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異世界に吹き荒れる黒い嵐

#4

第四話 混乱

 1939年8月28日
 ドイツ 首都ベルリン


 午前9時。
 昨夜0時から明け方未明にかけて、ドイツ全土を覆いつくした謎の霧は、空が白み始めると同時に薄らぎ始め、現在では跡形も無く消えうせてしまっている。
 しかし、霧の発生と共に各地で起きた様々な混乱は一向に収拾してはいなかった。

 いや、むしろ輪を掛けて酷くなったというべきだろう。

「一体なにがどうなっとるんだ」

 美次駐独大使は困惑もあらわに呟いた。
 戸惑っているのは彼だけではない。ここ、ベルリンの日本大使館では昨夜未明より国外との通信が一切出来なくなり、情報を集めてみたところ他の大使館も似たり寄ったりらしく少なからぬ混乱が起きていた。

「ドイツ政府に問い合わせてみましたが、現在調査中との事です」

「調査中だと?……ふん、結構なことだ。願わくばこっちにも情報を寄越して貰いたいところだね」

 大使は苛立たしげに舌打ちを洩らした。
 そもそも彼は独政府のことを全く信用してはいない。彼は予備役とはいえ帝國陸軍の将官であり、陸軍は建軍以来ドイツの事を信用していない。それは彼の思考にも少なからず影響を与えている。
 無論、外交官という立場上、そういった負の感情を対外的に表立って発露することは無いが、今回の件も最初はドイツの謀略か何かではないかと内心では勘繰っていたくらいだ。

「ともかく、ヨアヒム・フォン・リッベントロップ外務大臣に会いたいと打診しておいてくれ。他の大使館も状況が同じなら、これ以上はドイツ当局から話を聞かんことには埒が明かん」

 そう言って、幾つかの指示を出すと大使館員を部屋から下がらせる。
 後には彼一人が残った。






 同刻
 バラキル王国西部 グレキア半島


「おいおい、こりゃあ……」

 バラキア王国異界調査団を率いる魔術師ゲオルグ・ハーンは、眼前に出現した広大な大地に目を剥いていた。
 いや、正確にはその大地の上に造成された巨大な都に肝を潰していた。
 それは、どう控えめに観ても、明らかに自分達の国の王都を凌駕する規模だったのだ。

 いや、確かに規模も凄い。凄いのだが、それよりも目を奪われるのは市の中心部に建っている…門…城?見たところ城塞のようなものは見当たらないが、あれが、この異界の『王城』なのだろうか? まるで防御というものを考慮していないように見えるが……いやいや、ひょっとすると何かの魔術的な意図があるのやも知れない。アレが一体何か、今ここで判断するのは早計というものだろう。

「ったく……とんでもねぇな」

 もともと、ゲオルグは魔術師としての位階は低い。
 たまたま遠見の魔術に秀でていたからこの任務に抜擢されたのだ。冒険者として遺跡を巡っていた事もあるのでその経験も買われたのだろう。
 ゲオルグにしても、この仕事を機会に王城の役人に顔を覚えてもらえれば、今後も仕事を回してもらえるかもしれない。冒険者というのは有体に言って自由業のようなものなので、ちゃんとしたパトロンがついていないとかなり生活は厳しいのだ。
 そんな軽い気持ちで引き受けたこの仕事だったが、まさかこんなとんでもない物を拝む羽目になるとは、ついぞ思わなかった。

「は……はは……や、やったじゃないですか!儀式は成功したんですよ!!」

 彼の隣では、浅葱色のローブを羽織ったブロンドの少女が、驚きによってやや掠れた声音で喜びの声を上げている。
 調査団の最年少メンバーであり、魔術師ギルドから派遣されているノーラ・バーテルスだ。
 17歳という史上最年少で導師の称号を得た才女は、手近に立っていた老魔術師の手を取ってブンブン振りながら、召喚儀式の成功を無邪気に喜んでいる。
 しかし、ゲオルグはそう単純に喜んで良いものか疑問だった。

