た。
 私の服や下着が全部あり、ならば少なかった下着が増えている程だった。
 部屋のドアの隣に、インターホンらしき物があった。触ってみたら、インターホンの機能だけでなく、連絡機能もあった。連絡先の一番最初に、「マスター」とあった。マスターの存在は知らないが、多分、私達や学校に話しかけてきた謎の声の持ち主だろう。
 二番目に、[漢字]椿芽[/漢字][ふりがな]つばめ[/ふりがな]という名前があった。おそらく、さっき部屋を案内してくれた女の人だろう。女の人の袖に「椿芽」とあったから、あの女の人は椿芽さんというのだろう。
 もう少し部屋を探索していたら、クローゼットの横についているハンガーに、謎の服があった。私が所持している服ではなく、私の好きな漫画、「暗殺教室」の「超体操着」という服と似ていた。その服の下には、銃とナイフ(カバーが着いている)があった。少しナイフのカバーをズラしてみると、日に反射した、新品のような鉄の刃があった。
「なんだこれ・・・何に使うんだ?」
 そして、謎の服の横に、スマホみたいな機械があった。
 でも触ったら爆発するとなると怖いから触らなかった。
「はぁ・・・疲れた・・・。」
まだあの気持ち悪さがまだ少し身体に残っており、完全復活の状態ではない。
 少し眠ってもいいよね?多分、斗亜さん達も疲れて寝てると思うから、私も寝ようかな・・・。
 そうして私は眠りについた。

【斗亜】
 耐久実験終了から数分経った頃、椿芽さんという女の人に部屋を案内してもらった。部屋に入ろうとしたら、莉衣香さんが立ち尽くしていいたから、声をかけたら吃驚して「なんでもない。」と言って静かに部屋に入っていった。どうしてかわからないけど、莉衣香さんも蓮兎さんも華恋さんも、耐久実験で相当疲れただろうから、しばらく立っていることもあるだろう。
 自分の部屋に入ったら、自分の机や服が全部部屋にあった。どうして僕の私物がここにあるのかわからないけど、いつもの雰囲気があって、少し落ち着くことが出来た。
 「・・・?何あれ。」
 クローゼットの横に知らない服があった。その下にはナイフや大きめの銃があった。何に使うのかわからない。ナイフのカバーを取ってみると、本物のナイフで驚いてしまった。
 でも、とりあえず説明が来るまで待っていよう。下手に探索したら殺されるかもしれないから。盗聴器があるかもしれないから、部屋の中でも下手に動けない。
 ・・・寂しいな。壁にかかっていた時計を見てみると、午後2時47分だった。僕達が集められたのは二時間目の始まりの直後だったから、既に4時間以上経っていることになる。目が覚めると椅子に座ってた前の時間を、仮に3時間だとすると、その3時間は何をされていたのか分からない。普通に寝ていたならいいけど、何かされていたら・・・なんて、そんなことないよね。
 椅子に座っていたから立とうとすると、少し首の後ろに違和感があった。触ってみたら特に何もなかったけど、ほんの少し痛みがあった。でも、耐久実験用の椅子に座っている時に寝ている時間が長かったと思うから、多分首を曲げていた痛みがきたんだろう。
 そういえば、莉衣香さん達や僕も実験体番号がつけられたけど、何の実験だろうか。もしかして、強力な薬の試験体とか?でも何で子供だけなんだろう。子供用の薬で強力な薬を使うか?もしアレルギー反応で身体に蕁麻疹が出たりしたら大問題だ。そんなことを子供相手に試験するの?多分、家族や両親に了承も得ずに試験をしているのだろう。
 ピンポーン
 [漢字]吃驚[/漢字][ふりがな]びっくり[/ふりがな]した・・・インターホンの音?インターホンを覗いてみると、莉衣香さんがいた。ドアを開けると、莉衣香さんが少し吃驚した顔で、
「えっと・・・斗亜さんもわからないと思うけど、この時間ってゲームしてもいいのかな?」
・・・莉衣香さん、こんな時でもゲームしたい気持ちがあるんだ・・・。ってそう思ってるんじゃなくて、ゲーム機なんてあったかな?
