二次創作
〇〇しようね、芥川くん
最近芥川くんの顔色が平常に増して悪いから、理由を聞いてみたら、少し外に出してほしいと言った。ずっと家に居たのでは気分が塞ぎ込む、と。そういうわけで、2人で外に出ることにした。
「お散歩日和だね、芥川くん」
「…それは、僕には分かりかねる」
本当はペットなんだからリードをつけたかったんだけど、うちになかったし、嫌がられたからやめた。ただでさえ私の不注意で外に出られずストレスを溜めていたのだから、なるべく刺激を与えない方がいいと思ったのだ。
「あ、芥川くん、あそこのショッピングモール行こうよ。リニューアルオープンしたとこ」
「…はぁ、まぁ、貴女が行きたいのであれば」
最近の芥川くんは以前よりもずっと従順だ。あの、包丁を握って私を出迎えた夜のような、諦めた目をしている。何を諦めることがあるのだろう。
「芥川くん、どこに行きたい?」
ショッピングモールに着いたから、芥川くんにそう問う。私は初心を忘れないタイプだ。選択肢があるときは、大抵芥川くんに決めさせる。
「…このような場所には縁がない故、何があるのか存ぜぬ。貴女の行きたいところで構わない」
「そう…うーん…」
私は悩んだ。芥川くんの行きたそうなところ?想像もつかない。芥川くんの好きなもの…無花果?無花果ってこういうところで売ってないよね…他は…芥川くん…年頃の男の子…
「あっ!ゲームセンターはどう?」
「…げぇむせんたー、とは」
どうやら芥川くんはゲームセンターを知らないらしい。ずぅっとマフィアにいたせいか、本当に世間知らずな子。
「まぁまぁ、来てみれば分かるよ。おいで」
芥川くんに手を差し伸べると、躊躇いがちに指先を握られた。力を調節されているのが分かる。ふふ、犬に甘噛みされてるみたい。
「…ここがゲームセンター…目が眩む」
「最初の感想それかぁ」
まぁ確かに、色とりどりの電飾が主張してるけども。この調子じゃあ、ゲームなんてやったら目を回しそうだ。
「芥川くん、やりたいゲームある?クレーンゲーム?ガチャガチャ?あ、プリクラ撮る?プリクラ知ってる?」
「…銀が、休日に樋口と撮っていたような気がする。あの、加工とやらで化け物になる機械だろう」
「それ、絶対女の子に言っちゃだめだからね」
「…暑い…」
ゲームセンターに入って30分程。ゲームの筐体の前に座って、芥川くんはぐったりしている。
慣れない店内の熱気と、ゲームを頑張りすぎたことが原因だろう。芥川くんは負けず嫌いだから、どんなゲームでもフルコンボやコンプリートまで満足しないのだ。最初、やったことのない操作に慌てて「む…」とか、「何故アームが動かぬのだ…!」とか呟いてる姿は可愛かった。また連れてこよう。
しかし今はとりあえず、彼の熱中症(なりかけ)をどうにかしなければ。
今は冷房の効いているような季節ではないし、どうしたものか。少し考えて、思いついた。
「芥川くん、屋上行こうか」
屋上に吹き付ける涼しい風と、自販機で買った水のおかげで、芥川くんは少し回復した。
遮るもののない屋上からの景色を黙って眺める。いいことを考えた。
「芥川くん、ここから飛ぼうか。2人で」
私がそう言うと、芥川くんは目を見開いた。
「…貴女にも希死念慮があったのか」
そう答える彼の瞳には、確かに私が映っているのに、彼は私でない何かを見ている。
また、太宰さんって言うの?