「ノーラよぉ……こいつは確かに成功かもしれねぇけど、下手すっとトンでもねぇことになっぞ」

「へ?」

 ノーラが目をぱちくりさせる。
 そのキョトンとした顔に、ゲオルグは『駄目だこりゃ』と肩を落とした。
 それから、魔術師というよりは山賊のほうが似つかわしげな髭面を他のメンバーに向ける。

「おいオットー。アンタからも何か言ってやってくれ!」

「はぁ…」

 声をかけられた神経質そうな痩身の魔術師は、自身も出現した巨大な都に圧倒されながらも、何とか気を持ち直して年若い女魔術師に説明をはじめた。

「いいですかノーラさん。あの都の規模、それに都から外に伸びている整備された街道を見てください。あれは恐らく、どこかの大国の王都かなにかですよ?」

 どうやら、ゲオルグが観ていないところにも注意を払っていたようだ。
(旅慣れないお坊ちゃんかと思ったが……なかなか大したもんだな)
 ゲオルグは一人感心していた。
 ここに来るまで、やれ足が痛いだの、喉が渇いたなどと文句タラタラだったので、あまり良い評価は与えていなかったのだが。

「規模から言って我が国の王都以上の大都市です。一体この国はどれほどの国力を有しているのか…」

 オットーの顔色は悪い。
 王国の方針では、この出現した大地をコアと奴隷の供給源とすることになっている。
 もし従属魔術が効いていなければ、この大国を相手に全面戦争をやらなければならない。
 国の存亡がかかっているとなれば、死に物狂いの抵抗を受けることだろう。

「しかしよぉ…従属魔術が効かねぇってことは、つまり異界人は魔術がつかえねぇってことだろ?そこまで心配はいらねぇんじゃねえか?」

「あなた、死兵ってやつを甘く見すぎです」

 オットーはきっぱりと言ってのけた。
 かれは以前、軍の戦史研究室に籍を置いていた時期がある。
 そして今、彼の脳裏には研究室で学んだ過去の戦争。

 特に、50年前のグラゴール戦役での王国軍の苦戦が思い起こされていた。

 当時、時の王の対外積極政策により、バラキア王国軍は精霊神教を奉じるグラゴール王国に侵攻した。
 グラゴールは碌な魔法軍を有しておらず、街道整備の劣悪さから軍の主力たるゴーレム部隊を投入できなかったものの、モラヴィア軍は2ヶ月もあればこの国を蹂躙できるだろうと、楽観的に考えていた。

 しかし、開戦してみると、その予想は大きく裏切られた。
 まず、精霊神教の総本山たるエピロス神国の教皇が、この侵略に対して聖戦を宣言した。
 他国からの支援は、大陸中央を東西に走る山脈によって遮られ、あまり届かなかったが、精霊神教を国教と定める大陸屈指の列強ネウストリア帝國が、周辺国を巻き込んで神聖同盟を宣言。外洋艦隊をモラヴィア近海に派遣して圧力を掛けるという挙に出たのだ。
 他にも精霊神教を奉じるバラキアの近隣国が続々と動員に踏み切り、モラヴィア魔道軍の最精鋭たる機鎧兵団と、竜騎士団の多くを王都に釘付けにした。

 そして何よりも予想外だったのが、グラゴール軍の強靭な抵抗だった。

 グラゴールは熱烈な精霊神教国である。
 精霊神教において、コアとは精霊神ラーナの御使いたる精霊によって、人に下賜される神聖なものだ。
 その教義において、コアを人の手で無尽蔵に汲み出して利用するというバラキアの秘蹟魔術は、神を冒涜する異端の所業である。
 それは、精霊神教を奉じる各国が自分達の精霊魔術を神聖魔術、バラキアの魔術を暗黒魔術と呼んでいることからも明らかだ。

