リナは小さな村で育った少女でした。彼女は毎晩、丘の上にある古い教会に登り、月夜を見つめながら祈りを捧げていました。ある夜、リナは教会の鐘の音に導かれるように、教会の庭で一人の青年と出会います。その青年の名はカイ。

カイは隣村から来た旅人で、リナと同じく月夜を愛していました。
二人は月夜の美しさについて語り合い、次第に心を通わせていきます。
リナとカイは毎晩教会で会うようになり、互いに強く惹かれていきました。

カイには一つの秘密がありました。彼は重い病に侵されており、余命わずかの身だったのです。カイはリナとの時間を大切に思いながらも、自分の運命を受け入れる覚悟をしていました。

ある夜、カイはリナに自分の病気のことを打ち明けます。リナは涙を流しながら、カイを支えることを誓いました。二人は限られた時間を全力で楽しみ、互いに深い愛情を抱くようになります。

カイの病状は次第に悪化し、彼はリナに一つのお願いをします。「リナ、スズランを持ってきてくれないか？それが僕たちの思い出の花だから。」

リナは急いでスズランを摘みに行き、カイの元へ戻ります。カイはスズランを手に取り、微笑みながらリナに言います。「この花は再会の象徴だ。きっと、また会えるから。」

カイはリナの腕の中で静かに息を引き取りました。リナは涙を流しながらも、カイとの約束を胸に、彼の遺志を継いで強く生きることを決意します。彼女はスズランを大切に育て続け、いつか再会できる日を信じて待ち続けました。