「あっゲーム機じゃなくて、スマホゲームの方。」
ゲーム機の方だと思っているのを察したのか、スマホゲームだよと丁寧に言ってくれた。
 あっスマホゲームの方か。
「ゲームアプリってあるんですか?」
「んーなんか、インターホンに連絡機能あったからマスターに聞いてみたら、自由にアプリいれていいよって。課金もオッケーらしいよ。」
えっ連絡機能あるんだ。莉衣香さん、本当に強い心持ってるな・・・。電話越しでマスターさん?に聞くの凄いな。
 自由にアプリをいれてもいいんだ。
「あっそういえばもう一個聞いてみたんだけど、欲しい物があったら自由に買っていいって。お金は全部施設が払うらしいよ。結構、マスター金持ちなんだね。」
どこまで聞いたんですか。
「そうなんですね。僕もあまりよくわからないので、教えてくれてありがとうございます。」
そう言ったら、莉衣香さんの顔がほんのり赤くなっていた。
「うっううん!私も、斗亜さんがよくわからないのに聞いちゃってごめんね!じゃね!」
少し早口でそう言って、莉衣香さんは自分の部屋に小走りで入っていった。どうしたんだろう。お礼言っただけなのにな・・・。
 そうえいば・・・莉衣香さん、僕のことが好きらしい。2回ぐらい僕に手紙で告白してきたな。噂でも、みんな僕達のことを両思いだと言っているらしい。でも、正直僕は莉衣香さんに対しての気持ちがわからない。好きなのか好きじゃないのか[漢字]曖昧[/漢字][ふりがな]あいまい[/ふりがな]だ。答えが出るまで待っててくれと言うべきかな?でも・・・莉衣香さんと違う中学に行ってしまうから、早めに決めないと。
 って、話がそれちゃった。ゲームって自由にいれていいんだ。僕はあまりゲームには詳しくない。僕がやっているゲームは1、2個しかやっていない。でも、流石にマスターさん?も僕がやっているゲームは知らないだろうから、ゲームアプリいれてみようかな!
 ピンポーン
あっまた莉衣香さんだ。どうしたんだろう。
「斗亜さん![漢字]LEMON[/漢字][ふりがな]レモン[/ふりがな]、交換しよ!スマホにもう入ってたアプリだから、斗亜さんもすぐに入れると思うよ!」
LEMONか。僕はスマホ持っていないからわからないけど、みんなが言うには無料で通話や連絡ができるメールアプリらしい。
「あっ斗亜君。俺とも交換して。男同士で話したいから。」
「なんだよそれ。」
「いいじゃん!華恋だって、莉衣香ちゃんともうLEMON交換してんじゃん!」
「はぁ?だから何?文句あんの?」
・・・華恋さん、莉衣香さんに似てるな。言ったら失礼だけど、女性って強いな。
「仲良く喧嘩するのはいいんですけど、ここ廊下だからせめてメールで喧嘩してくれませんか?」
言い方上手だな。蓮兎さんも華恋さんも少し驚いている。
「私、喧嘩するのもされるのも、聞くのも嫌なので、喧嘩やめてくれませんか?」
確かに、莉衣香さんは喧嘩や重い空気が苦手だ。喧嘩が原因でクラスの話し合いになったときも、よく涙を流していた。
「ごっごめんね!」
「悪かった・・・。」
「・・・えっと・・・LEMON交換しましょ!私スマホ持ってなくて、いつもママのスマホ借りてゲームしてたから、張り切ってるんです!あっそうえいば私の好きなスマホゲームがあるので、みんなもいれてみたらどうです?マスターも、アプリ自由にいれてもいいって言ってたので!」
さっきの重い空気を打ち切ってくれたのは莉衣香さんだった。莉衣香さんは5年生になってから随分強くなった感じがする。多分、莉衣香さんのクラスの4組は、下ネタを言う人が多いからそれで鍛えられたのだろう。
 2人は、ゲームというワードを聞いて、一気に目を輝かせていた。2人共ゲーム好きなんだな。
