異世界転移して冒険者たちのパーティに入った結果、メンバー達に溺愛されてます!?
グレイの昔のお話です。
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俺には姉がいる。
それなりの美人だった。
その日も姉の言いつけ通りに、紅茶を入れていた。
お茶を入れるのは、俺の主な仕事の一つだ。
姉に言われた通り、温度に気をつけながらも、ぼうっと考える。
友達の妹なんかは、すぐに泣き叫ぶし、物を投げたりもするらしい。
面倒くさそうで少し同情してしまう。
それに比べてうちの姉は怒鳴りちらすだけで、被害は少ない。
この女が姉でラッキーだったと思う。
まあ、姉や妹なんていないのが一番だが、そうもいかないんだな。
女の数が少ないから、ほとんどの夫婦は女が産まれるまで子供を産み続ける。
男が10人、女が1人の兄弟の家庭だって珍しくない。
砂時計を確認して、温度計を確認して。
よし、大丈夫だ。
「何てことをしてくれたのよ!!!」
正座をする俺の前には、恐ろしい顔をした姉が仁王立ちをしている。
やってしまった、と思いながら、口を開く。
「すみませ」
「申し訳ございませんでしょうが!!」
「申し訳ございません」
俺と同じ燃え盛るような赤毛を振り乱して、金切り声を出す彼女。
「あんたのせいで私の美しい舌が驚いたの!!分かっているの!?」
「申し訳ございません」
「あれだけ温度には気を付けろと言ったのに!!聞いていなかったのね!?」
「申し訳ございません」
「このグズ!能無し!役立たず!」
「申し訳ございません」
ひたすら謝り続けた俺の何かが気に食わなかったのか、姉は俺に向かってティーカップを投げつけた。
ガチャン!
生ぬるい紅茶が俺の髪をつたって、ポタポタと床に落ちていった。
大きな音をたてて落ちたカップは粉々だ。
カップの少し破片が飛んできた気がする、痛い。
またもや彼女は叫んだ。
「いやあっ!!私のお気に入りのカップが!酷い!しかもお母様からいただいたドレスにお茶が飛んでいるわ!!何てこと!!」
俺には全く姉の言葉が理解できなかった。
姉は日頃から叫びすぎたせいか、声が枯れかけている。
俺がどうしていいか分からずにじっとしていると、びしりと指を指された。
ハアハアと荒い息を吐きながら、彼女は言いきった。
「はやく出ていって!!あなたが弟だなんて信じられない!!私の唯一の汚点だわ!!」
待っていましたとばかりに、俺は立ち上がる。
最後に一礼を残して、一瞬のうちにその家を去った。
やっぱり女は駄目だ、付き合いきれない。
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俺には姉がいる。
それなりの美人だった。
その日も姉の言いつけ通りに、紅茶を入れていた。
お茶を入れるのは、俺の主な仕事の一つだ。
姉に言われた通り、温度に気をつけながらも、ぼうっと考える。
友達の妹なんかは、すぐに泣き叫ぶし、物を投げたりもするらしい。
面倒くさそうで少し同情してしまう。
それに比べてうちの姉は怒鳴りちらすだけで、被害は少ない。
この女が姉でラッキーだったと思う。
まあ、姉や妹なんていないのが一番だが、そうもいかないんだな。
女の数が少ないから、ほとんどの夫婦は女が産まれるまで子供を産み続ける。
男が10人、女が1人の兄弟の家庭だって珍しくない。
砂時計を確認して、温度計を確認して。
よし、大丈夫だ。
「何てことをしてくれたのよ!!!」
正座をする俺の前には、恐ろしい顔をした姉が仁王立ちをしている。
やってしまった、と思いながら、口を開く。
「すみませ」
「申し訳ございませんでしょうが!!」
「申し訳ございません」
俺と同じ燃え盛るような赤毛を振り乱して、金切り声を出す彼女。
「あんたのせいで私の美しい舌が驚いたの!!分かっているの!?」
「申し訳ございません」
「あれだけ温度には気を付けろと言ったのに!!聞いていなかったのね!?」
「申し訳ございません」
「このグズ!能無し!役立たず!」
「申し訳ございません」
ひたすら謝り続けた俺の何かが気に食わなかったのか、姉は俺に向かってティーカップを投げつけた。
ガチャン!
生ぬるい紅茶が俺の髪をつたって、ポタポタと床に落ちていった。
大きな音をたてて落ちたカップは粉々だ。
カップの少し破片が飛んできた気がする、痛い。
またもや彼女は叫んだ。
「いやあっ!!私のお気に入りのカップが!酷い!しかもお母様からいただいたドレスにお茶が飛んでいるわ!!何てこと!!」
俺には全く姉の言葉が理解できなかった。
姉は日頃から叫びすぎたせいか、声が枯れかけている。
俺がどうしていいか分からずにじっとしていると、びしりと指を指された。
ハアハアと荒い息を吐きながら、彼女は言いきった。
「はやく出ていって!!あなたが弟だなんて信じられない!!私の唯一の汚点だわ!!」
待っていましたとばかりに、俺は立ち上がる。
最後に一礼を残して、一瞬のうちにその家を去った。
やっぱり女は駄目だ、付き合いきれない。