僕らの学校生活!
翌日、彼女は休んだ。
先生に欠席理由を尋ねてみた。どうやら体調不良らしい。
まだ体調不良で良かったとぼくは思う。失敗すると無の世界などに連れて行かれる可能性があるからだ。また、逆に[漢字]向こう[/漢字][ふりがな]二次元[/ふりがな]に行けたとしても帰れない可能性があるから。
帰れるトリップ方法や、[漢字]夢トリ[/漢字][ふりがな]夢トリップ[/ふりがな]する方法もあるが、帰れない方法がそれ以上にある。因みに夢トリ(夢トリップ)は夢の中でトリップする方法だ。つまり、夢の中で推しに会う方法ということ。
小野寺は休みなのでぼく一人。
──とりあえず適当にトリップ方法を調べよう
そうぼくは思い、再びキーボードで文字を打った。
かちかちかちとキーボードを打つ音がしんとした生徒会室に響く。その音は小野寺が居るときよりも淋しく聞こえた。
「あ……」
ぼくが見つけたのは母が中学生のときに試した“紙指輪”という方法だった。
紙に行きたい世界を書き、二つ折りにして指輪を作り、指につけて寝る、というとても簡単な方法だ。
母が成功したのならばぼくだって成功するんだ。ぼくは自身に満ち溢れた。
家に帰り、準備をした。
「よしっ! できた!」
これで準備はオッケー。このまま寝れば大丈夫。翌朝、雰囲気が変わっていれば成功らしい。
翌朝、目を覚ますといつも通りのぼくの部屋が見えた。
特に変わった様子は無い。
普通に学校に行った。小野寺は復帰していた。本当に体調不良だったのか、と疑うような調子だった。
めまいなどはしない。
普通に部室に入り、普通にトリップ結果を入力した。
すると、がちゃり、きぃーっという音を立てながら小野寺が入ってきた。
「大丈夫だった?」という言葉よりも先に「結果は……?」という言葉が口から出た。自分でも驚いた。
「失敗。失敗して体調不良になった」と小野寺は答えた。
頭痛やめまい、吐き気などがしたらしい。
やっとのことで「大丈夫だった?」という言葉が出てきた。
「うん。今はもう大丈夫」と小野寺は目を瞑りながら優しく答えた。
「そう。良かった」ぼくはその言葉しか出なかった。
帰宅後、ぼくは母に怒りながら言った。
「紙指輪試したけど失敗した! めまいもしなかった! お母さん、二次元に行けたのは嘘だよね?「 」
母は困っていて、何も言わずにぼくを見つめた。
ぼくは腹が立ち「もういい!」と怒った口調で自分の部屋に戻った。
母の嘘つき。行けると思ってわくわくしながら試したのに……。怒りと悔しさでいっぱいだった。
すると、こんこんこん、とドアを叩く音がした。
ドアを開けると父がいた。
「何?」
「お母さんから聞いたけど……」
ぼくは「ほっといて!」と無意識に言った。
「あ……」と我に返り、とても酷いことを言ったなと自覚した。
「トリップはね、成功する時もあるけれど失敗する時もあるんだ。お母さんは何回も試して行けたんだ」
確かに、ネットに書いてあった気がする。じゃあ、もっと試せば行けるのかな?
父は続けて「間をあけて試した方がいいよ」とアドバイスをした。
ぼくは何も言えなかった。いや、言葉が出なかった。
父は「じゃあおやすみ」とぼくを救った。
先生に欠席理由を尋ねてみた。どうやら体調不良らしい。
まだ体調不良で良かったとぼくは思う。失敗すると無の世界などに連れて行かれる可能性があるからだ。また、逆に[漢字]向こう[/漢字][ふりがな]二次元[/ふりがな]に行けたとしても帰れない可能性があるから。
帰れるトリップ方法や、[漢字]夢トリ[/漢字][ふりがな]夢トリップ[/ふりがな]する方法もあるが、帰れない方法がそれ以上にある。因みに夢トリ(夢トリップ)は夢の中でトリップする方法だ。つまり、夢の中で推しに会う方法ということ。
小野寺は休みなのでぼく一人。
──とりあえず適当にトリップ方法を調べよう
そうぼくは思い、再びキーボードで文字を打った。
かちかちかちとキーボードを打つ音がしんとした生徒会室に響く。その音は小野寺が居るときよりも淋しく聞こえた。
「あ……」
ぼくが見つけたのは母が中学生のときに試した“紙指輪”という方法だった。
紙に行きたい世界を書き、二つ折りにして指輪を作り、指につけて寝る、というとても簡単な方法だ。
母が成功したのならばぼくだって成功するんだ。ぼくは自身に満ち溢れた。
家に帰り、準備をした。
「よしっ! できた!」
これで準備はオッケー。このまま寝れば大丈夫。翌朝、雰囲気が変わっていれば成功らしい。
翌朝、目を覚ますといつも通りのぼくの部屋が見えた。
特に変わった様子は無い。
普通に学校に行った。小野寺は復帰していた。本当に体調不良だったのか、と疑うような調子だった。
めまいなどはしない。
普通に部室に入り、普通にトリップ結果を入力した。
すると、がちゃり、きぃーっという音を立てながら小野寺が入ってきた。
「大丈夫だった?」という言葉よりも先に「結果は……?」という言葉が口から出た。自分でも驚いた。
「失敗。失敗して体調不良になった」と小野寺は答えた。
頭痛やめまい、吐き気などがしたらしい。
やっとのことで「大丈夫だった?」という言葉が出てきた。
「うん。今はもう大丈夫」と小野寺は目を瞑りながら優しく答えた。
「そう。良かった」ぼくはその言葉しか出なかった。
帰宅後、ぼくは母に怒りながら言った。
「紙指輪試したけど失敗した! めまいもしなかった! お母さん、二次元に行けたのは嘘だよね?「 」
母は困っていて、何も言わずにぼくを見つめた。
ぼくは腹が立ち「もういい!」と怒った口調で自分の部屋に戻った。
母の嘘つき。行けると思ってわくわくしながら試したのに……。怒りと悔しさでいっぱいだった。
すると、こんこんこん、とドアを叩く音がした。
ドアを開けると父がいた。
「何?」
「お母さんから聞いたけど……」
ぼくは「ほっといて!」と無意識に言った。
「あ……」と我に返り、とても酷いことを言ったなと自覚した。
「トリップはね、成功する時もあるけれど失敗する時もあるんだ。お母さんは何回も試して行けたんだ」
確かに、ネットに書いてあった気がする。じゃあ、もっと試せば行けるのかな?
父は続けて「間をあけて試した方がいいよ」とアドバイスをした。
ぼくは何も言えなかった。いや、言葉が出なかった。
父は「じゃあおやすみ」とぼくを救った。