 グラゴールに攻め込んだバラキア軍の将兵が目にしたのは、弓や槍、精霊魔術で武装したグラゴール騎士団のみならず、宗教的な情熱を胸に立ち向かってくる農民達の姿だった。

 元々グラゴールは農奴制国家だったものの、そこでの農奴たちの生活はそれほど悪いものではなかった。
 グラゴール自体が湖の豊かな水源や、農地に適した肥沃な土地の上に出来た国家だったから、例えば農奴であっても他国の下手な自作農よりまともな食生活が送れていたケースが多かったのだ。
 このようにグラゴールの民は現在の施政に大方満足しており、加えて攻めてくるのは被征服民は全て奴隷にするか魔術の実験材料にするという噂の邪教徒たちなのだ。
 彼らは自らの生活のため、そして幼い頃より育まれてきた宗教的な情熱の赴くままにバラキアに立ち向かっていった。

 征服されれば自分達は確実に殺される。それが分かっているが故に、彼らの抵抗は熾烈なものとなった。
 最終的には専従奴隷を流用して作成した凶戦士部隊を大量に送り込むことによって損害比率一対一という強引な物量戦の結果、ようやくグラゴールは軍門に下ったのだ。

 一通り語り終えると、オットーはこう締めくくった。

「座しては死が待つのみ。異界人たちは死に物狂いでこちらを攻撃してくるでしょうね」

「「………」」

 刺激が強すぎたのか、ノーラは顔を青褪めさせて自分の肩を抱いている。
 温室育ちの少女にはキツイ話だったらしい。

 ゲオルグはそこまで酷くは無いものの顔を引き攣らせている。

「脅しすぎだ。馬鹿」

「……すみません」

 オットーは、ばつの悪そうな顔でポリポリと頭をかいた。
 それからもう一度、遠見の術で異界の大都市を見る。
 
(まったく…これは軍も大変だな)

 目を鋭く細めて、思った。
 
 彼は知らないが、この都は、いわゆる首都である。

 帝国時代から続くドイツの首都。現在はベルリンと呼ばれる街だった。






新星暦 351年 青竜月14日
ネウストリア帝國 帝都アウストラシア


 そこには広大な庭園があった。
 巨大な白亜の宮殿の中庭に設えられたこの花園は、数代前の主によって整備されたもの。

 その庭園の中心で、一人の貴族風の衣装を纏った青年が花を愛でていた。
 軽く鼻歌などを歌いながら鋏を手に、形を整えていく。

 そんな彼に、突然声がかけられた。

「陛下。……バラキア王国西方にて、先ほど強大なコアが観測されました」

 突然響いた野太い声に、青年は驚いて花を手折ってしまった。
 ヒラヒラと花弁を舞わせて地面に落ちる百合。

「うわっちゃぁ……突然話しかけるなよ」

 無念そうに言う優男……ネウストリア帝室の現当主たる、皇帝フランソワ2世は地に落ちた花に未練がましい声を上げた。

「強大なコア、だって?」

 微かに恨めしげな色を滲ませた声と共に、後ろを振り返った。
 その先には帝國の閣僚達が数人、顔を見せていた。

「はい。メルヴィン神殿管区の風巫女が、外洋帆船上にて偶然捉えたものです」

 むっつりとした表情で言うのは帝國宰相を務めるジョルジュ・ド・ルブラン子爵である。
 暗灰色の地味な服を着た、老齢ながらも力強い活力・威厳を感じさせる老人だ。

 皇帝は、一言問うた。

「……魔術か?」

「おそらくは」

 肯定の返事に、フランソワは「おいおい」と芝居がかった仕草で目元に手を遣る。
 この気障な仕草に、場に居合わせた閣僚のうち数人が顔を引き攣らせた。

 半生を戦場を駆けるのに費やしたと言われる先帝とは、色々な意味で違うこの皇帝。
 しかし、決して無能というわけではない。むしろ歴代の皇帝の中でも政事の才は異数のものがある。

 それは彼の即位以来、次々に成しえてきた数々の外交的な功績と、帝國の国力の順調な増大が裏付けている。
 特に、先々帝が期限付きで結成した対バラキア包囲網……『神聖同盟』を、より発展的な攻守同盟の形で再結成した功績は、列国の外交関係者全てが認めるところだ。