私は面白くない気持ちになって、「冗談に決まってるじゃん」と笑って見せた。そして、芥川くんから水の入ったペットボトルを奪い取ると、屋上からどぼどぼと溢す。
「…何をしている」
「嫌がらせ」
そんなことありえないと分かっていながら、この真下に太宰治がいるといいと願う。芥川くんを完全に私のものにするためには、もう芥川くんから太宰治の記憶を消すしかないのだろうか。そんなことはできないと分かっていて、私はそれを強く望む。
「お散歩日和だね、芥川くん」
「…それは、僕には分かりかねる」
本当はペットなんだからリードをつけたかったんだけど、うちになかったし、嫌がられたからやめた。ただでさえ私の不注意で外に出られずストレスを溜めていたのだから、なるべく刺激を与えない方がいいと思ったのだ。
「あ、芥川くん、あそこのショッピングモール行こうよ。リニューアルオープンしたとこ」
「…はぁ、まぁ、貴女が行きたいのであれば」
最近の芥川くんは以前よりもずっと従順だ。あの、包丁を握って私を出迎えた夜のような、諦めた目をしている。何を諦めることがあるのだろう。
「芥川くん、どこに行きたい?」
ショッピングモールに着いたから、芥川くんにそう問う。私は初心を忘れないタイプだ。選択肢があるときは、大抵芥川くんに決めさせる。
「…このような場所には縁がない故、何があるのか存ぜぬ。貴女の行きたいところで構わない」
「そう…うーん…」
私は悩んだ。芥川くんの行きたそうなところ?想像もつかない。芥川くんの好きなもの…無花果?無花果ってこういうところで売ってないよね…他は…芥川くん…年頃の男の子…
「あっ!ゲームセンターはどう?」
「…げぇむせんたー、とは」
どうやら芥川くんはゲームセンターを知らないらしい。ずぅっとマフィアにいたせいか、本当に世間知らずな子。
「まぁまぁ、来てみれば分かるよ。おいで」
芥川くんに手を差し伸べると、躊躇いがちに指先を握られた。力を調節されているのが分かる。ふふ、犬に甘噛みされてるみたい。
「…ここがゲームセンター…目が眩む」
「最初の感想それかぁ」
まぁ確かに、色とりどりの電飾が主張してるけども。この調子じゃあ、ゲームなんてやったら目を回しそうだ。
「芥川くん、やりたいゲームある?クレーンゲーム?ガチャガチャ?あ、プリクラ撮る?プリクラ知ってる?」
「…銀が、休日に樋口と撮っていたような気がする。あの、加工とやらで化け物になる機械だろう」
「それ、絶対女の子に言っちゃだめだからね」
「…暑い…」
ゲームセンターに入って30分程。ゲームの筐体の前に座って、芥川くんはぐったりしている。
慣れない店内の熱気と、ゲームを頑張りすぎたことが原因だろう。芥川くんは負けず嫌いだから、どんなゲームでもフルコンボやコンプリートまで満足しないのだ。最初、やったことのない操作に慌てて「む…」とか、「何故アームが動かぬのだ…!」とか呟いてる姿は可愛かった。また連れてこよう。
しかし今はとりあえず、彼の熱中症(なりかけ)をどうにかしなければ。
今は冷房の効いているような季節ではないし、どうしたものか。少し考えて、思いついた。
「芥川くん、屋上行こうか」
屋上に吹き付ける涼しい風と、自販機で買った水のおかげで、芥川くんは少し回復した。
遮るもののない屋上からの景色を黙って眺める。いいことを考えた。
「芥川くん、ここから飛ぼうか。2人で」
私がそう言うと、芥川くんは目を見開いた。
「…貴女にも希死念慮があったのか」
そう答える彼の瞳には、確かに私が映っているのに、彼は私でない何かを見ている。
また、太宰さんって言うの?
私は面白くない気持ちになって、「冗談に決まってるじゃん」と笑って見せた。そして、芥川くんから水の入ったペットボトルを奪い取ると、屋上からどぼどぼと溢す。
「…何をしている」
「嫌がらせ」
そんなことありえないと分かっていながら、この真下に太宰治がいるといいと願う。芥川くんを完全に私のものにするためには、もう芥川くんから太宰治の記憶を消すしかないのだろうか。そんなことはできないと分かっていて、私はそれを強く望む。