「マジ!?なんていうアプリ?」
「[漢字]Radalox[/漢字][ふりがな]ラダロックス[/ふりがな]っていうゲームです!無料で、マスターが課金してもいいって!」
「マジかよ!斗亜君も早くいれよ!一緒にやろーぜ!」
「僕操作の仕方、わからないんですけど・・・。」
「私が教えるよ!ゲームによって操作、ちょっとだけ変わるから、私のおすすめのゲームの操作方法教えるね!」
莉衣香さんが自信満々に言ってきてくれたから、少し安心した。僕はホッケモンしかやったことがないから、同級生が教えてくれるだけで嬉しい。
[ご名答、実験体番号005番。インターホンには連絡機能がある。連絡先には私、マスターと、さっき部屋を案内した椿芽さん。そして、君達とも連絡し合うことができる。今後、連絡先が増えることがある。くれぐれも忘れないように。]
急にスピーカーから音が出て、みんな驚いたけど、声が響いたのは廊下だけだったから、部屋には多分スピーカーがないんだろう。
「えっ私、スピーカー越しで褒められた。嬉しっ。」
「いいなー。っていうか好奇心旺盛だね、莉衣香ちゃん。」
「あはは。私の悪い癖。」
莉衣香さんが照れていた。その時、僕は少し心が喜んでいた。ほんの少し、少しだけ喜んでいた。なんでだろう?いずれ分かるか。
 あっみんな廊下だ。ずっと廊下に立たせるのも嫌だな・・・。
「皆さん、一旦僕の部屋に入りませんか?寒そうなので・・・。」

【莉衣香】
「皆さん、一旦僕の部屋に入りませんか?寒そうなので・・・。」
・・・えっ!いいの!?めっちゃ嬉しいんだけど!斗亜さんの部屋、見てみたいなぁ・・・。これじゃ、変態かな・・・?うっそれはそれでヤダ!斗亜さんに変に思われたくない!
「んー本当にいいの?」
「はい。広いので大丈夫だと思います。」
「じゃあお言葉に甘えて。」
わー6年生って遠慮しないんだ・・・。うちの学校の6年生と全く同じだな。女子ならまだいいけど、男子は、5、6年は遠慮無しで失礼な暴走族が多いからなあ。
「失礼しまーす。」
「わっここめっちゃ暖かいんだけど。」
本当だ。確かに、私の部屋に比べて少し暖かい気がする。暖房とかついてるのかな?でも、暖房器具が無い。どうやって暖かくしてるんだろう。私の家みたいに、床暖房なら納得できるんだけど、床が暖かくない。どうしてこんなに暖かいんだろう?
「そうですか?僕はこの暖かさが落ち着くんですけど。」
斗亜さんはこの暖かさが丁度いいのかな?確かに、私の部屋は私に丁度いい暖かさだった。
 つまり、この部屋自体が自分に合う温度や気温になっているということかもしれない。
「あっ斗亜くんもあの服持ってんだ。俺のクローゼットの横にもあった。」
クローゼットの横?私も同じ位置だ。しかも、私と似ている服だ。私の服は腹のところに少し隙間があるけど、斗亜さんの服は腹に隙間がない。蓮兎さんも「同じ服」と言っていたから、斗亜さんと同じ型の服なんだろう。女子と男子で別れているのかな?
 「私の部屋にもあったよ。でも、お腹の部分が少し違ったかも。ちょっと隙間があったかな?」
「えっ私も腹の部分に隙間あった・・・。」
華恋さんも腹に隙間がある。つまり、女子と男子で服の型が違う。何の意味があるんだろう。
「ねー早く交換しようぜ。ゲームもしてーし。」
「あっ忘れてた。」
その時間は楽しかった。学校はこうだ、とか、兄弟がうるさいとか、色々自分を表せた時間だった。

「さて、花を咲かせようか。奥深くに隠された才能という花を__」

「あっもう4時!そろそろ部屋に戻んないと。」
「何で?」
「私の推しのライブ配信始まっちゃう!」
おっ華恋さんも推しがいるんだ。推しって誰だろう?
