昨日はすっかり寝坊してしまったから、今日はアランたちが出かける前に起こしてって頼んでおいた。
でも目が覚めてしまったから、私はぼんやりと立ち上がる。
朝ごはん...作ってみようかな。


...と思って張り切っていたのが二十分ほど前のこと。
やらなきゃよかった...
サバイバル番組とかで見たことある火起こしの仕方を試してみたけど、めちゃくちゃ失敗。
難しい...
すると突然後ろから声がした。

「ルカ!?」

アランだ。

「おはよう、アラン。ごめん。朝ごはん作ってみようかなーって思って...失敗した」

てへっというポーズをとってみる。
アランの顔色はすこぶる悪い。
そんなに気持ち悪かったかな...
ちょっと後悔。

「何してるんだ...ルカに何かあったかと思って...心配したんだぞ」
「え？ご、ごめんなさい...」

たしかにちょっと焦げ臭いけど...。
そんなに心配してくれたんだ。ごめん。

結局アランがスープを作ってくれた。
私はそれを飲む。
おいしい...あったかい。

アランが話を切り出した。

「今日、この山を下りて町に行こうと思う」
「それって...私のせい？」
「違うよ。それもあるけど。報酬を受け取りに行くんだ」
「そっか」

私、登山とかしたことないんだけど...大丈夫かな。

「分かった。頑張る。この山って結構険しいの？」
「？何か勘違いをしてないか？エディの魔法で下りるから、ルカが頑張る必要はない」
「え？そうなの？」

そっか。でも魔法ってそんなに気軽に使えるものなの？

「エディは魔力も多いし、精度も高いから大丈夫だ」

アランはそう付け足した。
そのあとに聞いてくる。

「ルカは恋人とか...伴侶たちはいるのか」
「別にいないよ」

そうだよ、いませんよ。
あんまり恋愛に縁がなかったものですから。
でもちょっと嫌な予感がするのはなぜ？

「そうか。それで...言いにくいんだが...」
「何？」

もう少しのことでは驚かないよ。何て言ったって異世界に来てるんだもん。

「俺たちと結婚してくれないか」