「あの魔術狂いどもが、またぞろ何かやらかしたのか?」

 心底嫌そうに言う。
 彼が即位して以来、いや、先代の御世から対バラキア政策はネウストリアにとって頭痛の対象のひとつだった。
 ことに、文人肌で直接の武力行使よりも外交、通商による問題解決を良しとするフランソワにとっては厄介極まりない相手だった。なにしろ道理や外交常識を当たり前のように無視するのだから。

「どのような魔術を行ったかに関しては、目下調査中です。余程大規模なものだったらしく、我が国の領内にも一部影響が」

「……随分と舐めた真似してくれるじゃないか」

 バラキアの領内で妖しげな実験をやる分には一向に構わないが、その影響がネウストリアにまで飛び火するとなれば話は別だ。

「攻めますか?」

「ふん、まさか」

 つまらない冗談だと言わんばかりに顔を顰めると、フランソワは好戦的な言葉を吐いた武官に振り返った。

 別にフランソワは盲目的な平和主義者というわけではない。
 実際、即位してから3年後には西の隣国ナヴァラに対して武力侵攻を行い、これを併合している。
 しかし、彼は同時に歴史主義者だった。
 彼にとって帝國の強大な軍事力とは、第一に見せ金としての役割が求められた。
 過去、急速な領土拡大を行った多くの国家は、それが如何に強大であろうとも、その後数十年以内に弱体化を余儀なくされている。財政の破綻という形で。

 『歴史は繰り返す。故に我々はそれを学ばねばならない』

 これがフランソワの幼い頃。
 彼の家庭教師から教わった事であり、フランソワの人生哲学の骨子でもあった。

「あんな痩せた土地を攻めて、何が手に入るって言うんだい?」

 フランソワは鼻で笑った。
 バラキア王国は制度・産業共に魔術に拠って立つという、この世界でもかなり奇形的な国家だが、その軍事力には侮れないものがあり、この世界における列強の一角に数えられている。
 しかしその土地は、大陸の北限に近いという地理的な要因もあって然程豊かではなく、おまけにここ数十年のうちに良質な耕作地帯がいくつも砂漠に飲み込まれてしまっている。

「邪教徒の怪しげな魔術で汚染された土地に、民を入植させるなんてゾッとしないね」

 彼らはバラキアの土地が衰え始めているのを、魔術の実験による汚染か、農業政策の失敗によるものだと考えていた。……まあ流石に、世界の根源を司るマナを浪費しすぎたせいだとは想像出来なかったのだ。
 ……知っていたら怒り狂っていただろうが。

 つまるところ、バラキアを制圧したとしても、手に入るのは入植が難しい上に植民地・領土として全く収益性が望めない不毛の土地でしかないのだ。
 決して勝てないわけではない。 
 また、その先進的な魔道技術を取り込もうにも、国教たる精霊神教との兼ね合いもある。
 従来異端であると断じてきたバラキアの暗黒魔道を自国に取り込もうとすれば、下手をすれば宗教革命を招きかねない危険性があった。
 はっきり言って採算が合わないにも程がある。

「そうだ…ブルーム伯爵、連中がやった魔術に関して他に分かっていることは無いのかい?」

「はい、陛下。現在、王城より放たれたコアの波動を追跡しております故、近日中には魔術の発現点を割り出せるものと考えております」

 国内外における情報収集・対諜活動を統括する、報土観察院長官のブルーム伯は恭しく答えた。

「宜しい。結果が分かり次第知らせてくれ。やられっ放しというのは癪だし……それにね」

 そう言って、若き皇帝は冗談ぽく笑った。

「僕は心配なんだよ。あの邪教徒連中……自分らの魔術を絶対視してるのか時々信じ難い暴挙をやらかすからね」

 それを冗談と受け取ったのか、閣僚のうち数人が笑みを浮かべた。


新星暦 351年 青竜月14日
バラキア王国西部 グレキア半島


 異形の群れがいた。
 大抵の人間が―――それはこの世界に住む人間であっても―――『それ』をみれば、躊躇い無く化け物と称しただろう。
 しかし、彼らにとっては違う。
 異形たちの群れの中に立つ彼ら……王立魔道軍第3機鎧兵団に所属する創命魔術師たちにとって、この怪物たちは祖国を守護する為に生み出され、そして現在まで彼らとともに、その役目を完遂してきた戦友だった。
 