「あっそ。俺も戻ろうかな。俺、一応プロゲーマーだから、毎日配信してるんだけど、流石に休んだらルーティーン崩れるから。」
えぇ!?蓮兎さん、プロゲーマーなんだ!確かに、ゲームしてるときも手がしなやかだったし覚えが早かった。なんのアプリで配信してるのかな?見てみたいな。
「なんだっけ・・・えーと・・・あっ、[漢字]タザクラ[/漢字][ふりがな][/ふりがな]っていうアプリで配信してるんだよね。名前なんだっけ?」
「また忘れてんじゃん・・・[漢字]TUZUーREN[/漢字]ツヅーレン[ふりがな][/ふりがな]だよ。」
「レベル何だっけ?」
「だーかーらー。レベル187って言ったじゃん!昨日自慢したじゃん。」
自慢したんだ。・・・って、レベル187!?最高レベルなんだろう。200とか?でも、あとレベル13で最高レベルか。凄いなぁ。私は時間制限とかもあって、やり始めて3年のゲームもまだレベル50だ。やっているゲームが違うから、レベルが上がる速さも違うと思うけど、流石に187は凄い。
 斗亜さんも驚いていて、「僕にはそんなできません。」って言ってた。
「じゃあね田邊君。お邪魔してごめんね。また遊ぼうね!」
「はい。」
「じゃあ私も戻ろうかな。あっRadaloxまたやろうね。」
「ぜひ。下手ですけど、相手します。」
下手じゃないと思うけどな・・・。でも、一緒にすることを喜んでくれるのは凄く嬉しい。私も頑張らないとな。
 自分の部屋に戻った後、テレビの横にあるある紙が目に入った。
(あれ、時間割表?確か椿芽さんが『各自の部屋に時間割表がありますので、ちゃんと目を通しておいてください。教室は、時間が来た時に案内いたします。失礼します。』って言ってたな。教室って、なんの教室だろう。学校の通り、授業をするのかな?でも、5年生の私と斗亜さんと、6年生の華恋さんと蓮兎さんは学年が違うから、授業の部屋は別々で行うのかな?同じ部屋はちょっと嫌だな・・・だって、斗亜さんと2人になっちゃうもん。嬉しいけど恥ずかしいから、同じがいいな。
そう思ってたけど、どちらにしても嬉しいし恥ずかしいのは変わりないから、マスター達に任せよう。
 そういえば、私も動画配信者として、動画配信できるのかな?ちょっとやってみよう。
 パソコンで動画アプリを開いてみて、マイページというところを押してみると、どうやら私も動画配信ができるらしい。ここまでマスター達がサインしてくれたんだろう。多分、マスターは動画配信が暗号に繋がる時があるかもしれないから、サインしてくれたんだろう。マスター、実はめっちゃ優しいのかな?                            くさりチャンネル
 Radaloxをやって動画を投稿してみた。ちなみに、私のアカウント名は「草利ch」。後でLEMONでみんなに伝えよ!
 動画は自分の声をいれているけど、本名はあまり言わないようにしている。言ったら、「あの行方不明の莉衣香さんが動画配信!?怪しい!」って言われそうだし、マスターにも怒られそうだから気をつけよう。
 動画は大体30分位録った。みんなが見てくれるように、30分位の動画を短くしてショート動画にした。早速、いいねが少しずつついてきて、凄く嬉しかった。コメントには、「Radaloxやってみよう!」「実況が面白い!あと、ゲームめっちゃ上手!フレになりたい。」|と、褒めてくれるようなコメントがいっぱいあった。嬉しい。これからも配信を続けよう!そして、推しであり憧れであり、私の人生の恩人の大人気動画配信グループ、「カラフルペンシル」略して、「カラペン」とコラボすること!もっといい場合、カラペンのメンバーになること!そのためには、面白い実況やになったり、人気の動画配信者と沢山コラボする!頑張らないと!!!
 ピンポーン
ん?誰だろう。
「はーい。」
「椿芽です。夕食の時間になりましたので、食堂までご案内します。」
え!?もう!?時計を見たら、もう6時半を過ぎていた。編集などで時計を見ていなかったから、夕食の時間に気付かなかった。
 っていうか、食堂でご飯食べるんだ。てっきり、部屋で各自食べるんだと思ってた。この施設の人達、意外と優しい?
「わかりました。」
部屋から出たら、華恋さんと斗亜さんがいた。
「あれ、蓮兎さんは?」
「あーまだ配信してる。いいところだからあとで食べるって。」
 まだ配信してたんだ。2時間位前に解散したから、つきっきりで2時間も配信してるんだ。精神力も結構必要になると思うけど、レベル187だから大丈夫か。
 椿芽さんについていくと、大きな食堂に着いた。私が思っていたより広く、吃驚した。斗亜さんも「広い・・・。」ってめっちゃ驚いてた。
 食堂には知らない大人達が沢山いて、多分施設の人達もここで食べてるんだと思った。でも、正直不安だな・・・。私は少し人見知りだし、大人の人でも女性にしかあまり関われないから、急に絡まれたら多分テンパっちゃうかもしれない。
「席は自由です。食事は、この施設の関係者は無料で食べれます。施設関係者証です。これを見せたら無料になるので、持っていてください。他のところでも使うので、後程渡す服に付けておいてください。」
へー、施設関係者は無料なんだ。ということは、施設関係者じゃない人も食べれるのかな?ちょっと奥を見てみると、「一般人用入口・出口」と書いてあるドアがあるから、一般の人でもここで食べれるんだ。
 メニューを見てみると結構安かったから、安さを目当てに来る人や学生が多いんだろう。でも、ここの施設の場所はみんな知らないはずだ。知らぬ間にテレポートとかしてるのかな?
「何食べる?私は醤油ラーメンにしようかな。」
「僕は味噌汁とご飯とサラダにします。」
流石斗亜さん!こういう贅沢な時も、ちゃんとした物を食べるんだ。でも私はこういうときは遠慮しない人だから、斗亜さんをぜひ見習いたい。でもできなさそう。
「私は豚骨ラーメンにする!豚骨ラーメン大好き!」
「へー私は醤油ラーメンかな。」
「私も昔醤油だったけど、細麺の豚骨ラーメンが好きです。旅行中に豚骨ラーメン食べて好きになりました。」
「へー、私はずっと醤油。最近ラーメン食べてなかったから、久しぶりに食べるな。」
斗亜さんはずっと「そうなんですね。」としか言ってなかったから、あまりラーメン食べる機会ないのかな?厳しい家庭なのかな?
 折角豚骨ラーメン食べるんだから考え事はなし!ラーメンに集中しよう。
 豚骨ラーメンを頼んで、出来上がったから取りに行ったら、千切りキャベツとサラダがあって、チャーシューが2枚に増えていた。
 華恋さんもついていて、斗亜さんには千切りキャベツだけがついていた。
「えっなんで?私、頼んでないよ?」
「私も。なんでかな。」
まぁいっか。どうせ栄養をとれって勝手に置いたんでしょ。授業といったら、体育もあるだろうから、動くときのために少しの贅沢にしなさいって言われたんだろうな。椿芽さんかマスターに。
 ラーメンとサラダと千切りキャベツを20分位で食べ終わったら、斗亜さんと華恋さんにめっちゃ驚かれた。「なんでそんなに早いの!?えっ怖。」って言われた。これが普通なんだけどな・・・。
 「ご馳走様でした!あー美味しかった。もう戻ろっか。」
華恋さんが最後に食べ終わって、戻ることにした。華恋さんは食べ物をしっかり味合う人らしく、遅れて食べ終わるのが普通らしい。まぁ私は自分のペースで食べてほしい。
 帰りのときも椿芽さんが案内してくれて、部屋に戻ることが出来た。食事をする前に貰った、施設関係者証をもう一度見ると、私の名前と顔の写真があった。いつ私の顔を撮ったのか分からないけど、顔で判断をして、関係者だと分かるようにしているんだろう。
 部屋に戻って、本を読もうとして本棚に寄ると、本棚の下の方に問題集があった。問題集を開いてみると、5年生の復習問題が、算数、国語、理科、社会、家庭科とあり、それぞれの教科書とノートがあった。教科書とノートは私が学校で使っていた物で、使い慣れていたから、マスターなりの気遣いだろう。
 8時半頃になったら椿芽さんが来て、浴場へ案内してくれた。浴場に入る前に、椿芽さんから服を貰った。その服は自分で長ズボンか短ズボンか選べるようになっていた。夕食を食べる前に椿芽さんに言われたように、施設関係者証を入れるところがあったから、持ってきた施設関係者証を入れた。