「バラキア王都を超える大都市とは……予想以上だな」

 異界進駐軍司令官のベンソン男爵・飛兵中将は感嘆の声を上げた。
 自慢の口髭を扱きながら調査団から届けられた報告文を読んでいる。
 その瞳は、まだ見ぬ異界都市の姿を想像して好奇心に輝いていた。

「これなら、魔道院やギルドから、もっと調査員を連れてくるべきだったかもしれません」

 収集すべき技術情報も膨大でしょうし……と、興味津々の司令官を横目に、第3機鎧兵団長のメーメット・ザカリアス機鎧兵少将は言った。
 『救世』計画の最大の目的は異界の土地が含有する高濃度のマナなのだが、同時にそこに存在する異界文明の技術も大切な目的のひとつだった。
 この世界とは全く異なる体系を持つであろう異界の様々な技術(当然、魔道技術も含む)は、祖国バラキアに更なる繁栄と栄光を齎すことだろう。

「それに、兵団を分散させたのも失敗でした。これほどの都市となれば守備軍も相応のものが配備されているでしょうし」

「心配性だな少将。魔術師のいない軍など一個連隊もあれば十分だよ。私の飛竜騎士団も援護することだしな」

 現在、この場にはザカリアス少将直卒の第7機鎧連隊の他に、ベンソン中将が率いる第2飛竜騎士団の支隊、90騎が展開していた。
 さらに後方には、占領部隊である歩兵旅団3000が待機している。
 手順としては、まず機鎧連隊と竜騎士団が都市を奇襲。空陸同時攻撃で守備部隊・防衛設備を無力化し、次いで歩兵部隊が進駐すると言う手順だ。
 転移直後で混乱しているところを狙えば十分に成算がある作戦だ。

 ベンソンに言わせれば、魔術を持たない軍に対してこの戦力は明らかに過剰だった。
 第一、こう頭数が多くては占領後の恩賞など分け前が減るではないか。

「第8、第9連隊については北部、南東部に出現した都市――小規模ですが――の制圧に当たります。調査隊が発見したという都市については私の第7連隊が」

「宜しい、では私の騎士団が先陣を切ろう。続きたまえ!」

 そう叫ぶと、ベンソンが騎乗する飛竜は空へと舞い上がった。
 ベンソンの後に続くように、他の竜騎士たちも空に上っていく。

(やれやれ)

 既に戦後の恩賞配分……あるいは戦闘後の略奪のことしか頭に無い司令官にザカリアスは溜息をつく。
 いくら蹂躙戦だからといって弛み過ぎではないだろうか?

「閣下。我々もそろそろ移動しませんと」

「……そうだな」

 配下の魔術師に言われて、ザカリアスは頷いた。 

「諸君、竜騎士団にばかり美味しい所をくれてやる義理は無い。存分に暴れまわれ……ただし、略奪にかまけて流れ矢にやられるようなヘマはせんでくれよ!」

 最後の一言に、魔術師達はどっと笑った。 

 実のところ、これは笑い事ではない。
 キメラは確かに強力だが、それを操る魔術師は脆弱なのだ。

「第7機鎧連隊、前進せよ!」

 ザカリアスの号令の元、600体の異形の群れは黒い奔流となって動き出した。

 その目標は、ドイツ国首都ベルリン。

作者メッセージ

見てくれる人少ないが描き続ける。ひたすらに

2025/03/01 20:05

ぐへへ ID:≫ 11GsR4EM2gvPY
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