 最近家でも風呂に入れてなかったから、存分に浸かってきた。
 風呂に入る途中で華恋さんの素顔を見たけど、すごく美人だった。いつもマスクを付けていたし、夕食を食べるときはマスクを外していたけど、私はご飯に集中していて顔を見られなかったから、今見れて嬉しかった。
 ちなみに、風呂に入るときはプライバシー保護のために風呂に入る用の水着のような服を身につけるよう椿芽さんに言われた。その服を着て風呂に入ると、今までの疲労が一気に無くなっていく感じがした。身体が軽くなるような感じもして、風呂がそうなのか服がそうなのか分からないけど、耐久実験で疲れていた身体は喜んでいた。
 風呂からあがり、椿芽さんから貰った服に着替えて、浴場の出口を通ると、既に斗亜さんと蓮兎さんがいた。蓮兎さんがニヤニヤして話しかけていて、斗亜さんが焦っていたから華恋さんが早足で蓮兎さんに寄って思いっきり頭を殴っていた。蓮兎さんはずっとうずくまっていて、なんだか可哀想になってきてしまった。
 「ったぁ・・・なにすんだよ華恋。」
「こっちのセリフ!斗亜君に何したの。」
「華恋には関係ないだろ!話しかけること自体ダメなのかよ!」
「うっさいわねーもう。莉衣香ちゃん、もう戻ろ。」
この修羅場でよく帰ろうって言えるな。美女だけど心も強いんだな。
 蓮兎さんが可哀想だけど、とりあえず部屋に戻ることにした。私は、小説家になることも夢だから、今小説を書いている途中。贅沢したいことは贅沢したい。
 現在、9時。いつもは9時半過ぎに寝ているけど、今日はなんだか眠気が半端ないから、そろそろ寝ようかな。
 椿芽さんが部屋へまた案内してくれたから早めに戻れた。廊下の途中には、案内板らしき物がちらほらあったから、新人の人でも分かりやすいようにしているのだろう。
 部屋に入ってからは寝る準備万端だった。今までできなかった、音楽を聴きながら布団に入った。激しい音楽ではなく、楽器だけの音楽を聴いた。いつの間にか、静かに眠っていた。

「__んっ・・・ん?何ここ。」
気付いたら、空に浮かんでいるような島に居た。朝になっていて、気持ちの良い太陽の光が身体全体を温めていた。懐かしいような温もりがある感覚に陥っていた。
 起きて少しウロウロしていると、透明だけど、シャボン玉のような[下線]モノ[/下線]を見つけた。そのモノは形がなく、水のようにただただ浮かんでいた。でも、私には生き物のように見えた。[漢字]人間[/漢字][ふりがな]ひと[/ふりがな]じゃないけど、まるで[漢字]人間[/漢字][ふりがな]ひと[/ふりがな]といるような感じだった。
「ねぇ。ここはどこ?君はなんでここにいるの?」
話しかけてみても、モノには変化がなかった。でも、言葉が頭に響いた。この感覚はどこで感じたんだっけ・・・どこかの学校で聞いた気が・・・思い出せない。
 私は__誰だ?ここにいると、今までのことが思い出せない。私の名前も思い出せない。
「__僕はずっと君を待っていた。ずっと見ていたよ。君の身体には僕が合う。」
言っていることが分からない。私をずっと見ていた?どこで?どうやって?なんで?疑問が次々と浮かぶ。「君の身体には僕が合う」?私の身体は普通じゃないのか?
戸惑っていると、モノが私の身体にスッと入ってきた。そしたら、身体が少しひんやりした。モノが動いているような感じがして、ひんやりとした感覚が身体全体を動いていた。モノが通った場所は、肌が水のように透明になっていた。
 スッと、私の身体から抜けると、モノは言った。
「これからは、僕が君のパートナーだ。宜しくね、実験体番号005番。またの名を・・・莉衣香ちゃん。」

作者メッセージ

はじめまして、hareです!こんなにガチで小説を書くのは初めてです。「暗殺教室」という漫画が大好きです。(特に渚が大好きです!)是非呼んでみてください!
新人作家ですが、何卒宜しくお願いします。

2025/03/28 21:28

hare ID:≫ 9zDXH70z8Qjco
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